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記録125『探せ』

「探せ! お嬢様を探すんだ!」

「ふむふむ、お金稼ぎはなかなか順調だ」

「惑って結構下種だよね」


イネは、惑の行った悪事に対して引いていた。


「何を言ってるんだい? 僕は今ちゃんと仕事を熟しているよ?」

「でも詐欺じゃんさっきの」

「って、君ってさっきまで別の仕事してたでしょ?」

「ああ、惑の言う通り娼館と男娼で一稼ぎしたよ? まさか僕の才能がここで発揮されるとはね」

「割と前から発揮されてたけどね」


すると、惑はある書類を渡す。


「何これ?」

「依頼書、読んでみ」


イネは、書類の内容に目を通す。


「これって」

「そ! 貴族争いだよ」

「つまりあの娘を結婚出来ないようにする事が依頼だったって事?」

「そうだよ、優位に立ちたい貴族なんて腐るほどいる、そして今回はエレンちゃんの為でもあるんだ」

「どういう事?」


その言葉を聞いて、イネは首を傾げる。


「依頼をした貴族は、魔王と取引をしたいわば魔王の手先として勇者の妨害をする派の人間だよ」

「!! そんな人間が!」

「いるじゃん、さっきの集落とか」


惑は、ニタリと嗤う。


「神より魔王と、悪魔との方が上手くやっていける人間もいるってことだよ、和平を結ぶことによってメリットを得る人間も当然いる……」

「メリットって?」

「例えば魔族と協力して魔物を倒すとか、永遠の命を得るとか、更なる利益を生むとか様々だよ」

「魔物を倒すってどういう事? 魔族が魔物を?」

「君は人間界に存在する熊やライオン、虎が人間を襲わないとでも?」

「!!」


イネは、考え方が変わった。


「つまり魔族も同じく魔物に苦しめられる事があると?」

「そりゃそうだよ、自然の摂理、当たり前、弱肉強食、人間だって人間を襲うのに魔物が魔族を襲わないとでも? 魔族の中でも悪い連中がいるから統制を取っているだけなのに、魔族の統制を崩せば確実に荒くれ者の魔族達が大暴れするだろうね、もしくは悪い人間とつるんで悪行を熟すとか?」


その言葉を聞いて、イネは背筋が凍った。


「は? 嘘でしょ? まさかそういう事は既に惑の中にあったの?」

「え? ここに来た時からそういうものかもって言うのは何となく察してたよ?」


その言葉を聞いて、イネは唖然とする。


「ゴブリンがその典型だよ、あいつ等は多分荒くれ者系の魔族だ、そしてトロールだってそうだろ?」

「でも惑も色々な魔族を殺してたよね? タイラントとか」

「おい、タイラントは君だろ?」

「あ! そうだ! あの時雌タイラントとしてたらいきなり襲われたんだった!」

「それ寝取られたからキレて襲い掛かっただけの可愛そうなタイラントだろ? そんな秘密があったとは」


惑は、今更ながらイネの性欲にドン引きした。


「さてと、依頼は終わったし報告報告」


そして、惑はそのまま魔族派の貴族に報告に行った。


「ああ!! 西院円惑さん!」

「依頼は終わりました、あの女は犯されて潰れている事でしょ」

「うむ、今その話を聞いて相手も穢れた女なんてと言って婚約を切ったよ、彼等は確実に勇者に対しての支援を行う……そんなのは我々は、魔王派の我々にとっては脅威だ」

「それに西院円惑さんのところにはエレンさんという勇者を倒そうとする存在がいるという話だ、我々は貴方のこの依頼の成功を結果を信憑性として認めましょう、彼女への支援は確実なものとさせて頂きます」


イネは、惑がいつの間にかエレンが戦うための支援を行う貴族との契約を見つけていた。


「探せばあるものだよ、こういう僕達にとって優位に事を進めてくれる人達は、まずはちゃんと探す事だ」

「お、おう、僕の娼館と男娼は?」

「裏の情報を集める為の接点づくり」

「なるほど」


そして、惑は依頼料と支援金を手に入れて集落へと帰って行った。


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「ここがフルスタ国か」

「ええ、あまり治安がいいとは言えません、しかし勇者である有志様ならきっと」「ああ! 俺がこの街を正しく導く!」


有志は、フルスタ国の宿屋へと向かった。


そして、仲間達と愛し合っている時の事だった。


「貴様が勇者だな!」


突如剣を持った男達が宿屋の一室に入って来た。

「!! 何だ貴様等は!」

「俺達は魔王派の人間軍だ! 魔王軍がいないとこちらも困るんでね!」


その言葉を聞いて、有志は怒りに燃えた。


「魔王派だと……ふざけるな! 魔王軍がどれだけの人間を殺したと思っているんだ! どれだけの悲しみを生んだと思っている! それなのに魔王派だと! 屑共が! 目を覚ませばまだ許して」

「死ねえええ!!」


飛び込む兵士を、有志は斬り殺した。


「撮ったぞ! これを宣伝すれば!!」

「ああ! 勇者の地位は揺らぐ!」

「!! 貴様等何を!!」


そして、兵士達はすぐに逃げて行った。


「!! 何だったんだ!」

「分かりません、放っておきましょう、それより有志」

「お願いだ……我慢が出来ない」

「私もだよ、有志のがないと寝れない」

「はあはあ、お願いです」


そして、有志は眠れるまで愛の子守唄を上げた。


次の日、有志達は歩いていると沢山の者に睨まれていた。


「何だこれは? はあ!!」


不思議に思いながら有志は、壁に貼られているチラシを見る。


『勇者が罪のない人を! ただの人間を容赦なく斬り殺した! 勇者を探せ! そして我々の世界を守るのだ!』

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