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記録14『改造手術施行』

「ではアレン君、君は今から完全にオーガになる改造手術を受ける事となる、麻酔は無いけど……まあ合成とか遺伝子に組み込むとかで腹に穴は開けないから切り開く痛みは無いけど……ただ変貌による激痛は感じる……決して痛みに負けてくれるな」

「分かりました……お願いします」


覚悟を決めるが、恐怖のせいかアレンは目を瞑る。

しかし、惑はお構いなしに、改造手術を開始する。


異世界での人間を対象とした人体改造は、惑にとって初めての事であった。

元の世界では、父親が闇医者であり、ヤクザの弾丸摘出や詰めた指の回収と抗争による怪我等の応急処置を手伝い、その際にヤクザの指の代わりに仕込み針や足を失った者には、仕込み銃を加えて改造するという、子供らしさに欠ける遊びをしていた。


勿論、ヤクザ者に対して勝手な事は、出来ない為、許可が降りた際のみの遊びであった。


そして今回の改造手術に用いるのは仕込み用ではなく、ましてや体の一部でもない。

人間そのものを使い、他種族を合成する、惑にとっても未知の領域であった。


そんな好奇心を揺さぶられる状況に、我慢出来るはずがなかった。


「さてと、まずは遺伝子を組み込んで、合成」

「!! いぎゃアアアアアアア!!」


アレンはあまりの激痛に悲鳴を上げた。


「ほほう、そんなに痛いのか! イネの時は悲鳴が小さかったが……だが我慢だ! 我慢するのだ! 本来時間を掛けて行う鍛錬などを短縮して強くしている! その時間を考えればその痛みは代償だと思うんだ! それこそが君が強くなる為の道のりだ!」

「ああ……あああ……ああああ」


涎が口から零れる中、アレンは拳を握り締めて必死に耐えた。

そして、徐々に体が膨張するように変貌していく。

そして、変貌が止まると同時に息を荒くしながら、アレンは虚ろな目で惑を見る


「よく耐えた……やはり一気にするより少し少し馴染ませるように体を改造する方が良さそうだ……少し休憩時間を置く」

「は……はい……」


一息吐きながら惑は聞いた。


「僕は合成のスキルを使っただけだけど……君自身の気分はどう?」

「最悪の……中の最悪……にいる気分です」

「そうか、でも僕の言いたい事も分かるだろ?」

「……はい」

「それが君の選んだ道だ……そして並々ならない覚悟の末この道を君は今耐えている段階だ……だから段階で死んだら君の目的は達成されない、さてと……次だがいいね?」

「……はい」


呼吸が落ち着いたのを見て、惑の質問にアレンは力強く答える。


「次に魔石と角を一気に合成する……遺伝子の拒絶反応は見られない分恐らくここから死ぬ確率は一気に下がるはずだ……出も油断すれば死ぬ可能性もある……」

「はい」

「合成」

「っぐ!!  あああ!」


短い悲鳴を上げ、アレンは少しグッタリする。

だが、少し休んだだけなのか、すぐに惑を見る。


「なんだか慣れてきました……痛みはありますが耐えれそうに……」

「分かった……」


こうして、惑はアレンにオーガのスキルを全て追加した。

追加は、相手にスキルを入れるだけの能力な為、肉体的負担は少なかった。


惑は、追加までを終えると同時に、アレンに手を翳した。


「鑑定」


Name:アレン

HP:1020、MP:1020、攻撃力:10200、防御力:12000、スピード:102、知力:380魔法:攻撃力倍化、ファイアーボール、ファイアーシールド、インフェルノ、スキル:剛力、鬼人化、威嚇、狂化、甲殻化、炎攻撃力アップ、職業:村長Lv2と記載されていた。


「へえ、君炎系の魔法覚えているんだ」

「え? 一体どういう……」

「え? 知らなかったの? 取り敢えず分析」

『アレンは、魔法の相性としては炎に適性がありましたが、レベルが上がっていない為、覚えておりませんでした、しかし、先程惑様がオーガを合成した際、村長としての誇りが呼応し、レベルが上がったと思われます、その際魔法を覚えられました』

「なるほどねえ……つまりこの子はこのまま強くなっていけばもっと魔法が覚えれるって事か……良かったね! 君自身でも強くなっていくからこの改造手術に物凄く意味があるよ!」

「そっそうですか……ありがとうございます」


苦しそうにしながら、アレンは自身が人間ではなくなった事に少し落ち込んでいた。


「気持ちは分かるとは言わないよ……僕は人間で亡くなってないけどね、でもそれは君自身の覚悟の現れだ、その落ち込みの気持ちは大切にした方が良い……それがあるという事で自分が何の為に人間を止めたのかはっきり認識出来るよ」

「……ありがとうございます……何から何まで……」

「いえいえ、僕も貴重なデータが取れたよ」


惑は、嬉しそうにしながら部屋を出て行った。

アレンの目からは涙が零れていた。

しかし、同時にその落ち込みと涙を感じる事で、次に自身がすべきことが理解出来た。


「ならずこの村は俺が守る……見ていてくれ……親父」


落ち込みを胸に納めて、大切にしながら戦う為に覚悟を決めた。



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「ふー……」

「お疲れ」


椅子で寛いでいる惑に対し、イネは話し掛ける。


「イネか、村は?」

「魔物が数体来たけど倒した」

「その死体はちゃんとある?」

「うん、とってある」

「ありがとう」


惑は、イネの頭を撫でて、イネは嬉しそうにした。

今日は短いけど楽しんでください!

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