記録196『ピア―の修行』
「何ですかこれは!! 貴方達の方が穢れています!」
シャイニャスは、二人の妄想性行為に対して、怒りをぶつける。
「全く……穢れし魔術師は本当に見方が偏っていますね……」
「全くです……これだからヤリマンビッチの考える事は浅ましくて下らないですね……ああ! 貴方が下らない女だからか!」
「まあまあ、そう言って上げないで……本人自覚ないみたいですし……プフ」
小馬鹿にする様に、サクランとピア―は、シャイニャスを嗤う。
「ならば貴方はピア―を全力で殺しに来なさい……もし殺せたなら貴方を認めて差し上げましょう」
「!! ええ……望むところです……貴方達がどれ程間違った事をしているかを分からせて上げます」
ピア―は、溜息を吐きながらサクランに文句を言う。
「サクラン様! あんなのが相手とは!! さすがに悲しいです!」
「怖いのですか?」
シャイニャスは、ピア―に煽る様に言い放つ。
「どうせ殺してはいけないんでしょ?」
「はい、この戦いはいかに貴方が手加減をしてあの者に勝てるかの修行です……いくら魔力が強く練れたとしてもコントロールが出来なくては貴方の魔力はもう貴方の魔力ではなく、魔力の為の貴方になるでしょう……主が貴方で従が魔力にする為の修行です……まあ一回では出来るとは思いませんが……でも一回で出来るようになってください……」
「!! はい……」
ピア―は、真剣な表情でシャイニャスに向き合う。
「手加減なんてして良いんですか? 手を抜いて私に勝てる程私は弱くはありませんよ!」
睨りながら、シャイニャスはピア―に手を翳す。
「ファイアーボール!!」
「はあ……」
ファイアーボールが、ピア―目掛けて勢いよく向かってくるが、ピア―は息でファイアーボールを掻き消した。
「ま! まさか! そんな!」
「おっと……今のは何点ですか?」
「そうですねえ……30点です」
「ええ! 上手く……」
「ええ……ですが魔力を込め過ぎです……もう少し弱める事を意識してそれを慣れてください……後魔力の目を禁止します」
「!!! わかりました……」
仕方なさそうにしながら、ピア―は目に込めた魔力を外した。
「さてと……集中力を……いや……集中し過ぎるのは良くないですね……でなければサクラン様の言う常、が出来なくなります……」
ピア―は、全ての意識を外した。
ピア―の目は、虚ろになった。
そして、ピア―の魔力も感じなくなった。
「!! バカにしているんですか!! そんな! 私のファイアーボールを息で掻き消した程度で!! どこまで私を馬鹿にするんですか!」
シャイニャスは、涙目になりながらピア―に怒声を浴びせる。
「おやおや……涙目になって……みっともないですね~」
サクランは、ニタリと嗤いながらシャイニャスの様子を見ていた。
「ファイアーランス!!」
鋭い炎のランスを出して、そのままピア―に打ち放つ。
しかし、ファイアーランスは、ピア―のフッと吐いた息にピア―の寸前で消える。
「な!! どうして!! 魔力を感じないのに!!」
「さすが私が見込んだ者……ピア―……魔力をほぼ消す事で完全に魔力に振舞わされない様にしている……一発でここまで成長できるとは……まあ……出来ない者もいるみたいですけどね~貴方達はいつになったらここまで成長してくれるんでしょうか~」
馬鹿にしながら、自身の入門生を見下す。
「ひ!!」
「だって……だってえええ」
「あああああああああああ」
涙を流しながら、悔しそうにする。
「酷い!! どこまで彼女達を馬鹿にするんですか! 大丈夫です! 私が勝って貴方達の苦しみを解放します!!」
シャイニャスは、決意を露わにしながらピア―に立ち向かう。
「ふう……」
小さく息を吐き出しながら、薄い薄い魔力の膜を全体に広げる。
それは、サクランでしか感知出来ない程に薄さである。
今のシャイニャスの技術や魔力では分からない。
「ファイアーバレッド!!」
大量の炎の弾をピアー向けて全発射する。
「分かる……全部」
ピア―が、目を見開くと同時に全てのバレッドが消え去った。
「馬鹿な……そんな……」
「次は私の番、ファイアー」
「え? いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
シャイニャスの体は、炎に包まれる。
「終わり」
「ああ……あああ」
少しのやけどで済んだ、シャイニャスはその場で気絶した。
「素晴らしいですよ、外傷を出来るだけ抑えながらダメージのみを相手に与える、貴方も成長しましたね……だがもう少し抑えればダメージのみに絞れましたね……」
「はい、怪我一つない状態が今の目標です」
「さてと、彼女は負けました……修行を始めましょう」
「ああ……」
「そんな……」
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
妄想による乱暴は続いた。