記録188『覚醒③』
ランクゴは、全ての酒を飲み干した。
「があはあああ!! うええええええ!!」
泥酔し真面に立っていられないレベルになったのはランクゴも初めての状況であった。
「ふん! これならランクゴから殺しても問題はなさそうだ」
「しまった!! レイシャが来るぞ! ランクゴおおおおおおおお!!」
シターギガは、パンティーブーメランを投げてレイシャを追った。
しかし、それより早くランクゴへと迫るレイシャを止めることは出来なかった。
レイシャも必死であった。
覚醒したシターギガから逃れるのは至難ではあったが、命を賭けて殺された門下生達の仇を、そして有志の為に死力を尽くしていた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
そして、居合の速度でランクゴに斬り掛った。
と同時に、ランクゴそのまま倒れて居合を避ける。
「な!! こんなのは偶然だ! もう一斬!!」
再び、同じ速度でランクゴを斬り掛る。
今度は、床に寝そべっている為、当てるのは困難ではなかった。
しかし、それでもランクゴは起き上がり一撃を避ける。
「何で!!」
「ういいいい……」
そして、そのまま軽く手拳を握って、前に突き出す。
「な!! ぶば!!」
レイシャは、その拳に思いっきり顔面をぶつけた。
「レイシャ!! 糞! どんなチートを使った!!」
「あ? チート? 喋っている暇あるのか?」
パパンカツは、首を傾げつつ、粘液の滑りを利用して有志を追い詰める。
「ううぃいいい……」
ランクゴは、息を思いっきり吸い込む。
「はあああああああああああああああああああああ!!」
そのまま、アルコール臭い口臭をレイシャに掛ける。
「うが!! 何だこれは……頭がくらくらする」
レイシャは、顔を赤くしながらフラフラしながら立ち上がる。
「ふあはははああ!! ふあああああ!!」
呂律の回らないランクゴの声を聴いて、パパンカツとシターギガは、頷く。
「分かった」
「任せろ」
そして、パパンカツは近くに合った酒瓶を割り、それを投げる。
「受け取れ!」
「うおおおお!!」
シターギガは、パンティーとブラジャーを数枚投げる。
「何を!!」
すると、ランクゴは息を思いっきり吸って吐き出す。
それを回転しながら吐き、体の周りに纏わせる。
「瘴気……いや……酒気と言ったところか」
体に、酒気を纏わせながら割った酒瓶を持ってレイシャに襲い掛かる。
「ふん! そんな酔った状態で私を殺そうとする気か!! 無駄だ!」
レイシャは、剣を構えてそのまま冷静に裁こうとする。
しかし、近づいた瞬間、激しい頭痛が襲う。
「うう!! 頭が!!」
「ウイ言い合ええあああ! あああああ!!」
「ああ! すぐに届く!」
すると、レイシャに向かってパンティーブーメランとブラジャーバインドが、襲う。
「!! 糞!」
レイシャは、何とか躱そうとする。
しかし、間に合いそうになかった。
『任せろ』
すると、神は風を起こして軌道を逸らした。
「ッチ! 何かいるのか?」
「でなければ今のは躱せない……」
パパンカツとシターギガは、何かに気付き始める。
「うづだああ! ぶばあああばばばば!」
「ああ、そうだな……」
「例えどんな手で来ようと!」
「「俺達を倒そうだなんて! 100年早いって事を思い知らせてやる!!」」
二人は、ランクゴの呂律の回らない言葉を理解していた。
これは長年いる事によって、出来る信頼関係である。
「糞!!」
『落ち着くんだ有志! パパンカツの次の動きを……』
「フン、誰かの声を聴いているな……無駄だ」
一瞬の隙を付いて、パパンカツは有志の周りを回る様に、滑り始める。
そして、その状態で有志の全体をはっきよい発勁で攻撃した。
「ぐがうあああああああああああ!!」
「有志!!」
『糞!! どこまで卑劣なんだ!!』
有志を吹き飛ばされて、神は野次を飛ばす。
「うえええ……」
『レイシャ! 次は……次は……何だ……これは』
「どうしました! 神!」
「神! 神と言ったか!」
「やはり勇者と同じく神の加護を……」
「うおえええうああああああああああああああああああああ!!」
ランクゴは、突如人数が増えた。
そして、レイシャの目の前にもランクゴはいた。
「!! なんだばあああ!」
と同時に、ランクゴの分身は全員一気に発勁をする。
「づええおだあああ! じい! やうづううう!」
「なるほどな!」
「それなら読まれたとしても攻撃は当たるな! さすがランクゴだ!」
ランクゴは、レイシャ仮全員に発勁を食らわして、自身の弱点を無くした。
「これなら自分の次の攻撃を読まれない!」
「更に泥酔する事によって自身のタガを外してスピードを上げやがった!!」
有志とレイシャは、一気に追い込まれた。
「糞……俺だけここで隙を伺うなんて……」
隠れていた門下生、ファンタビーは自身の無力さにイラついていた。




