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記録169『古代魔王の力制御』

ウェルットは、古代魔王の力を体に取り付けてから1週間。

それなりに動けるようになっていった。


「ワニャ!!」


イネの拳を目で追い掛けながら避ける。


「おいおい、目で追っている間は勝てないよ?」

「え? ぶばあ!!」


イネから、視線に入らない拳がぶつけられて、そのまま吹っ飛ぶ。


「がは!! があははは!!」


血を口から噴き出しながら悶絶する。


「感覚を磨かないと……魔王の力でもそれは無理なの? せめて魔力で探知出来るようになるのが課題かな?」

「僕自身の魔力じゃないから分からないよ」

「そのやけどは飾りかい? せめて剥き出しになった肉の刺激で感じ取れるようにして見たら?」

「あの人とんでもない事言い出しましたよ?」

「まあ間違いではないよ? 自身の痛みだとか欠点って意外とそういう部分で役に立つし」


イネの言葉を肯定する惑に、エレンはゾッとする。


「大丈夫、しないよ」

「良かった」


そして、ウェルットは目を瞑った。


そして、イネの全ての攻撃が直撃した。


「あーあ」

「イネさんが変なこと言うから」

「……」


悶絶しながらウェルットは、痙攣していた。


「うむ、制御装置はかなり固く作られているから壊れてないようだね」

「これ壊れやすく見えてそうじゃないんですね」

「いや、外角が強いだけで中身は弱いから……これが取れたら簡単にぶっ壊れる」

「危な!」


エレンは、ゾッとしながらウェルットを抱きかかえた。


「どうしたの?」

「いや……アレン君を思い出して」

「あー、僕がタイラントと合体させた子?」

「何してるんですか!!」

「あれ? 言ってなかったっけ?」


エレンは、初めて聞いたエピソードに、怒鳴る。


「もういいです……村の皆が国に反旗を翻したと聞いていた時から仕方ないと理解していましたし」


しかし、喧嘩をしても意味がないと判断したのか、特に咎める事はしなかった。


「さてと、明後日ぐらいにはティーカー都市を襲って貰おうかな?」

「ねえ? どうしてティーカー都市を襲うんですか?」

「プランも気になる! どうして!」

「え? だってティーカー都市がどうしてあの発明を恐れているのか本当の理由を知るためだけど?」


惑のキョトンとした表情に、エレンは聞き返す。


「いやいや、魔王の力が暴発したら危ないからでしょ?」

「それが絶対の真実?」

「え? いや確かに私にだって考えている理由は分からないですけど……なら襲う必要は……」

「でもあいつ等勇者派でしょ? ならここで潰した方が勇者に有利な状況を潰せるよ? あれ? 潰さない方が良い? 勇者にもそれなりに力与える? そんな余裕あるっけ?」

「良し潰しましょう! 徹底的に潰しましょう」

「潰そう潰そう!!」


エレンとプランが一気に賛成派になった。


「こいつ等……人の命を何だと思っている!」

「黙れ性犯罪者が!」

「テメエだけには言われたくねえんだよ! クズ強姦魔!」


イネは、エレンとプランに罵倒されて頬を染める。


「あれ……」


イネの中で、新しい感情が生まれ始めた。


「さてと、マイッゼルを呼ぶか」

「来ているよ……順調のようだね」

「ああ、後はウェルット君と少し面談をしようとは考えているよ……君もどうだい?」

「いや、私は良いよ……奴等の反応さえ見れれば私はそれで」

「……」

「何かな?」

「いや……君は変わらないなと思ってね」

「?? どういう事だ?」

「いや別に」


惑は、ニコニコ笑いながらその場と立ち去る。


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ティーカー都市、その国から一つの馬車が出ていく。


「糞……奴等はどうして……魔王を勇者では倒せない場合の対策都市ではなかったのか!!」

「時代は変わっているという事でしょうか? それとも怠惰になっただけでしょうか?」


「いやどっちも出もあり、まだあるだろう……金欲に溺れている節もある……もうあの都市はダメだ……」


呆れながらアルノトは、頭を抱える。


「念のために聞くが……君は奴に惚れてないよな? メリッス」

「あれは無理ですね……恋愛対象外です……それに……休暇中に会ったイケメンとの約束がありますから」

「ああ……言ってたわね……まあ……うん、良いんじゃない?」


そんな会話をしながら国を出た数分後。


轟音が響き渡った。


「え! 何!」

「ティーカー都市からですね」

「今度は何! まさか勇者が!」

「あれは……闇の魔力?」

「光じゃなくて?」

「はい」


メリッスの返答に、戸惑いながらアルノトは、判断を下す。


「戻るわよ」

「危ないですよ?」

「いいわ」


そして、二人はティーカー都市へと戻った。


---------------------------------------------------------------


「ウェルット君、君は負ける……勇者に」

「!! でも」

「でも古代魔王の力があるって言いたいんだろ? でもそれは君の才能でも力でもない……いくら練習で慣れても本領までは発揮されない……それは元々古代魔王の才能だ……君が勝つにはもっと別の何かが必要だ……それは君自身が覚悟を持たなければならない事だよ」

「……何ですか?」

「知りたい?」

「はい」

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