記録154『消滅』
「そういえばさあ! お前の聖剣に嵌め込んだアーティファクトだが? それどうしたの? もしかして壊した?」
「!! 貴様!! アーティファクトでエレンちゃんを殺させる気か!! 俺自身が跳ね返せばエレンちゃんに当たるだろ!! まさか仲間を見捨てるつもりか!! やはりどうぐとして見ていたんだな!!」
「うん、まあ道具というより研究対象かな? ね! エレンちゃん!」
「はい、その通りですね……間違いなく私も協力者として惑さんと組んでいます……私の体がどうなろうと構いません」
エレンは、覚悟を持った目で有志を睨み付ける。
「貴様……まさかエレンちゃんを穢したのか!!」
「は?」
惑は、何を言っているのか理解出来なかった。
どうして今エレンが惑に強姦されたという話になったのかが分からないのだ。
「何を言ってるんですか?」
エレンも、呆れて聞き直す。
「貴様……なんてことをしたんだ!! よくも!! 許さない!!」
「こいつ……もしかしてイネと同じ思考パターンの奴?」
「ああ……どっかで感じた思考だと思ったら……そうか……ある意味ではこいつも同類かあ……キモイ」
「エレンちゃんにそんな事を無理矢理言わせるなんて!! 許せない! お前がエレンちゃんにした事!! 俺が絶対に許さない!! そしてエレンちゃんの心は俺が浄化……」
「だから止めろっつえんだろうがよおお!! キメえんだよおお!! 何が浄化だああ!! この変態ガアア!!」
乱暴な言葉で何度も罵倒を繰り返す。
しかし、有志は諦めない目でエレンを見つめ、惑を睨み付ける。
「エレンちゃんにこんな乱暴な……」
「もうこいつ何言っても無駄だな……ある意味勇者だよ……何か嗤けてきた……」
「そうですね……そう……聞かない……私はもう何も聞かない」
惑は腹を抱えて嗤い、エレンは心を静めた。
「あ……何か凄い」
「っぐう!! 何だ!! どうして急に威力が!!」
結果、エレンがプラントブレイドから放つ聖魔力の威力のコントロールが緻密になった。
「なんて事だ……元来少年漫画とか映画とかで怒りを力に覚醒する主人公を僕は見て来た……だが!! かつてあっただろうか!! イライラの力で覚醒に至った者の存在を!! ギャグ漫画ぐらいでしか見た事がない!! まさか!! この世界はギャグ漫画の世界なのか!! そうなのか!! もしそうなら答えてくれ!! この世界を作ったであろう作者!!」
そんなつもりで書いているつもりはないが、そう思われても仕方ない事も書いている気がする。
そんな事はさておき、有志はエレンの聖魔力に追い詰められていた。
「っぐう!! ぐがあああああ!!」
そして、聖剣にヒビが入る。
「そ……そんな……」
「馬鹿な……聖剣に……」
「いや……そんな」
「お願い……負けないで……有志……」
4人は祈る。
そして、有志の勝利を心の底から願い続ける。
しかし、現実は残酷であった。
「が! がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
有志は、防ぎきれずに、聖魔力の中に包まれた。
「ああ……」
「有志……まって……」
「そんな……いや……」
「いや……いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
シャイニャスの悲鳴と共に、聖魔力が消えると同時にそこには有志の姿はなかった。
「……え? え! あえ!! 嘘!! もう終わり!! は! 糞つまんねえええ!! 自慰行為にすら匹敵しねえよこれ!!」
「まあ呆気ないものですよ、強いと言われた奴程そういう者です」
「ああ……まあそうなのかもなア……でっもなああ! なんかあ! もっと色々準備する予定だったのに……ああ! あーあ! まあこんなもんか!! 勇者なんて……」
「ふざけないで!! クズ!!
ガッカリしたように有志に、失望する惑を見てレティリアは罵声する。
「貴方のせいで……貴方のせいで勇者が死んだのよ!! それを! それおおお!! つまらないですって!! こんなもんですって!! 世界が滅ぼされるかもしれないのに!! それを!! 貴方の身勝手のせいで!」
「ああ、そうだね、じゃ」
惑は、無視してエレンと一緒に帰ろうとする。
「待て! 私達がまだいるんだぞ!! それを!! 無視して」
「捕まってんじゃん……バイバイ」
惑は、見向きもせずにそのままその場を離れた。
「ああ……どうして……なんでえ……」
4人は、その場で泣き叫んだ。
「ゆるざない」
テュリアメルは、涙を流しながらその場を離れ始める。
----------------------------------------------------------------
「あーあ! つまんな!! でもまあいいか……君も復讐が終わったしスッキリした?」
「うーん……まあ不完全燃焼ではありますね……まさかあんな程度の低い技で死ぬなんて……」
惑とエレンは、呆れながら帰っている。
『誰が死んだと?』
「??」
「何か言いました?」
聞き覚えのない声が聞こえた。




