表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/474

記録129『お前は邪魔だ』

ここに一人の冒険者があるパーティーを抜ける。


「待ってくれ! 俺がこのパーティーにいらないだって!!」


オプセテは、涙を流しながら4人を見る。

リーダーであり剣士パパルは、オプセテを蔑視の目で見ながら言い放つ。


「お前さあ、自分がこのパーティーのお荷物になっていることによ」


魔法使いロチャルマナは、イライラしながらオプセテを指さす。


「そもそも! アンタ戦闘には何の役にも立たないし! 強化って! 10秒間に10の攻撃力上昇とか! 一体何の意味があんのよ! そんなの私が魔法で強化した方が早いに決まってるじゃない!」


僧侶ポウルは、頭を掻きながら溜息を吐く。


「そうです、私自身常に気力を張っている事で攻撃力アップなんてあまり意味がないのです……」

「そんな……」


絶望しながら、膝が崩れる。


「分かったら帰った帰った!」

「そうよ!」

「ここから去る事を……いや冒険者自体を辞める事をお勧めします」


オプセテは、涙を流しながら走り去ってしまった。


「フン、無様だな」

「全くよ!」

「そうだな」


そして、オプセテを抜いたパーティーはダンジョンの奥へと進む。


----------------------------------------------------------------


「ふー、ここが冒険者ギルドかあ……」

「冒険者登録でもするんですか?」

「いやしないよ、ダンジョンの物を回収しても冒険者登録してたらそれを渡さないといけないだろ?」

「それもそうか……」


イネの言葉に惑は、答えを返し、エレンはデザートを食べる。


「ここのデザート美味しいですね」

「プランもたべるうー!」

「はい! どうじょ!」

「わ~い!!」


惑も、美味しそうにしながらデザートを食べる。


「女は? 男は?」

「後で行きなさい、ダンジョン後」

「依頼は受けずに行ってという奴ですね」


デザートを食べ終わる頃に、一人の少年が絶望しながら帰ってくる。


「おいおい、役立たず、お前のパーティーはどうした?」

「とうとう追い出されたか? ヒャハハハハ!」


他の冒険者達が嗤いながら馬鹿にする。

しかし、惑達は全く気にもしていない。


「さてと、ダンジョンに入ろうか? お腹も一杯だし」

「うい!」

「了解」

「行こう行こう!!」


そして、オプセテと惑達は入れ替わるようにダンジョンに入って行った。


----------------------------------------------------------------


「ちょ! 何なのよこれ!」

「今まで行けてたのに! どうして!」

「ぐう!!」


パパル、ロチャルマナ、ポウルは、あるモンスターに苦戦していた。


相手は、毒モンスターポイズンドラゴンである。


様々な毒を駆使して襲い掛かるモンスター。

例え回復魔法を持っていても、MPにも限りがあり、更には全ての解毒回復に対して対応できる魔法使いは少ない。

ロチャルマナは、それでも優秀な方で、その少ない魔法使いの中の一人ではあった。

しかし、MPの量によって勝つ手が見つからなかった。

僧侶ポウルも、多少の毒耐性はあるが、それでも麻痺などの神経毒に対応出来なかった。

パパルは、技術で毒を避けるが、それでも避ける手間がある為、攻撃に転じられなかった。


このままでは負ける。

ならどうして今まで勝てていたのか。

それは、オプセテにも気付いていない隠し能力のお陰であった。


10秒ごとに強化される能力。

それは攻撃力だけではなく、全ステータスが上がるものであった。

その事に気付かず、ただただ自身の力だと勘違いして才能に溺れてしまっていた。

この事態は、完全な自業自得。

パーティーの終了は近かった。

まさにざまー! 展開である。

しかし、パーティーは終わらなかった。


「ワニャアアアアアア!!」


ドラゴンの顔面は、ある獣人の蹴りで潰れた。

と同時に、粉が自身達に散布された。


「なおった?」

「もう痺れてない」

「苦しくも……」


不思議そうにしていると、エレンは剣で首の頸動脈を斬り裂いた。


「ぐがああああああ!!!」


血が噴射して、そのままポイズンドラゴンは沈んだ。


「大丈夫?」

「ありがとう……君達は?」

「西院円惑だよ」

「!! 知ってる! あの指名手配だ」

「ああ、かなり危険人物ですよ」

「だが助けて貰った……少しは話をしてみよう」


恐怖しながらも3人は、西院円惑との会話を試みることになった。


「なるほど、強化しか使えない少年を追い出した瞬間今まで勝ててたドラゴンに負けそうと……多分それ攻撃力強化だけでなく他のステータスまで上がってたんじゃね?」

「は? 何それ?」

「あいつそんな事言ってない……」

「私も聞いてない」


絶望しながら、震える。


「今からでもあいつを戻す?」

「きっきっとその方が良いわ!」

「今からなら間に合う!」


3人は、暴言を吐いたにも関わらず勝手な解釈をし始める。

しかし、惑がそれを止める。


「止めといた方が良いよ、その子を戻すのは」

「!!」

「そりゃ、暴言を吐いたけど」

「でも仲間だったし」

「嫌そういう事じゃなくて……」


惑は、顎を掻きながら答える。


「その子は多分このパーティーにとって依存性の強い存在だ、君達は追い出して正解だと思うよ? これから先君等個々の事情によってその子とパーティーを解散する可能性はある、その時君達はそいつがいないとどうなる?」

「「「!!」」」


三人は、恐怖した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ