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記録210『絶対正義強制執行』


有志の聖剣は、光を徐々に貯め込んでいく。


(いま呪文を唱えていたのか? セイクリッドインパクトなんて聞いた事がない魔法だ……それが勇者の与えられた魔法か……だがそんなのは当たらなければ脅威でもない! 今の私なら何でも躱す事が出来る自身がある!)


ピア―Jrは、有志の振り上げる聖剣を観察しながら攻撃を仕掛ける。


だが、一つの声によってそれは閉ざされた。


『無駄だ』

「!! 何だ! これは! 動けない! いや! 動かない……」


突如、ピア―Jrの体が動かなくなった。


「おい! テメエ! さすがに卑怯だろうが! 神が現実に手出しして良いのかよ!」


ピア―Jrは、神に対して文句を付ける。


『違うな……私の力ではない……私の力ではなく、有志自身の力だ……何故ならこれこそが絶対的正義だからだ』

「はあ! 絶対的正義だと! なんだそれ! どういう意味だ!」


神は、混乱するピア―Jrに説明する。


『正義とは勝つ者、正義とは絶対、正義とはこの世のルールだ……それ等は以前から我等が決めた絶対的ルールだ……その正義が守られているからこそ世界はバランスを保つ! 貴様等はその正義に立ち塞がる悪である!』

「嘘だ! 実際ある古代魔王にはお前も勇者も苦戦したと聞いている! それならどうして貴様等は苦戦した! どうして封印なんていう曖昧な手段を取った!」

『あの戦いはそもそもからおかしかった! 元来勇者が勝つべき状況なのに奴は悪が勝つ世界へと塗り替えようとした! だが結局奴は封印された! 私と勇者の力によってな! 発動したんだ! この世界の正義と言う名の強制力に! 途中で奴は動きを止める羽目になった! それこそがこの世界の強制力! これぞ勇者が神へと昇華された事によって発動する! 我々が絶対である事の証明! 真の絶望から世界を救う為に作られたシステム! 絶対正義強制執行だ! バカな人間や魔族共だってこのルールから逃れることは出来やしないのだ!』

「はああああ!!」


意味に分からない世界の理、そして完全に神本位なルール、そんなのに勝てるわけがないと絶望した。


「Jrああああああああああああああああ! お前等だけでも逃げ……」

「ば! ばばあぶぶうう!」

「だあああ! だあああ!」


ピア―Jrは、ほかの姉弟を逃がそうとするが、何故かセイクリッドインパクトの射線上に固められていた。


「何だよこれええ! ふざけないでえええ!」

『言ったはずだ……無駄だとな……貴様等は悪だ……有志が神としての力を得た事によって貴様等のような小童共は絶対に抗う事は出来ない、我々同等と言えばそれは難しいがバファハイドぐらいであれば皆で協力すればきっと倒せる! 何故なら最後には私がいるのだから! 西院円惑を魂ごと消滅させれば確実にこの世界は救われるのだから』

「ふざけるなああああああああああああ!!」

「インパクトオオオオオオオ!!」


同時に、有志のセイクリッドインパクトのチャージが溜まり、発射された。


「ふざkばあ! っがぐ!」

『ぶぶうば!』


ピア―JrとサクランJr達は、跡形もなく塵となった。


「正義は勝つ!」


有志は、名言の様に宣言した。


---------------------------------------------------------------


「はあはあ! ここまで来れば……ごめんなさい……シャイニャス様……やはり私には無理です」


一人の少女が泣きながら逃げていた。

彼女は、他の入門生がサクラン・ドウとの戦いを決意した中、たった一人逃げたのであった。


「でも……これで私は助かる……もう魔法なんてどうでもいい! 私は幸せに!!」


全員が全員勇敢であるわけではない、敵前逃亡する者や、戦う前から敗北を受け入れる者もいる。

たまたま彼女がそうだっただけの話である。


だからこそ、これは命綱であった。


『ありがとう……君お陰で私は生き残れる』

「え? あが! がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


入門生の一人の腹は、突如膨れ上がりながら悲鳴を上げる。

そして、そのまま腹を突き破る赤ん坊が出て来た。


「危ない危ない……まさかピア―Jrが死んでしまうとは……彼女の意思は私が継ぎましょう……さてと……そこにいるのでしょう? アイニー」

「はい……よくぞ生き残りました……貴方は彼等と違い意外としぶといタイプですから」

「私は魔導を極めた者です……これぐらいの保険当然ですよ」

「そうですか……それにしても……貴方が死んだことになるのなら、あのマジシャンハウスは閉館ですかあ……困りました……」


アイニーのしょんぼりした表情に、サクランは首を振る。


「場所なんて関係ありません……最早私の理解はこの世界の魔導書では測れないものとなりました……さて、バファハイド様に謁見しましょう」

「そうですね! 行きましょう!」


そして、二人は嗤いながら歩き出す。


「ところで? 彼等の一部は手に入れましたが……どうですか?」

「うーん……大丈夫でしょう! 肉体ぐらいは簡単に戻せますし、一部のお陰で魂も感知出来ました」

「それは心強い!」

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