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記録207『感情を力に』

サクランは、ニタリと嗤った。


「それが代償ですか? ズルをした事を考えれば安い代償ですね……」


サクランからすれば、明らかな理不尽であった。

エクスプロージョンを扱えるのは、かなり少なく、リザードマンの様に炎魔法が得意であり、その中でも爆発魔法の応用出来る者が更なる修練を重ねた上で発動出来るようなかなり高度な魔法である。


大体の者が、防ぐ事が出来ない程の協力で、その分魔力の消費量も高い。


サクランは、技術力を使ってその魔力を低くしながらも再現しているが、それでもかなりの魔力が必要であった。

ピア―Jrの魔力生命体としての力と他のJr達の魔力を利用している。


そこまでしてのエクスプロージョンを放ったが、それを防いだ手段をズルで手に入れたにも関わらず、その代償が吐血程度であればそれは最早理不尽としか言いようがなかった。

しかし、シャイニャスの考え方は違った。


「分かっていませんね……神の力を使って血を吐く……とても強い代償です……お洋服が汚れてしまいました」

「うわ」


シャイニャスの価値観に、流石にドン引きした。


「おま……この期に及んで服が汚れたって……」

「他にないの? 体の異常とかそういうの」

「神が守ってくれているんです! 私を殺すはずありません! そう! 他の誰でもない有志が!」


サクランが、会話が通じないと感じたのは、貴族と宗教団体であり、シャイニャスは宗教団体と近い感じがした。


「はあ……もういいです……殺しましょうか……」

「最初っからそのつもりだよパパ」

「我が子達を!! 最大級を放ちなさい!」

『ぶぶぶー!!』


サクランJr達は、詠唱を始めた。

拙い言葉ではあるが、それは特に問題はない。

要は発音と詠唱呪文の認識である。

でなければ、呂律の回らない者は魔法使いになる事が難しくなる。

それを払拭する為に編み出された呪文詠唱技術が、発音技術であった。

それを発信したのが、サクラン・ドウであった。

そうすることによって自身を脅かす存在を作り出して、自身の成長を促すためであった。

そして、この時の為でもあった。


「っく!」


シャイニャスは、すぐ手を翳した。


「セイクリッドプロテクション! セイクリッドファイアー!」


そして、防御と攻撃魔法を同時に行った。


「は! そんな程度! まあズルをしているのですから少しは耐えてくださいね!」

「そのズルという呼び方止めてください! これは神から貰い受けた加護です! 有志が私を守ってくれているんです!」

「つまりズルって事ですよね? 良い風に言って誤魔化すとは……貴方の底が見えますね」

「貴方には分からないでしょう……仲間との……愛する者から貰う大切な愛を……貴方のような妄想で欲望を満たす貴方のような外道には!」

「全く……更に語彙力もない……外道以外の言葉が思い付かないのですか? ああ! 頭が良いかもと思っていましたが、ああ! お嬢様でもその程度しか知恵を付けれないという事ですね? 金持ちだから偉いとは私の思い込みでした……すみません」

「!! 許せない!」


シャイニャスは、自身の今までの事を馬鹿にされ、今までお世話になった者、更には父と母、愛するお婆様を馬鹿にされた事は許せなかった。


「貴方は私が倒します! 有志が来る前に!」

「自分で呼んでおいてその程度とは……」


そして、シャイニャスは怒りによって感情を昂らせることによって、魔力を無理矢理上げた。


「ほほう、感情を使いましたか……及第点以下ですね……初歩の初歩の初歩です………そんな基本を使って成長と思っているみたいですね? フフ……」


完全に、侮っている。

サクランからすれば、完全に大人と子供、否、幼児と熟練魔法使いレベルに違った。


「まあ魔法は使えるみたいですから素養はあったのでしょう……素養は!」


ワザと怒りを誘発させて、シャイニャスに魔力を無駄遣いさせようとした。


感情に乗せて扱う魔力は、確かにそれなりの魔力を高める。

しかし、それは感情と魔力を上手くコントロール出来る者が扱う高等テクニックであり、少しでも感情のコントロールと魔力のコントロールの同時並行を乱せば、確実に魔力を余分に使ってしまう。

その分、消費も激しくなるのであった。


「はあはあ……セイクリッドファイアーバレッド!!」


すると、大量の大きな炎が現れた。


「ははは! たかがバレッド如きにそこまでの魔力を! 捌けないとでも?」

「裁けるかどうか! 試してみては! どうですか!」


そして、ファイアーバレッドを発射した。


「フン」

「全く……パパ……」


サクランとピア―Jr、そしてサクランJr達の力によって最小限の魔力で完全に捌けた。


「そんな! どうして!」

「ええ……」

「えええ」

『ぶばああ……』


遂にサクランJr達も呆れ始めた。

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