記録130『才能? 技術? 実戦? 否、追い詰められるべきだ!』
「じゃあ俺達はどうするべきなんだ?」
「そうよ! 依存しない為にどうするべきだっていうの?」
「確かに……奴を捨てた結果先程追い込まれた……」
その答えに対し、惑は全く単純な返しをした。
「もっと! もっと追い詰められるべきだ! 君等は先程の戦い! 悔しくないのかい? 運が良かったで済ます? もし君等がその子から脱却したいなら先程の戦いを何度も続けるべきだ、だって君等は今まで楽勝でここまで来たんだろ?」
「!! それは……」
「いやでも!」
「死んだら意味がないのでは……」
惑は、3人に指をさす。
「はいそこ、その考え方がそもそもダメ、何で冒険者なのに死を怯える……まさか? 死を恐れずに有名になろうとしたのか? 命も賭けられないのに冒険者になったのか? それってどうよ? 君達はただ有名になりたいのかい? なら別に冒険者じゃなくてもっと安全な仕事で有名になれよ、君なら拳闘士になれば良いし、君なら魔法の先生になれば良いし、君なら剣闘士になればいい、ほら、有名になる方法はいくらでもある、態々冒険者じゃなくても! S級冒険者じゃなくても! アプロ―チの仕方は意外と多い、貴族じゃないと無理だと思われがちだけど君等はその装備と実力を考えれば既にそういう誘いがあったんじゃないの?」
「「「!!」」」
図星を突かれたように、3人は黙る。
「やっぱりね、で? どうする? 冒険者ならもうそろそろ絶望に立ち向かう覚悟を持った方が良いよ? 僕の好きな科学も沢山の絶望を吸収し、それを糧に成長した、そんなこと出来るわけがないだろう、無駄な努力を、と罵られながらもだ、つまりはそういう事だよ」
パパルは、悔しそうに拳を握る。
「確かに……俺達はいつから冒険者として命を賭ける事を忘れたんだ」
「あいつのせいだよ、アイツがステータスを10秒ごとに10上げていたから……しかも当人も自身の能力に気付かないなんて……そんなの私達が気付けるわけないじゃない」
「確かに……だが言い訳ばかりするのも今の甘えの証拠じゃないのか? ならもう言い訳は終わりだ……死ぬ可能性も鑑みながらここから先は進もう」
「うんうん、良い表情になった」
惑は、どこか満足そうにしながら3人を見る。
「アンタのお陰で目が覚めた、何かお礼をさせてくれ」
「うん? ならそうだな、ここから先にいるとされているジュエルタイラントのある宝石が欲しいんだけど……魔力高石だって聞いて」
「!!」
「それって! A級じゃあ敵わない魔物……」
「今の我々で狩れるかどうか……」
「取るに集中する事は出来ないの? それとも宝石にマーキングを施しているせいで逃げても追われる感じ?」
その言葉を聞いて、3人は笑う。
「ああ、そうだな」
「倒さないとな……俺等S級冒険者になりたいんだ……そう考えるとそういう経験も……いや何度でも挑む覚悟でぶつかります」
「死にそうなら私が回復するわ……今のアイテムなら何とかなるはずよ」
足りない状態で、無謀な戦いに向かう3人を見る惑は、嗤う。
「僕を忘れないでね、イネもプランもエレンちゃんもいるよ、僕達の事なんだし僕達だって協力するよ」
「なら行こうか、アンタも」
「うん! そうだね! それで良い? 皆?」
「必要なんだし良いですよ」
「私も行きたい!」
「楽しそー!!」
そして、惑達はダンジョン奥深くへと入って行った。
「さてと、準備に必要なのは?」
「ジュエルタイラントは宝石で魔法を放つ……それを躱すか魔法で相殺するかだ……躱しながら魔法でロチャルマナが相殺、総攻撃で俺とポウルが叩く、アンタ達は何が出来る?」
「生き物を使ってのHP横どって回復係」
「戦闘」
「戦闘」
「毒胞子、聖魔法、寄生攻撃」
「何かプランちゃんだけが出来ること多いような……」
パパルは、頭を掻きながら作戦を考えた。
「さてと、じゃあ惑さんは……回復役で」
「了解」
「イネさんは俺達と一緒に戦う」
「はい!」
「エレンちゃんも」
「はい」
「プランちゃんは聖魔法と寄生で相手の動きを止めてくれ」
「わかーった!」
嬉しそうにしながらプランは、空を飛ぶ。
そして、ダンジョンを進むとゴブリン達が現れた。
「せい」
「ぐgは!!」
戦闘態勢に入る前に、惑があるものを投げて、数人のゴブリンの顔面に貼り付く。
「え」
「何」
「これは」
冒険者3人は驚く。
惑が投げたのは、球体の粘着保護であった。
魔物に飲み込まれた際に使用するアイテムである。
ゴブリン数体は、そのまま窒息する。
「ぐがああ!!」
怒り狂ったゴブリン達は、連携が崩れたように襲い掛かる。
「ファイアーボール!」
「加速!! 剛腕!!」
「鉄拳!!」
「ワニャアア!」
「はあ!!」
そのまま、ゴブリン達と戦闘となった。
そして、連携が崩れたゴブリン達は容易く倒せた。




