記録163『テュリアメル殺人計画』
「テュリアメル! テュリアメル!!」
有志達は、テュリアメルを探す。
「気配はするよ! 有志!! テュリアメルは確かにここにいるよ!」
しかし、どこを探してもテュリアメルは見つからない。
シャイニャスは、サーチの魔法で、テュリアメルの魔力を探る。
「ダメです! どうして! 魔力を感じない……」
「魔力が薄すぎる!! 人間の魔法じゃ限界だよ! でもどうしてこんなに!」
何とか見つけようと必死に探し回る。
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「ミュリュアメル……何とかしてテュリアメルを殺さないと」
「そうですね母上」
テュルメアスとミュリュアメルは、テュリアメル殺人計画を立てていた。
「二人はどうして娘であり妹を殺そうと考えてるの? エレンちゃんみたいに復讐とは違うよね?」
惑は、二人の殺人の動機が気になって聞いた。
「簡単ですよ、テュリアメルがイネ様の敵だからです」
「そうです、イネ様の敵と言うならそれは最早私達の敵です……イネ様の愛を受け入れない上に計画の邪魔をするというならそれは許される事ではありません」
二人は、完全にイネに心を支配されていた。
「イネ……これは一体?」
「私自身にはフェロモンが常に出ててね、したらその時から虜になっちゃうんだよ」
「でもテュリアメルは壊れてたけど?」
「あれは虜になったことに罪悪感を憶えてしまって、その拮抗の末に壊れた感じかな?」
「夫とはご無沙汰?」
惑は、テュルメアスに確認すると、テュルメアスは残念そうな表情で言った。
「ご無沙汰です……あの人は私を扱使って」
「なんて事だ! 許せない!! さ! これ僕が持って来た魚だよ! 後獣の肉!」
「ま! 美味しそう!! しかも調理されているわ!」
「お父様もこれぐらいしてくれたらいいのに」
「なるほど……男尊女卑がエルフ界にも存在していたとは」
文化による不満は何処にでもあると惑は感じた。
「まあテュリアメルは、エレンちゃんの邪魔にもなるしそれは私も良いと思うよ! どうする?」
「やっぱりイネさんが呼び出しても出て来ないと思いますので私が呼び出してミュリュアメルと共に崖から落とすのが良いでしょう」
「ならすぐにでも実行を!」
「プランがつるで送ってあげようか!!」
プランは、嬉しそうにしながら二人に提案した。
「良いんですか!」
「嬉しいです! お願い出来ますか! 私にもイネさんのエイズが入りテュリアメルの位置は把握出来ています!」
プランは、ケタケタ嗤いながら頷く。
「いいね! それ! 覚えたいから協力するよ!!」
そして、プランはつるを二人に伸ばして入り込む。
「ふむふむ……なるほど……繋がりが大切なんだね……プランも出来る様になれば更なる進化は遂げられる……ウイルスじゃなくて菌とかが良いか……それとも毒の分泌が良いかなあ?」
悩まし気に考えながらプランは二人をエルフの里に送った。
そして、プランの妨害工作のお陰で有志達は自由に動き回る事が出来ない。
その間に、二人はテュリアメルを探し出した。
「テュリアメル!!」
「ああああああ……ああ……おがあ……おがあざま」
テュリアメルの目に光が少し戻る。
「ああ……お母様に大切にされた日々……お姉さまに愛された嬉しい日々……戻りたい……有志を紹介して……幸せを教えたい……」
テュリアメルから奪われた記憶の中に母親、姉との思い出が流れ込み正気を取り戻す。
「ああ……おがあざま……わtだい……イネと呼ばれるケダモノに……穢されてしまいました」
「はあ? 穢された?」
テュルメアスは、怒りに燃える。
「ううううう……まだ我慢しろオオオ……あわああああだああじいい!!」
ミュリュアメルも自身の妹に対して、殺意を抱く。
「どうしたのです? お母様……わたじは……かえって……西院円惑も殺して……イネも……」
「「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」」
「え……お姉さま……や! やめ! あああああああああああああああああああ!!」
持っていた弓で、二人に突き刺された。
「があああああ!! ああああああああああああああああ! いだい!!」
「死ねえええええええええええ!!」
「落ちろおおおおおおおおおおお!!」
そして、二人はテュリアメルを掴んでそのまま崖へと突き落とした。
「女の怒りは怖いねえ」
「そうだねエ」
「そうだねえって……イネがさせた事ですよ?」
「そうだそうだ!」
エレンとプランは、イネをジト目で見ていた。
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「テュリアメル!! テュリアメル!!」
そして、その思しき姿を有志は見つけた。
しかし、テュリアメルは無惨な姿で見つかった。
「そ……そんな」
「テュリアメルさん……一体誰が」
「糞!! きっと西院円惑だ! 許さない!!」
「殺してやる! よくも仲間を!!」
その姿を見ていた惑は、首を傾げる。
「僕指示なんて出してないよね?」
「はい……そうですね」
「本当にすみません」
頭を抱えて、テュルメアスとミュリュアメルは頭を下げる。
 




