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記録124『私をここから出して!』

フルスタ国に、一人の貴族令嬢ベルマが居ました。

彼女は、親が決めた将来、親が決めた婚約者、親が決めた教育を受けて育ちました。

しかし、その令嬢はその生活を不満に思っておりました。


「はあ……どうして私には自由がないの……」


ベルマは、外に出ても護衛が沢山見張り、心が休まる暇がありません。


「お嬢様、この後はダンスのレッスン、剣の稽古、バイオリンピアノの稽古があります」

「外に出る時間は?」

「当然用意しております、護衛の用意も済まして……」

「いらないわ」

「なりません! 何があってからでは遅いのです!」

「はあ」


ベルマは、いつもの御付きの言葉、いつもの一日の内容、いつもの外出の御付き、それらを煩わしく思っております。


ベルマは、それでもいつもの一日を送る。

どれだけ嘆いても、どれだけ泣いても、どれだけ不満を伝えても聞いてもくれないからである。


ダンスのレッスン、剣の稽古、バイオリンピアノの稽古それらを終えると、外へやっと出る事が出来る。


「ねえ! ユウバ! あの食べ物は何かしら?」

「いけません、外では食事はお控えください! 毒見の者がいないのですよ!」

「あそこへ行って……」

「いけません! あんな危ない事をして良い訳がありません」

「あの方達と遊んでも……」

「いけません! 怪我をしたらどうするんですか!」


外へ行ってもユウバの言葉に従い、その度にフラストレーションが溜まっていく。

そんな苦しさを堪えながらずっと暮らしていた。


ベルマは願った。


「誰か、私の願いを叶えて……」


そんな時だった。


「やあ、お嬢さん! こんにちは!」


一人のローブを来た少年が現れた。


「貴方は? 私を迎えに来た王子様ですか?」


良く見ると可愛らしい表情の少年であった。

しかし、ベルマの言葉を聞いた瞬間、物凄く顔を顰めた。


「何言ってんですか?」


そして、少し呆れた表情をしながら少年はお辞儀をする。


「僕の名前は西院円惑、よろしくね! お嬢さんの名前は?」

「ベルマ……ベルマ・バマハ」

「ふーん、ベルマちゃんか」


惑は、少し悩んだが部屋を見て嗤った。


「で? 君は何かを願っているように見えたけど……何か叶えて欲しい事があるの?」

「え?」


惑の言葉に、唖然としながらも少し嬉しそうにする。


「えっと……私……叶えて欲しい事があります」


そして、惑は少女の願いを言う前に言った。


「その前に、金は払って貰うよ、僕には金が必要でね」

「!! その……少ないですがこれぐらいで……」


その袋には、金貨200枚と銀貨30枚であった。


「!!? すくない? は?」


惑は、大金の袋を見て金銭感覚が違う事に少し戸惑った。


「まあ、いいや……で? 叶えたい事って?」

「私を! 外に出してください!」

「……はい? 出てればいいじゃないですか」

「出ても意味がないんです……結局ユウバが私のしたい事を止めさせます……護衛も付けて一人になる時間がありません」

「今は違うの?」

「確かにそうかもしれませんが……そういう一人では……」


ベルマは、動揺しながら惑に訴える。


「私は自由に外の世界に出たいのです! 護衛もなしで! 好きな通りに! 誰にも邪魔をされないように! 自由の時間が欲しいのです! もうこの家には戻りたくありません!」

「なんで?」

「だって……決められた将来に決められた婚約者……何もかも親に決められて……そんなの嫌じゃないですか!」

「ふーん」


つまらなさそうにしながら惑は、耳をほじる。

そして、フッと指のゴミを吹き捨てると笑顔を戻す。


「じゃあ良いよ、外に出して自由にすればいいんだね? それだけでいいんだね? じゃあ叶えて上げるよ!」


惑は、嗤いながら手を取った。


「さ! 行こうか!」


そして、ベルマを窓から外に出した。


----------------------------------------------------------------


惑は、ベルマを外に出して好きにさせた。

金は貰った為、この後の事は特に何かする必要はないそうだ。

惑は少し楽しみにしていた。


「あのバカお嬢ちゃん、どうなってるかな? もし外に出るならキッチリ準備をしてからなのに何の用いもなく外に出たいとか」


そして、先程降ろした路地裏に少し鑑賞に来た。


「助けてええええええええええええ!」

「うへへへへへ!!」

「良い体してんじゃねえか!」

「おおおお! おおおおおお!!」


完全に強姦に襲われていた。


「あらら」

「お願いです惑さん! 助けてください!」

「なんで? せっかくの外だよ? 楽しみなよ」

「こんなの望んでない! こんなの頼んでない!」

「頼んださ! 外で自由になりたかったんだろ?」

「こんなこと! 違う! 私が……私が知っている外では!」

「いや外だよ? この街ではね」

「は?」


惑は、楽しそうに説明する。


「ここはフルスタ国でも治安が悪い場所って習ってないの? 君の家にあった書物にもあったけど……さては勉強してないな?」


惑は、嗤いながら話す。


「君が食べたいと言った食べ物も、行きたい場所も、遊ぼうとしたところも実はマジのマジで危険地帯だよ? きっとユウバさんは知っていたんだろうね、様子をある者に頼んでみて貰ったけどここでは騙された方が馬鹿を見るという場所だよ……勉強をしっかりすればよかったね」


惑の言葉に、ベルマは絶望した。

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