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記録168『素材と機械の融合』


「まず、古代魔王の残った素材を核にして増幅する機械に通していく……だが魔王の魔力は人間の強い憎しみに反応する……勇者への憎しみがない限りは動き出さない……そしてこの魔力を扱うには制御装置が必要だ」


マイッゼルは、頭に付けるヘルメットにチップのような物を付ける。


「なるほどねえ……これで魔王に意識が乗っ取られないって事か? そうすれば魔王の復活も防げるって事かな?」

「!! 何故そんな事が分かる」

「お約束かな? そういうのって……それに魔王ってどうして自身の一部を残して死んだのかって考えれば相手に乗っ取ってでも復活を考えているっていうのが分かる」

「!! まあ……そうだ……人間が愚かな事を奴も知っていたんだろうな」


惑は、マイッゼルがどうして国がこの開発を止めたのか、理解出来ていると認識した。


「ま、いいか……本当の理由がそれとは限らないし」


惑は、取り敢えず気付かない振りをし続けた。

ある事を確かめたい為だけに。


「さてと、ウェルット君、君にはこの魔導機械が完成したら装備して貰う……そしてこれを使ってまずは街を一つ破壊して貰う……そうすれば確実に勇者を誘い出せると思うだよ……どうだろうか?」

「!! ……ああ、お願いするよ」


反応が薄い少年の表情を見て惑は少し嬉しそうであった。


「さてと、どうやってウェルットに施すの?」

「神経と魔導線を繋げます……そしてウェルット君が自由自在に動かせるように……」

「脊髄にしないの?」

「え?」


マイッゼルは、キョトンとした。


「脊髄なら神経の束があるからある意味では手足を動かす部分に繋がっているよ? そこを麻痺させられたりすると体が動かなくなるのはそういう仕組みがあるからだしね……だからもし機会とウェルット君を一心同体にするならばそこが一番都合が良いと思うけど?」

「!! なるほど……生物専門の改造とはよく言った……」

「まあそういう訳でウェルット君、もし失敗すれば君は永遠に寝たきりになるかもだけどいい?」

「……うん」


惑の話を聞いて、少し恐れをなすが、それで絵も尚決意は固かった。


「さて、ウェルット君から契約サインも貰えたし! 始めますか!」

「!! ああ!!」


マイッゼルは、嬉しそうにしながら承諾した。


そして、ウェルットと古代魔王の力魔導機械の設置が始まった。



そして、3時間後


「出来た!!」


惑は、嬉しそうにしながらマイッゼルと一緒に戻ってきた。


「良かったですね……で? ウェルット君はどうなったんですか?」

「生きてるよ? ちょっと調整の為に慣らし運転が必要だけど」

「……ふーん……で? どうして私じゃないんですか??」

「君は僕の研究で進めてるし……いきなり別の方法を取るのはちょっとねえ……何? したかったの? 絶対に勇者に勝てるとは思ってはいないけど?」

「ごめんなさい……」


エレンは、即座に謝罪をしてその場から立ち去る。


「あ! ちょ! まあいいや……イネ」

「はいはい」

「鍛えてやりなさーい!」

「……ワニャン」


仕方なさそうに承諾する。


そして、イネとの特訓の日々が始まった。


「あああ!!」

「そんな適当な動きなら勇者どころか町破壊の時点でミスるぞ!」

「はい!!」


ウェルットは、必死にイネの特訓に着いて行った。


「やってるねー」

「ああ、……もう少しで……奴等を……」


何処か憎しみの目で街を見るマイッゼルを惑は、微笑みながら見る。


---------------------------------------------------------------


「マイッゼルを追い出しただと!! 私の許可なく!!」

「ああ! だってそうだろ? 勇者がいる中どうしてあんなものが必要なんだ!」


アルノトは、唖然としながら貴族達を睨む。


「だからと言って優秀な研究者を!」

「事が起こる前に奴を追い出さないと」

(寧ろそんな奴国で管理するべきだろう! どうして追い出すんだよこいつ等ああ!! もし西院円惑が拾ったらどうなるか!)


「今なら間に合うと思います……マイッゼルをもう一度」

「いくら王でも許せないですよ! ティーカー都市は私達が今管理しているんです! 宗教的に敵だとなれば追い出すべきでしょう! それに……今の研究だけで儲けは十分ですよ」

「ははは! 足りなければ国民から取ればいいんですよ! 研究費としてならば彼等も出すでしょう?」

「っち……結局金か……」

「何か言いましたかな?」


アルノトは、頭を抱えた。


「いいか! 例え勇者が召喚されても絶対ではありません! なら別の対策を」

「勇者が魔王に負けるとでも!! そんな考え方は許されません!」

「でも!」

「皆さんの言う通りです! アルノトさん、貴方の不安は分かります……だけど俺が負けると鼻から決めつけるのは良くないですよ!!」


その言葉を聞いて、アルノトは冷汗を掻く。


「勇者……天山有志」

「マイッゼルのやり方は間違っている! 古代魔王の力を使おうだなんて! そんな事は許されない!」

(お前の許されないはただの独善的正義から来るもんだろうが!!)

「もしこれで私が貴方の意見に否定的であればどうするんですか?」

「簡単です……僕の愛で貴方の不安を忘れさせるまでです」

「それはいい!」

「ええ!!」

「そうしよう!」

「いやあああああああああああああ!!」


アルノトは、その場から逃げ出した。


「ま! 待って!!」

「まあいいじゃないですか……王もきっとわかってくれますよ!」


しかし、アルノトが戻ってくる事はなかった。

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