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記録12『改造人間前』

「さて! 準備準備!」


惑は、意気揚々とアイテム袋から隷属書を二枚取り出した。


「惑……まさか……あの純粋なアレン君を騙したの……最低」


イネは、惑の行動にドン引きする。


「見損なわないでくれる? 君のような強姦魔とは違うんだから、採取」

「強姦魔!?」


惑は、イネに言い返しながらも隷属書に手を翳し、採取を行う。


「複製、隷属、隷属同士で合成」

『隷属と隷属の合成の結果、契約が誕生しました』

「紙に追加」

『承知致しました』


隷属書は、契約書へと変化した。


「え!」

「ふむ、やはり相手の自由を縛り合う効果を組み合わせるとこうなるか」


イネが、驚いているのを他所に、惑は、嬉しそうに契約書を眺める。


「取り敢えず、隷属のスキルは僕でも持っておこう、採取、追加」

『スキル:隷属を手に入れました』

「効果は?」

『血を媒介として、相手を服従させる事が出来ます』

「隷属書を貰った時と同じ説明か、なるほど」

「そんなスキルどうするの?」

「必要時に応じて使う……基本人間相手には契約書を使って改造をする……相手に命を張らすなら僕だって失敗に応じてそれなりのペナルティーを負うべきだ……」

「ふーん、で? 他に準備は?」

「人間を改造するにあたって、必ず動物実験をする……さっき村にいたネズミや害虫を手に入れた」

「それで実験?」

「ああ、当然……」


そして、惑は、ネズミを斬り付けて、血を舐めた。


「隷属」

『ネズミを隷属しました』

「まずは角だ……複製」


二つに増えた角を手に惑は、ネズミに視線を移す。


「合成」

「ジュウウイイイイイイイ!!」


ネズミに無理矢理、オーガの角を与えて動かしてみる。


「ふむ、動くはあまり変わらないな……次はスキル、鬼人化」


アイテム袋から鬼人化のスキルの入った試験官を出して、複製しネズミに合成する。


「zyずうううあやうあやう!!」


すると、ネズミは藻掻き苦しみ出した。

そして、しばらくすると落ち着き出して再び動き出す。


「よし、ここまではOK、ならば次は……鬼人化しろ」

「じゅうううううああああいいいいいあああだだああ!!」


ネズミの体は膨張し始め、それと同時に体から血が飛散する。

そして、そのまま破裂した。


「分析、実験結果は?」

『ネズミが大量の魔力に対して耐えきる事が出来ませんでした』

「なるほど……次のネズミ」

「え? これ続けるの?」

「当たり前だ……明日までに効率の良い改造人間を作るには」


そう言って、惑は再びネズミを使って実験を開始する。


「ネズミに今度は鬼人化のスキルのみを追加だ、複製、鬼人化とスキル追加」


するとネズミは、体を膨張させるどころかドンドンと萎んでいき、体が骨と内臓ごと押し潰れた。


「今度は魔力不足で体が耐えきれなくなったか?」

『その通りです』


そして、今度は鬼の遺伝子を採取、それをネズミに錬成した。

すると、ネズミはオーガのような凶暴な見た目へと変化した。


「鑑定」


Name:ネズミオーガ

スキル:繁殖、生存本能


「オーガのスキルまでは引き継がないか……イネもアイツ等のスキルを引き継いだ様子はなかったし」


惑は、ある事に気付いた。


「スキルの中には追加しても問題ないものはある?」

『可能性はあります、その者の魔力量より消費が低ければ問題はないかと』

「思ったんだけど、分析で調べればこんな事しなくても良いんじゃないの?」


イネの言葉に、惑は溜息を吐く。


「こういうのはね、失敗するからこそインスピレーションが高まるんだよ、適度な失敗は新たな発想を生み出す起爆剤になる、だからこそ全て分析でやってしまうのは愚策なんだ」

「適度な失敗? 失敗しすぎてもダメなの?」

「そう、失敗し過ぎるとスランプに陥って何をどうしたら良いのか分からなくなる、乗り越えれば得られるものもあるけど、それまでに挫折してしまう可能性が大いにある、それに今は時間がないから適度に脳を刺激して効率よくインスピレーションを働かせたいんだ」

「ふーん、そんなものか」


イネは、よく分かってなさそうにしながら、実験を眺めていた。


「さてと、次はこの合成獣オーガにスキルと角を入れてみるか」


ネズミオーガの見た目は、角の生えた凶暴そうなネズミになった。


「鬼人化」

「ぢゅううううういいいいいいいいいぎぎぎ!」


体が徐々に膨張し始めるが、途中で止まってしまう。


『恐らく魔力不足によるものかと』

「魔石で魔力を増幅した方がいいか」


惑は、魔石を一つ置き、手を翳す。


「複製、収縮」


二つに増えた魔石の一つが小さくなった。


「これでネズミオーガに合成すれば、鬼人化」


すると、ネズミオーガは、体が大きくなり、熊ぐらいのサイズへと変貌した。

その為、近くにあった机が壊れた。


「おお、凄い! イネ! 取り敢えず外出よ!」

「はいはい」


イネは、子供のように喜ぶ惑を見て、呆れながら指示に従う。


「よし! イネ! このネズミと戦ってみて! どれだけ強くなったか試してよ!」

「今からですか?」

「そうだけど……疲れてる?」

「そういうわけではないですが、夜ですよ?」

「大丈夫だよ、魔物が出た事にすれば問題ないって!」

「完璧に隠蔽してるじゃないですか……まあいいですけど」


いねは、仕方なさそうに体を解し始める。

そして、惑は両者の真ん中に立ち手を挙げる。


「掛け声と共にイネを襲えよ、よーい! 始め!」

「ワニャア!!」

「じゅううう!!」


掛け声と共に手を振り下ろすと、二人は同時に飛び掛かった。

ネズミオーガは、額にある角を使いそのまま突進する。

しかし、イネはネズミオーガの角を掴むと、跳び箱のようにそのまま飛び越える。


「ワニャアアアア!!」


そして、尻尾を掴むとそのまま引っ張り上げる。


「ジュイイイイイ!!」


引っ張られたネズミオーガは、悲鳴を上げながら尻尾を動かそうとするが、イネの手からはビクとも動かず、そのまま力いっぱい持ち上げて、ネズミの重さと利用しながら後ろの地面に叩きつけた。


「じゅううう!!」


小さな悲鳴を上げながら足り上がろうとするが、イネは地面の付こうとする後ろ脚の関節を外す。


「じゅうういい!!」


しかし、外された関節を気にせずネズミオーガは、無理矢理立ち上がりイネに視線を移すと、前足だけを利用して、鋭い前歯で襲い掛かる。


「ワニャ」


ノックバックで避けると同時に、前歯の正面を軽く殴る。


「ジュイイウウ!」


前歯にヒビが入り、イネは日ヒビの入った部分を殴り付けて叩き割った。


「キイイイイイイイイイイ!!」


悲鳴を上げながら、ネズミオーガは奇声を発しながら血を吐く。


「よいしょ!」


イネは、空高く飛び上がると、爪先を突き出しながらネズミオーガの喉仏へ落下した。


「ぐばええ!」


鈍い音が鳴り響き、ネズミオーガはしばらく痙攣してから死んだ。


「ほほう、素晴らしい! やっぱり知能がある君にはさすがのネズミオーガも敵わないか」

「所詮はネズミ、私は犬と人間が入ってるけど、猫も入ってる……ネズミでの遊び方ぐらいは心得てるよ、まあさすがに体がデカかったから少し工夫したけど」

「遊ぶか、面白い」


惑は、ネズミオーガの死体を見ながらニタリと嗤う。


「じゃあ次は鬼人化のスキル以外でのネズミを作って行こう! そして君がまたバトって倒すを繰り返すよ!」

「ええ! またあ?」

「そう言わないでくれよ、明日は人間に君の技術を教えていくんだ、バトルは考えるより感覚で覚えた方が早く見に着くと思うしね」


そう言って惑は、ドンドンとネズミにオーガのスキルを与えては、イネに殺させていった。

結局害虫を使う事はなかった。

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