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記録126『よくも』

有志達は、走って逃げた。


「糞! 皆騙されているだけなんだ!」

「そうです! 有志は殺されそうになったから反撃しただけなのに!」

「それに奴は魔王派と言っていた、そんな奴の言葉を信じるだなんて! いやこれを知らされた者はまだ知らないんだろう……」

「きっとそうだよ! これを仕組んだ奴を倒せばきっと皆元に戻るよ!」

「その通りです! 有志の偉大さを見せなければ!」


逃げながらも、昨日の犯人を追っていた。

しかし、見つかる事がなかった。


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「アイツ等馬鹿でしょ?」

「分からなくもない」


イネは、一人の兵士の言葉に呆れていた。


「だって、あの場で追うべきなのにそのままS〇Xって……ちょっとは状況を考えればいいのに……」

「慣れてないんじゃない?」


惑は、嗤いながらやって来た。


「多分だけど今までアンチされるような事がなかったんだろう、だからアンチに対する田尾いうも遅れるんだよ」

「アンチ?」

「反対意見って事……誰もかもが彼を反対するような事はなかったんじゃない? もしくは気付いていないだけだとか」

「そんな事ってあるのか?」


この中世の中、更には兵士というしっかりとした職の中では特に目立ちやすい。

だからこそ、彼には分からなかった。


「気遣いって言うのは存在するんだ、その気遣いが時に気付きを隠す……」

「気遣いね……余計なお節介ってことか?」

「まあ……そうだね……そうなっちゃうよな、残念ながら……慈しみは素晴らしいけど攻撃も一つの優しさだよ……攻撃を受けるからこそ次に守る為の手段を見つける事が出来る……注意を受けるからこそやり方が分かる……僕はそれが一番の科学の成長に対する栄養剤だとも思っている……」


イネと兵士は、惑の科学に対する思いを聞いて、たじろいだ。


「で? この後どうします? 支援は受けました……金もあります……だけど勇者を貶めるような事をして魔王派の人間軍を作る気ですか?」

「違うね、勇者を殺すのはあくまでエレンちゃんだ……復讐というのは本人が成し遂げる事で達成される特殊条件がある……勇者を貶めるのはそれが理由じゃない」

「というと?」

「神に選ばれたという事を穢すためだよ」


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フルスタ国の王、バイアン・フルスタは震えていた。


「いうやだあああああ!!」

「落ち着け! とも言い切れないか……すまない」


ライアンに続き、バイアンまでもが神の裁きを受ける。

そんな恐怖が、世界平和議会を恐れおののかせた。


「私は良かったああ」


ファイアルアは、胸を撫で下ろすようにホッとしていた。

そして、そんな無神経な行動に誰も何も言えなかった。


「とにかく、バイアンの処遇がどうなるのかは俺達は待たなければならない」

「俺は逃げる! にいげるんん!!」


言葉もあやふやになりつつある、バイアンは涎を垂らしながら涙を流して逃げようとする。


『逃がさぬ』

「!! いやあああああああああああああああああ!!」


悲鳴を上げて、その場から這いずるように逃げる。


『させん、止まれ』

「うう!!」


バイアンの体の動きは完全に止まった。

まるで金縛りにでもあったかのように震えている。


『さてと、死んで貰おうか……死ね』

「嫌だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


悲鳴を上げてバイアンは泣き叫ぶ。

しかし、バイアンの悲鳴は鳴り止まなかった。


「へ?」

『な! どうして!!』

「え?」


皆一同が驚いた。


『死ね!! 死ねええ!』


何度言い放っても、バイアンは死ぬ事がなかった。


『糞! 私の力が弱まっているだと!! まさか! 西院円惑!! 奴の狙いは!!!』


そして、神からの言葉は途切れた。


「助かったのか?」


バイアンは、震えながら自身の体を何度も何度も触る。

そして、涙を流しながら喜んだ。


「いやあだあああああああああ!!」

「……よかったな……」

「そっそうだな……」


意味が分からなさそうにしながら、議会は取り敢えず終了となった。


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『レティリア!』

「!! 神様……貴方様から啓示が来るなんて……」

「神様……まさか! この世界の!」


有志は、驚きながらレティリアに聞く。


「神様からはあまりご啓示は来ないよ、本当に来るときは、人間の生命が本当に危うくなった時だけ!」

『レティリアよ、よく聞きなさい、西院円惑は天山有志を貶める事によって神を穢しました……その結果……人……は、私を……信仰……うす……まりました……有志のチートスキルとステータス、魔法は……こちらで何とかした……だがこのままでは……人間は神を捨て……魔族を……悪魔に頼る……ように』

「そ……そんな」

「レティリア?」


神からの啓示が聞こえなくなり、レティリアは涙を流して有志に抱き着く。


「有志……神様が……穢された……貴方を貶めて……西院円惑が……」

「!!」

「お願い……アイツから、人間の神を……取り返して」

「ああ、任せろ」


有志は、怒りに燃えて決意する。

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