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記録119『協力関係』

「ロンティガ……貴様は生まれて間もない……知らんのも無理はないが口出しするでない……ワシ等が子奴等に追われた際……どれ程屈辱だったか……どれ程惨めじゃったか……それなのに今更協力しろじゃと? 下らぬ……実に下らぬ」


よぼよぼのドワーフは、悔しそうにしながら涙を流す。


「だが俺達はそれを知らない! それなのに昔のしがらみに囚われて一緒に死ねって言うのか!」


しかし、ロンティガは反論して、説得を試みようとする。

その言葉を聞いて、他の若いドワーフ達もロンティガの意見に賛同する。


「確かに俺達の時代とは関係ない話だ! エルフは俺も気に喰わないがそれでも生き残るなら協力した方が良いに決まっている!」

「お前等は分かっていない! だってそうじゃろ! いくらここを追われそうだからと言ってそれを理由にワシ等を利用しようとは! 許せるわけがない!」

「老害共め」


若者達の意見に真っ向から反対する老人ドワーフ達に、有志は睨み付けて罵倒する。

聞きなれない言葉に、老人ドワーフ達は首を傾げる。


「老害……じゃと? どういう意味が知らんが、馬鹿にされている事だけは分かるぞ……」


先程のよぼよぼのドワーフは、顔を赤くしながら有志を睨む。


「何度でも言ってやる! 貴様等は老害だ! 若者の意見を無視して自分達の意見と常識! 更には風習や掟というだけでそのルールに縛り若者の人生を台無しにし愚弄する貴様等の事だ!」


有志の罵倒と意見に老ドワーフ達は激怒する。


「何じゃと!」

「若者には何が分かると言うんじゃ!」

「どうせ言う事を聞いたって結局裏切るんじゃろ!」

「分かっておるワイ!」

「エルフというのはそういう奴等じゃ! 汚い酒飲み気持ち悪い! ワシ等ドワーフを馬鹿にし見下す! 自分等は選ばれて種族だと言い張る糞共じゃ!」


そして、老ドワーフ達は怒りのままその場を去った。


「分からん奴に何を言っても無駄じゃ! 結局ワシ等の忠告なんぞ聞こうとせん!! 先人の知恵を甘く見るでない!」


そのまま、ドワーフ達は去って行った。


「あいつ等……自分達の故郷を捨てる気かよ:

「ふざけるなよ! 糞老害共!」


テュリアメルは、ドワーフ達に呼び掛ける。


「あの方達はもう聞いてはくれないのでしょう! しかし貴方方は違います! 私や有志の力になってくれると信じています!」


有志は、テュリアメルの宣言と共にドワーフ達を決起させた。


「俺達で新しい未来を!」

「新しい時代を!」

「自由な里づくりを!」

「一緒にあのドラゴンを倒そう!」

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


その若さを見てキラドは呆れ返る。


「はあ、ドラゴンじゃねえって」


そして、そのままキラドは協力する事だけはした。


----------------------------------------------------------------


惑の目の前に、老ドワーフ達は現れた。


「?? まさか僕に会の怪獣をどうにかして欲しいって交渉にでも来た? さすが老人達! 何とかするより交渉する為に行動するとは」

「違う」

「そうなの?」


惑の考えとは違う事に、少し嬉しそうにする。


「何故笑う?」

「ああ、ごめん、君達の交渉の内容はもっと違うみたいだね? 僕に協力する?」

「!! 分かっておるのか?」

「自分達の技術を買って欲しい? そういう事だろ? 大丈夫、バワカとアワホなら君達が技術を発揮する場所を見つけれるだろう……」

「おお、なんと……あのバワカさんとアワホさんが」


惑は、以前から二人の顔の広さに関心を持っていた。

実際ぷー子の際、彼等の顔の広さはかなり役に立っていた。


「まさかそこまで気付いているとは……」

「怪獣ならどうにか出来なくもないけど、それ以外を望むって事はそうでしょ?」

「勇者が何とかするとは言っておるがな、ワシ等はどうも信用出来ん」


その言葉を聞いて、惑は書類を見せた。


「これにサインを」

「……後戻りはさせん……そういうことか」

「そ!」


ドワーフ達は、全く躊躇う事もせずサインをする。


「君等の考え方は別に間違ってはいない、当然だ……いくら最近の者達には関係がないからと言って君等の経験が嘘になるわけじゃない……それってつまり既に経験した事実で追われた理由も未だに存在している……エルフは長寿だ……今もその考え方が変わるとは思えないのも分かる……適応力とは言うがいくら未来になったからって因縁や差別が消える事はない……だって今までがそうだったんだから」


惑の言葉に、ドワーフ達は感嘆する。


「そうじゃ!」

「ワシ等を追い出したエルフはまだ存在しておる!」

「老害じゃとは言わせん!」


その言葉を聞いて、惑は握手を求める。


「君等にはエレンちゃんが勝てるように色々と手を尽くして貰う様にしたい、僕の生物学だけじゃエレンちゃんの技術は最大にならない……やっぱり職人がいないと」

「そうか、君はそう考えるか」

「ありがとう」


そして、有志は若者のドワーフ、惑は老ドワーフを手に入れた。

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