記録167『魔工学的改造手術』
「さてと、マイッゼル君、君は僕と違い魔工学の専門家だ……そんな君ならばどうこの子を改造する?」
惑の質問に対して、マイッゼルは答える。
「魔改造します……俺はあの子の体に対して改造を施します……貴方の様に遺伝子から改造するのではなく……体を上手く魔工学で繋げて古代魔王の力を制御する」
「ふむ、僕もそれが良いと思うよ……今までのやり方ばかりだとインスピレーションが乏しくなる……それに僕のやり方だと誰でもが難しいんだよなあ……もしかしたら魔工学が発展すればお爺ちゃん、お婆ちゃん、奥さん、旦那さん、少年少女に幼児達が気軽に古代魔王並みの力を使えるようになるかもしれない……」
惑は、古代魔王の魔改造が商品化された未来を想像した。
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「最近腰、膝関節、肩こり、リウマチにお悩みの方! 必見です! この魔攻改造を受ければ、全てが解消されます! それがこの! 古代魔王の力!」
『ある錬金術師達により開発されたこの古代魔王の力は! 1000年前の魔王から取られたと言われる素材を使用した安全な魔工学改造により! 古代魔王の力を取り込む事が出来ます! この魔工学改造を受ければ! 今まで辛かった階段の昇り降りが! 重い荷物が! 更には今まで困難だった魔物との戦闘すらも可能となります! 実際に魔工学回想されたグランバールさんとグランマーザルさんに感想を聞いてみました!』
「私は元商人で、今までは積み荷もモンスターの退治も冒険者ギルドにお願いする始末でした……でも魔工学改造された今の私であれば! 今まで出来なかった重い荷物も! 今まで倒せなかったエンシェントドラゴンも! 楽々倒せます! いや~! 古代魔王の力を手に入れて本当に良かった!」
「私は、少し離れた街に孫がいるんですが……その為に馬車に乗せられてその揺れで腰を痛めてました……悪化した後はそれすらも敵わないと思っていたんですが……古代魔王の力を魔工学改造で手に入れたからは人生が一変! 街まで馬車で2時間掛るはずが、今では自分の足でたったの2分で着くようになりました! いつでも孫に会えて本当に幸せです! 更に孫には、ゴブリンの群れを焼く事により出るゴブリンの断末魔をせがまれる様になりました!」
「ばーば!! もっかい! もっかいゴブリンの断末魔聞きたい!」
『その古代魔王の力を! 今なら聖銀貨1000枚のところを! ななななんと!! 今から30分以内に水晶連絡してくれた方に! 何と立ったの銀貨1000枚でのご提供をさせて頂きます! お問い合わせは! 水晶コード! 〇△※?=$#&%でのお問い合わせです! お急ぎください!!』
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「こんな感じで!」
「「嫌だわ!!」」
惑の意味不明なイメージに対して、イネとエレンが悲鳴のような声で拒否した。
「なんで!」
「何でじゃないですよ! ゴブリンの断末魔を聞いて喜ぶ子供なんてサイコパスだろ!」
「肩こりリウマチ腰の痛みはどうした! 全然関係ないじゃないですか! 寧ろエンシェントドラゴンそんな簡単に討伐される方がヤバいわ! 国の危機として捉えられて当然だわ!!」
「大丈夫大丈夫、これがまるで当然になれば、古代魔王の力を基準にした強さが生まれるから強さ的には国が運営出来るって!」
「安易な考え方で人類が進化出来ると思うなよ!」
イネとエレンの否定に、惑は顔を顰める。
「失礼な! 安易とは酷な! そんな考え方では人類は進化出来ないぞ! そんな考え方は良くないなあ!」
と意味不明な説教を垂れた。
「もう! マイッゼルさんも何か言って下さいよ!」
「……なるほど……つまりは……」
「マイッゼルさん?」
「え? なに?」
「今ヤバいこと考えてました?」
「?? そんな事はないですが?」
「それならいいですけど……」
惑は、マイッゼルの表情を見て嬉しそうにする。
「まあそれはまた別に機会という事で」
「永遠に来ない事を祈りますよ」
そして、惑はマイッゼルと話を詰める。
「で? ドワーフは使う?」
「ああ、すまないが皆私の指示書に目を通してくれ……状況は改造をしながら訂正を入れる……その上で性交させたい」
「分かった……任せろ」
「では魔工学は僕は良く分からないから生物的な部分での意見という事で」
「ああ、お願いする」
こうして、ウェルット古代魔王の力取り込み計画の話は進んだ。




