記録197『絶望①』
「は!!」
激痛の中、シャイニャスは目を覚ます。
体中に、軽い火傷があり、痛みが走るがシャイニャスは、真剣な表情で魔法を掛ける。
「ヒール……」
徐々に、体の火傷が綺麗に治っていく。
「これも有志のお陰……です……有志が居なければ私は殺されていた……」
シャイニャスは、有志に心から感謝しながら、癒しの魔法を掛ける。
「あの……大丈夫ですか……」
シャイニャスを心配そうにしながら、一人の入門生が話しかける。
「私は……大丈夫です……それよりも貴方は……あの下種に乱暴の妄想を押し付けられたのでしょう……」
「う!! は……い……大丈夫かと言えば大丈夫ではありません……でも……ありがとうございます……私達の身を案じて戦いを挑んで頂けたこと……心からお詫び申し上げます」
入門生は、涙をこらえながらもシャイニャスにお礼を言った。
「いえ……結局誰にも勝てませんでした……」
シャイニャスは、申し訳なさそうにしながら頭を下げる。
「いえ! 貴方のその行動が私達は嬉しかったのです! 私達は死ぬまであの男の妄想に穢されるのだと思っておりました……でも貴方のお陰で少し勇気が出ました……次は出来れば抵抗したいと思います……」
「!! 何を言っているの! ダメよ! そんな事をすればあなたが……」
「一体何があったんですか……本来マジシャンハウスの師範は、マボー様が仕切っていると聞きました……それなのに今はあの外道……サクラン・ドウと呼ばれる者が仕切っているなんて……」
入門生の一人が、泣きながら答える。
「全ては1年前の事です……」
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まだ、マボー様が師範をしている事でした。
「ファルナス……皆に食事の用意をお願い出来るか?」
「はい、貴方……」
マボー様は、大切な奥様と共に私達に様々な魔法を教えてくれました。
奥様のファルナスさんも私達を良くしてくれまして……美味しい食事や寝床を用意してくれていました。
「皆さん、何かあれば何でも言って下さいね、出来ることなら私がしますので」
『ありがとうございます!』
皆もファルナスさん、そして先生のマボー様に尊敬の念を抱いていました。
そして、その中には男性も私達同様に居ました。
あの男が入門する前は……
「御免下さい」
「おや? 入門志望ですか?」
それは、ガリガリの体に、褐色の皮膚、斬られたような耳を持ったそばかすの少年が立っていました。
それが奴、サクラン・ドウなのです。
「私の名前はサクラン・ドウです……道場破りに来ました」
「は?」
マボー様も、いきなりの言葉に、理解出来ませんでした。
しかし、すぐに警戒されて、魔力を練ります。
「遅いですね……やはり穢れたチ〇コを持つゲテモノにはその程度がお似合いですよ?」
「何だと小僧……」
「貴方……」
「おや……穢れたマ〇コも居ましたね……本当のこの道場は穢れている……これがこの世界の頂点と呼ばれるマジシャンハウスだと思うと吐き気が止まりません」
「!! 貴様! 一体何様のつもりだ!! ファイ……」
「遅い、バインド……」
「は? それは魔法でなくスキ……」
私が言い返そうとした瞬間、魔力によって師範であるマボー様は縛られました。
「な!」
「貴方!!」
バインドは、普通ロープのような物を出して相手を縛るはずのスキル。
しかし、奴はいつの間にか纏わせた自身の魔力の身でマボー様を縛り上げたのです。
「き! 貴様!!」
「良いですか? 魔法というのは概念に捉われてはいけません……まあ所詮穢れし者のインスピレーションなんてそんなものでしょう……」
呆れる様に、サクランはマボーを見据える。
「さてと……貴方私に反論しようとしましたね……ならばこうです」
「はあ! 一体何を……え……嘘! 止めて! 来ないで!!」
「ナナラ!! 一体どうした!!」
私の目の前には、全裸のサクランが立っており、私を襲おうと迫って来たのです。
『はあはあ、お嬢ちゃん……ナナラって言うんだね……やろうよ……ねえ! やろうよおおおお!!』
「来ないで! いやあああああ!!」
私は、妄想で出来たサクランに組み敷かれてそのまま剥かれました……
しかし、映っている姿は服を着た私がその場に倒れているだけです。
「止めてえええええええ!! ナナラちゃんが嫌がっています!」
「黙れ穢れ……穢れは浄化だ……」
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ファルナス!! ファルナスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」
ファルナスさんは、私を助けようとして、その場で焼かれました。
目の前で奥様を殺され、マボー様は怒りに燃えました。
「貴様あアアアアアアア!」
「フン、やっと及第点50点前ですか……遅い」
「パパああああ!!」
「ミョウナス! 来てはダメだ!!」
娘のミョウナス様は、母を殺された事に勘付いたのか、恐怖で父親のマボー様に駆け寄ろうとしました。
「一丁前に子供を作ったか……下らん……絶望しろ」
「ああああああああ!!」
「ああ……ああああ……」
ミョウナスは、生きたまま焼かれました。