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記録152『戦い』

「やっと見つけたぞ! 西院円惑!!」

「やあ、久しぶりって事もないか……最近どう?」

「どうだと……ふざけるな!! 貴様のせいで! どれだけの人が苦しんだ! どれだけの人が死んだ! 全部! 全部お前のせいで!!」

「ふーん、まあそうだろうね、科学の成長に犠牲はよくある事の事象の一つだ……寧ろそういう積み重ねこそがまさに成長の糧になる、そうだと思わない?」


有志は、惑の言葉に怒りが湧いた。


「黙れ! 人間の叡智を! 人間の知恵を! 人間の素晴らしい努力を! 犠牲はよくある事の事象だと! 成長の糧だと! 違う! 人間は守りたいものを守る為に科学を生み出した! 科学は貴様の玩具じゃない! 命はお前の玩具じゃない! 絶望を乗り越える為に発展してきた道なんだ! お前と違ってな!!」


有志の言葉に、惑は溜息を吐く。


「そうか……そう考えるのも無理はない……だって散々道徳とか倫理とかで人の命は大事だとか人のそんな感じの体の良い善がりたくなるような言葉で誤魔化されてきたからな……でも事実は違うだろ? 科学によってどれだけの生物、植物、環境、そして人間が壊された? それもまた事実だと思わないかい? ナチスでは非人道的実験が行われ、戦争の為に作られた銃器や爆弾、兵器で大量の死亡者……それだって人間が生み出した科学の叡智だよ? それらを忘れてやるなよ」

「黙れ! 何が叡智だ! それらは間違った科学だ! だからこそ皆そんな歴史は拭い払おうと科学を正義として使おうとしている! そもそもそんなのは科学じゃない! 人の悪歴だ!! そいつ等を滅ぼして正義の道を進もうとしているんだ!!」


惑は、有志の反論に嬉しそうな表情をする。


「何だ……ちゃんと犠牲にしてるじゃないか、分かっているようで良かったよ、な? 言った通りだろ? 科学は犠牲を糧に成長する者だって」

「!! 貴様ああああああああああああああああああああああ!!」


有志の怒りは限界であった。

そのまま、惑に襲い掛かる。

しかし、聖剣は何かに防がれる。


「全く、惑さん煽り過ぎですよ?」

「そんなつもりはないけどなあ……」


エレンは、有志の聖剣を往なして、そのまま攻撃に繋げる。


「っぐ!!」


有志は、寸前で躱すが首筋が少し斬れる。


「貴様! 西院円惑! 貴様はいつもそうだ! そうやって自分では何もせず罪のない者に汚れ仕事をさせる!! どこまで人の心を踏み躙るつもりだ!!」


有志は、エレンの攻撃を警戒しながら惑への攻撃を考える。

しかし、それは筋違いであった。

エレンはエレンの復讐心で有志を攻撃している。

惑は、有志のヘイトを買ってエレンの復讐を手伝っている。

惑にとって一番の興味はエレンがどう有志を殺すべきかが、興味の対象であった。


「さてと、どのように戦いどのように攻めてどのような結果が生まれるのか……楽しみだ……」


有志は、エレンの体を見て気付いた。


「エレンちゃん……君……その体……」

「気安くエレンちゃんとか言うな……虫唾が走る」


エレンの体には、大量のつるが這っていた。


「有志! これは! 寄生のスキルを無理矢理与えられたドライアドの力だよ!」

「貴様!! 我が領地の者になんてことを!!」

「よくも民を騙しそんな真似を!!」

「許しません!! 貴方だけは!!」


仲間達も、怒りを露わにしながら惑を睨む。


「惑さん、イネさんいた方が良かったのでは?」

「今は君がどうコイツ等を調理するかを集中すべきでは? さ! 来るよ!」


エレンは、体のつるを使って襲い掛かる4人を巻き付く。


「きゃああ!!」

「っく!! 何だこれは!!」

「いやああ!!」

「いいたい!」


そして、有志とエレンの戦いが始まった。


「大丈夫皆! 俺が必ず彼女を助けて見せる!!」

「フン、気持ちの悪い」


エレンは、プランブレイドを使った。


「さてと……斬り刻んであげますよ……」


冷たい声と目で有志を見据える。


有志は、飛び込んで惑を狙う。

惑は、全く動く事なく様子を見る。


「はあ!!」


エレンは、惑を狙う有志の横腹を狙って剣を突く。


「っく!!」


有志は、避けたせいで惑に向けた剣がずれた。


「よいしょ」


惑は、当たる寸前で軽々避けた。


「ほらほら、ちゃんと相手を見ないと勝てないよ?」

「っく!! 卑怯者め!!」

「何度言うの? 良いから集中しないと」


惑は、興味津々で二人の戦いを観戦する。


「があああああああああああ!!! 何だ!」


すると、有志の横腹につるが伸びる。


「寄生されたか……まあ予想通りだな」

「スキル! 状態異常無効!!」


それと同時に、つるは朽ちていく。

しかし、再び有志の体から急成長するように生えた。


「前に言ったでしょ? 君の魔力自体が聖魔力と繋がっているって、成長がないなあ……」


惑は、そんな事も学ばないのかと云わんばかりに、呆れ返る。


「だが! 俺の魔力もスキルもHPも何度でも回復する!! こんなの屁でもない! 待っててくれ! エレン! 今君を解放する!!」

「そうですか! ならとっとと死んでください!」

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