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記録208『待たせたな!』

シャイニャスは、殆ど魔力が残っていなかった。


「はあはあはあ」


シャイニャスは、魔力欠乏によって真っ青になっていた。


「もう終わりですね……」


そして、サクランは斬撃魔法を放った。


「がはああ!!」


シャイニャスの腕は、吹き飛ばされた。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


悲鳴を上げながら、血が流れる腕を押さえながら泣き叫ぶ。


「ははははは! 全く全く! 下らない最後ですねええ!!」

「パパ! とっても面白ーい! 玩具もう壊れるの~」


寂しそうにしながら、玩具が壊れる時の子供のようにシャイニャスを見ていた。


『ばぶー……ばぶー』


サクランJr達も少し寂しそうであった。


「こらこら、始まりがあれば終わりもある……それはこの世の常です……その寂しさを持ちながらも精進するのですよ……では……皆で壊しましょう……このおもちゃを」

「はい!」

『ばびー!!』


そして、ファイアーバレッドを大量に出した。


「貴方が今まで誇りに思っていた魔法で殺して上げますよ」


完全に絶体絶命な状態になったシャイニャスは、為す術がなかった。


轟音と共に、ファイアーバレッドがシャイニャスに直撃した。


「フ、貴方はここに修行に来たみたいですが成長なく死ぬのですね……無様です」


そんな時であった。


「そうはさせない!」


硝煙から一人の少年の声がした。


「ほう、間に合いましたか……」

「当たり前だ! 俺はシャイニャスの王子様だからな!」

「うわ」


ピア―Jrは、ドン引きした。


「勇者と聞いていましたが……はあ……そうですか? 私だって別に神であると自称するつもりはないのに……王子様って……」


サクランは、有志の正気を疑っていた。


「有志……」

「シャイニャス……よく頑張ったね……後は俺に任せて」

「有志……でしたらこれを……」


シャイニャスは、弱々しい手で有志の手を握った。

すると、シャイニャスの手が光出して有志に流れ込む。


「こ! これは……力が溢れ出してくる」

『有志! これが神の力だ! シャイニャスが私が有志に憑依している時に有志に対して祈りを行ったおかげで神としての力が宿る様になった……お前は名実ともに神の代行者……勇者としての力を得たのだ! そしてこの偶然は愛の力と言っても過言ではない! さあ! 見せてやるんだ! 神の! 勇者の! 天山有志としての唯一無二の正義を!』

「ああ! 俺の裁きが奴等の悪を打ち砕く!」


サクランは、鼻で嗤いながら有志を見ていた。


「相当酔っているようですね? 頭でも冷ましてから戦っては?」

「軽口を叩いている暇はないぞ……神の御業を見せてやる! ホーリーインパクト」


有志は、聖剣を傾けてサクランにホーリーインパクトを放った。


「ふん!」


しかし、サクランはホーリーインパクトを難なく軌道をずらしてダメージを受けない様にした。


「軽いですね? 余裕過ぎます」

「……ならばこれだ!!」


有志は、聖剣に魔力を貯める。


「ほう……最大出力ですか」

「セイクリッドファイアー!」


そして、有志の放ったセイクリッドファイアーは、シャイニャスが放ったファイアーボール以上の力でサクランを襲う。


「おっと! Jr達!!」

『ばぶぶー!!!』


それを、サクランはJr数体を使って防いだ。


「本性を現したな……自分の子供を盾に使うとはな」

「彼等が死んだとでも? 笑わせる」

『ばぶぶー!!』


しかし、散りなったJr達は当然のように復活した。


「そういう事ではに……自身の子供を防御に使うだなんて……貴様ほどの屑は許されない! この世から消さなければならない!!」

「フム、だが君はあの力では殺せない事が分かりました……ならばこちらもやるだけはうやらないとですね」


そう言って、サクランは目を瞑った。


「後は任せましたよ……ピア―Jr……」


そして、目を瞑ってピア―Jrに体を差し出す。


「はい……ぱぱ……後の事はこのピア―に任せてください……パパの後は継がせて貰います」


ピア―は、サクランを触手を出して腹の中に取り込んだ。


「あがうぐあああああ! がっがあああ!! サクランJr! わたしをおお!! いもうどをまぼれええええええ!」

『ブーブー!!』


サクランJrは、近くにいたレイシャやレティリアとシャイニャスを襲いに掛った。


「させない」


しかし、有志はそれを読んでいたのか、全ての攻撃を捌く。


「はああああ!」


そして、そのまま聖剣でサクランJrを攻撃し続ける。


「ふー……これで死んでおけばいいものを」


面倒臭そうに、ピア―Jrは有志の戦いを観察していた。

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