記録10『ダッチ〇イフを作ろう!』
魔族の領地の中には、様々な種族が暮らしている。
そして、その中にオーガの里は、三つの村で形成されていた。
これは、一つの村に起きた悲劇である。
ラザ村に住むオーガの娘、テェイアは、族長の娘であった。
彼女は、いずれ里を治める伴侶を迎え入れ、子を産む役目を担っていた。
テェイアも役目に不満はなく、族長の娘として様々な稽古に努め、勉強をして、知識を積み上げできた。
そして、テェイアが成人した時、許嫁が出来た。
レイトという名のオーガで、テェイアの幼馴染であった。
彼は、里の力比べで優勝し、誠実で逞しい青年であった。
テェイアも、小さい頃からレイトと関わりを持っていた為、二人は、互いに惹かれ合う関係になった。
テェイアとレイトは、順風満帆な愛を育んでいたそんな時だった。
ラザ村は、突然人間の襲撃を受けた。
当然、魔族であるオーガ達の力であれば、難なく襲いくる兵士達を撃退する事が出来た。
しかし、ある二人の冒険者達には、敵わなかった。
罠に嵌められ、力を振るうオーガの攻撃をいなし、隙ができた瞬間を狙い攻撃される。
二人の冒険者は、自分より強い者への戦いと集団に対する戦い方に対して、慣れているようであった。
そして、ラザ村のオーガ達は捕縛され、抵抗が出来なくなった。
「おいバワカ! 取り敢えずこの村のオーガはこれで全部だ!」
「よくやったアワホ、さてと……あの我儘坊ちゃんを呼ぶか」
バワカとアワホと呼ばれた冒険者は、馬車から一人の着膨れた少年を呼んだ。
「ラマガル坊ちゃん、コイツ等が魔族であるオーガ族ですよ」
「うむ、ご苦労……薄汚い冒険者にしては上出来だ、褒めてやる、感謝しろ」
「「ははっ! チッ」
二人は謙りながら跪くが、聞こえないように舌打ちした。
そんな事にも気付けず、ラマガルはオーガ達に、話し始める。
「我の名はラマガル・ウィンゴー子爵だ、我の友人達はペットなる者飼っている、獣人やエルフ、ドワーフにノーム等をだ……だが我はまだ飼っていない、だから話が合わないのだ……だがただの亜人種を飼えば良いというわけではない……他の者より珍しい者をペットとして飼えば良い! そうすれば我は他の者よりも目立つ存在になれる! なんて素晴らしい考え! 発想だ! そして我がしたい事を魔族にさせれば、もし悪い事であったとしてもそれら全てを魔族の責任に押し付ける事が出来る! 我みないな者を天才と言うのだな!」
「わー凄い凄い……」
「ラマガルさま天才……」
バワカとアワホの二人の冒険者は、適当に拍手をしながらオベッカする。
「ふざけるな! 俺達をペットだと! 貴様なんかにぐべえ!!」
「汚い言葉だ……躾がなってない」
ラマガルは、罵倒しながら文句を言ったオーガの青年を腰に掛けていた剣で斬り殺す。
「ああ……汚い……新しい服を用意しろ」
「はい」
死んだ目をした従者の男性は新しい服を用意し、ラマガルに着せて上げた。
「うむ、その服は捨てておけ……」
「はい」
「オートマトンのような従者だな……」
「坊ちゃんがアレだからな……アレ……」
バワカとアワホは、耳打ちをしながら鼻で嗤った。
「さて、どいつを飼おうか?」
ラマガルは、縛られたオーガ達を見定めていく。
そして、テェイアをニチャリと嗤いながら見つめる。
「良い雌オーガしている……見た目も良い」
「良い雌オーガしてる? バワカ……今のはどういう意味だ?」
「アワホ……考えるな……ラマガル坊ちゃんは誰もが自分の言いたい事を分かっているという感覚で喋っている……感じようが考えようが分からないものは分からないんだよ」
「なるほど……一々反応しないように気を付ける」
「そうしとけ」
ラマガルは、バワカとアワホの耳打ちの会話も気付かず、テェイアの顎を掴み舌なめずりする。
「よし、コイツに決めた……コイツならば我に相応しいペットとなるだろう」
「貴様! 我が娘を!」
「お父さん! 止めて……私を飼えばここにはもう手を出しませんか?」
「ああ、出す必要もないからな……最もお前が我のペットとして十分な働きを見せればな」
「分かりました……必ずお役に立ってみせます」
テェイアは、悔しそうにしながら頷く。
「待ってくれ! テェイアを! テェイアを連れて行かないでくれ!」
「レイト! ダメ!」
「なんだ? この無礼者?」
「代わりに! 代わりに俺が行く! だから……」
「ダメよ! 貴方はこの村を治める村長になるのよ! 私の代わりにこの村を! 父や母を守って!」
しかし、テェイアの言葉も虚しく、ラマガルは、ニタニタと嗤う。
「良い案を思い付いたぞ」
「うわ、気持ち悪」
「よせ、本当の事を言うな」
アワホがドン引く中、ラマガルは、レイトの髪を引っ張り上げる。
「グアアアア!」
「レイト!」
「貴様、我のもう一人のペットとなれ、あの女オーガは愛玩用、そして貴様は使用用だ! これであれば用途によって別々に使えるではないか!」
誇らしげに語るラマガルを、蔑視の目でテェイアは睨む。
「そんな……テェイアを見逃してはくれないのか……」
「貴様が我のペットとして飼われれば離れずに済むぞ……そして我はペットに対し、性的には見ていない、魔族如きに我が純潔を貰えるものだと思うな」
「貴様! 我々を見下しやがって!」
「お前等は負けたんだ、あまりラマガル坊ちゃんの癪に障るような事はしない方が良いぞ」
「クッ!」
バワカは、食って掛ろうとするオーガに剣を向けて止める。
「さてどうする? 我のペットとして飼われるか、その雌オーガを諦めるか、貴様とて自分が大切であろう、雌オーガを諦める事をお勧めするぞ」
「レイク! 私の事は諦めて! お願い!」
「嫌だ! 俺は絶対に諦めない! 分かった! 俺も飼われる! それで良いだろ!」
「ハハハ! 良かろう、貴様も今日から我のペットだ! お前等! そいつも我の馬車に乗せろ!」
「「ハッ!」」
「そうだ、これは命令だ、コイツ等を別々の馬車へ乗せろ、どうやら恋人同士のようだしな」
「「ハッ!!」」
バワカとアワホは、二人を拘束したまま別々の馬車へと乗せた。
「テェイア!」
「レイク!」
「ハハハハハ! 引き離された薄汚い魔族共の悲鳴が心地よい! そうだろ!」
「え? あああはい!」
「おれは……」
「馬鹿! バワカ! 適当に合わせろ!」
「とっても心地いいです!」
「ハハハ! そうだろそうだろ!」
そして、二人はラマガルの屋敷にある地下牢獄へと押し込まれた。
「レイクに会わせて!」
「貴様はしばらく愛玩ペットだ! ここで細々と食事を取ってその姿を維持するんだな! ハハハ!」
「テェイアに会わせろ!」
「貴様はラマガル様の使用用だ! 貴様等がイチャイチャしてラマガル様が不快に思ったらどうするんだ! 気持ちの悪い魔族が!」
二人は、互いに会話も出来ず、互いに合う事も出来ず、自由を共有することも出来ず、悩みも共有出来ず、痛みも分かち合えず、苦しみや憎悪を一人で抱えるしか出来なくなった。
テェイアは、愛玩用として気持ち悪いニチャニチャと鑑賞するラマガルに嫌悪しながらも耐える日々。
レイクは、ラマガルの命令で村に住む子供を攫うように命令された。
そして、目の前でその子供を拷問し殺し見せた。
「貴様……その子もお前と同じ人間だろ! それなのに痛めつけるのか! 殺すのか! お前はそれでも人間か!」
嫌悪しながらラマガルを睨み着けるが、逆に嬉しそうにしながらラマガルは舌を出して馬鹿にする。
「我をこんな玩具共と一緒にするな……コイツ等は我の遊び道具だ……父上だっていくら壊しても新しいのが出来ると言っている……いや、最早いらないから使い潰してもいい者だと言っていた、他の貴族達も同じことをしている、我だけ乗り遅れるのは嫌じゃないか」
「外道が……」
「フン、人間でもない癖に外道とは……分ってない、それは貴様等が使う言葉ではない、我々人間が使う言葉だ、人間として認識されていないものは人間ではあらず、人間として認識される者こそが人間だ……つまり我等貴族様が人間なのだ……まあ貴様等のような知能の低い魔族共には分からない常識か? アハハハハハハハ!」
滴る血を舐めながらラマガルは、嗤う。
「そうだ! 貴様の恋人という者、テェイアとかいう奴にも見せるか? 貴様の攫った玩具がどんな目に遭うかを見れば少しは表情を綺麗にするだろう?」
「止めろ! 止めてくれええ!」
しかし、そんな言葉も虚しく、ラマガルはテェイアに子供を拷問する姿を見せた。
「アハハハハ! 貴様の男が誘拐した子供だ! こうやって我の玩具となる! 全て貴様の男の責任だあああ!! アハハハハハ!」
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「止めて……お願い……止めて」
テェイアは、必死に耳を塞ぐが、子供の悲鳴が耳の中に、強引に入り込んで聞こえてしまう。
「これはお前の愛する者の責任だ! とんだクズと結ばれたなあ、魔族らしい無様な末路だ! アハハハハハハハハハハハ!」
「ごめんなさい! ごめんなさい!」
テェイアは、涙を流しながら謝り続けた。
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レイトは、ラマガルの命令により、いつものように村から子供を誘拐しに来ていた。
レイトは、ラマガルに鬼人化してから村に入るように言われており、理由は村人を恐怖に陥れる事も最高に楽しいとのことであった。
「狂ってやがる……糞野郎が……」
レイトは、悪態を吐きながらもテェイアを守る為、ただひたすらに手を汚すしかなかった。
「相手は人間だ……俺達を見下し敵視する存在……だからどうだっていい……」
そう自信に言い聞かし、罪の意識を消すと、自信を鬼人化させる。
そして、鬼人化を保つ為、大人の人間を食べて子供を攫おうとしたその時であった。
「わああに゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「なっ! ギャボアアアアアアアアアアア!!」
何者かにみぞおちに衝撃を喰らい、激痛に見舞われながら、先程飲み込んだ人間の残骸を胃液ごと吐き出した。
「ワニャアアアア!! ぶっかけられたあああ!!」
突進した者は、レイトの吐き出した吐瀉物で汚れる。
そして、男が近づき突進した者に話し掛けていた。
しかし、レイトはそれを気にする余裕はなかった。
激痛がなくならず、気を失わないようにするのに必死であった。
レイトが悲鳴を上げながら徐々に人型へと戻っていき、男と突進した者に視線を向ける。
突進した者は、獣人であった。
「きざま……いっだい……」
「貴様あ!」
レイトは、男を睨みながら掴もうとする。
しかし、近くにいた獣人にその腕を掴み、そのまま骨を捻り折った。
「っがああああああ!」
「ああ、もう殺して良いよ、後はコイツの素材だけを手に入れたらいいからもう死んでも問題ない」
「分かった」
「や! やめ……」
レイトは、止めようとするが気が付けば目の前が暗くなった。
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そんな日々が、続いたある日の事だった。
村で子供を攫わせに行かせたレイトが帰らなかった。
ラマガルは、不機嫌になり残りの子供達を斬り殺してしまった。
ラマガルは、最後の子供を殺して、テェイアを睨み付ける。
「おい! あのオーガがこの我の隷属契約を破りよった! 許す事は出来ん! いや、もしかしたら……」
ラマガルは、何か気付いたのか、今度はニタリと不気味に嗤う。
「そうかそうか、隷属契約がアイツに破れるわけがない、つまりは……クククッ! アハハハハハ! そうか! そうなのだな! 聞け! メスオーガ! お前の恋人はどうやら死んだようだぞ!」
「!? そんな……嘘……信じない……」
「そう思うなら自身の目で見てくるといい、そして絶望の顔を我に見せよ、クククク」
ラマガルは、テェイアに隷属契約を条件に、レイトを探す事を許可した。
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「どうして……そんな……お願い、嘘だと言って……」
目の前には晒すように置かれたレイトの首があった。
テェイアは、その場で泣き崩れる。
それと同時に、心の中から怒りが湧いてきた。
「許せない……人間共! よくも! よくも私のレイトを! ああああああああああああああああああああ!!」
テェイアは、悲鳴を上げるように憎しみの言葉を叫ぶ。
「ワニャアアアア……」
しかし、どこからか唸り声が聞こえてくる。
殺気とは違う、感じた事のない視線であった。
「誰! ……きゃあ!!」
しかし、視線を向ける前に、唸り声を上げていた者がテェイアを襲い、馬乗りにする。
「可愛いねえ~君、俺の女になれよ……」
自身を押さえ込んだ相手は、獣人であった。
獣人は、舌なめずりをしながら、テェイアの耳元で囁く。
テェイアの背筋が氷を直接当てられたように、冷たい感覚が走る。
「止めてください! 何なんですか貴方は! 見る限り女の人ですよね!」
「そう、俺は女……」
「だったら!」
「でも女だけじゃないんだぜ? 俺のここはもうこんなんなってんだ」
「!!」
テェイアは、自身の股に大きな棒のような熱い物が当たっていることに気が付く。
テェイアの恐怖は増長する。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! 止めてえええええ! 私には婚約者があああ!」
「惑から教えて貰ったけど、こういうのをNTRって言うんだっけ? 興奮するなア! げへへへへ~」
獣人は、不気味に嗤いながら、テェイアの頬を舐める。
「やめてええええええ! 放してええ! 放してえええええ! イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
悲鳴を上げて抵抗するテェイアをお構いなしに、服を引き千切り、自身のズボンを下ろすとそのまま腰を押し当てる。
「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
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「惑……ただいま……」
「うう……」
「うん? そのオーガ? の女の子は?」
惑は、またバツが悪そうにして帰って来たイネが、泣きじゃくるオーガの女性を抱えており、何となく察しが付く。
「えっと……その……」
「うん」
それでも、イネの口から直接聞こうとした。
「犯しちゃった……」
「犯しちゃったかあ~」
惑は、女オーガに近き、観察する。
女オーガは、腕で顔を隠し、悔しそうにしているが、赤面しながら痙攣してように見えた。
「なるほど、これが俗に言う悔しい! でも感じちゃう! ビクンビクンッ! て奴か……実に興味深い」
惑が、観察している中、女オーガは口を開く。
「殺して……これ以上恥ずか……」
「うん、分かった」
惑は、女オーガが話し終える前に、首を切り裂く。
「……しめ……ガフッ!」
「えええ!」
女オーガは、吐血しながらしばらく痙攣すると、動かなくなった。
イネは、青ざめながら惑を見る。
「人の心とかないの? 惑?」
「それ君が言う? 君が犯したから責任とって苦しみから解放したのに……」
「いや、確かにそうだけど……だからって……」
「それに、本人も殺してって言ってたし」
「素直か!」
『職業レベルが上がりました』
『スキル:魂視認を手に入れました』
『スキル:収縮を手に入れました』
Name:西院円 惑
HP:2000、MP:2000、攻撃力:2000、防御力:2800、スピード:18000、知力:40000、魔法:なし、スキル:合成、採取、錬成、記録、複製、加工、変換、追加、魂感知、収縮、職業:錬金術師Lv6
「スキル説明」
惑は、イネとの話の途中ではあるが、能力について確認する。
『魂感知は、あらゆる生物の魂を視認出来ます』
『収縮は、様々な物や生物、物質を収縮します、解除は、使用者の意思でいつでも出来ます』
「採取の時、見えた魂は? アレも視認ではないの?」
『採取された魂は、惑様の支配下に置かれる為、視認が可能でした』
「つまりは、このスキルを使えば支配下にない魂も視認出来ると?」
『その通りです』
「なかなか便利なスキルだ……」
「もういい?」
イネは、待ちくたびれたように、声を掛ける。
「もうちょっと待って、女オーガのお腹。取り敢えず開くから」
「取り敢えず!?」
イネが、ドン引きしているのを無視して、惑は、女オーガの腹を開き、内臓や魔石、オーガの角を確認する。
「なるほど、男と女で違いはあれど、魔石と魔力貯蔵器官以外は、人間と変わらない作りだな、よし! 修復」
惑は、一通りの確認を終えると、女オーガの体を修復して、開けたお腹を元に戻した。
「さてと、君が強姦しちゃう話に戻そうか?」
そして、イネとの話に戻った。
「強姦だなんて人聞の悪い……だいたい惑が私の相手をしてくれないのが悪いんだからね!」
「ナチュラルに僕の責任にしたね、まあペットの不始末は飼い主の不始末だけど……」
「でしょう! 責任は惑にある!」
惑は、イネに押し付けられた責任の解決策を考える。
「一つ目は、君の生殖器を切除するか……」
「え! ちょ! 止めてよ!」
イネは、動揺しながら拒否する。
「まあ、そうだよな……それにそんな事したら今後の君の成長に支障をきたすかもしれないし」
「良かった……」
安心したように、イネは胸を撫で下ろす。
「でだ、もう一つの案はイネが無差別に強姦しないように、代替品を用意する事だ」
「例えば?」
「そうだな」
惑は、レイトと女オーガの死体を見て思い付いたように口を開く。
「よし! ダッチ〇イフを作ろう!」
「ダッチ〇イフ?」
首を傾げるイネに、惑は説明する。
「ダッチ〇イフっていうのはね、ラブ〇ールとも言って、男性がS〇Xを疑似的に楽しむ為、実物の女性に近い形で作られた人形の事だよ」
「S〇Xを……疑似的に楽しむ……」
イネは、惑の言葉に唾を飲む。
「丁度ここに、男性と女性のオーガの死体がある、これを剝製にしてダッチ〇イフの代用しようか、男オーガの首も持ってきて」
「わ! 分かった!」
嬉しそうにしながら、イネは走ってオーガの首を取りに行った。
「さてと、男分もあるし、女分を先に済ますか、採取があるから取り敢えず皮膚だけを採取」
すると、筋肉と臓器だけを残したオーガの体だけが残った。
「収縮」
惑は、オーガの死体を収縮スキルで小さくして、アイテム袋からホルマリンと試験官を取り出して、試験管の中にホルマリンを入れると、その中に死体を入れた。
「さてと、皮は鞣さないと硬化したり腐敗したりするし、採取のお陰で脂とか削ぎ落す必要ないけど、長持ちさせるならタンニン鞣しの方が良いか、ただ一カ月、長くて五カ月だからなあ……合成で何とかなるかな? 分析」
『可能です、合成でも皮にタンニンを染み込ませる事が出来ます』
「では、まずタンニンは木質部や樹皮、もしくは枝とか実にもあるんだっけ? イネに頼んで持ってきてもらうか」
「持って来たよ! オーガの首!」
「あ、沢山の木の枝とか実、拾ってきてくれる? 後中に入れる綿も!」
「分かった!」
自身の性欲の為に、イネは一生懸命に枝や実を拾い、近くに捨ててあった少し高級なヌイグルミを見つけて拾ってきた。
「本当にイネは運が良いな……ずいぶん古いけど綿は修復で何とかなるし、タンニンは採取で取って皮に合成すれば」
そして、レイトの死体も同じように皮を作ると中に複製で増やした綿を、形を整えながら詰め込んだ。
「うむ、金具がないとふにゃふにゃだな……そうだ、オーガの骨だけは採取して、菌だけを採取すれば滅菌出来るかな? 何かあった場合は元に戻せる?」
『惑様が、作った物として修復を望めば可能です』
「よし、それでいこうか」
惑は、一度骨を入れる為、綿を採取してから、骨を入れながら、綿を詰め込む
そして、遂にオーガの男と女のダッチ〇イフが完成した。
「ほら、これに腰でも振っていれば良いんじゃない? 何もないよりマシでしょ? 女にはちゃんと穴も開けてるし、男のここにも複製した骨を入れて皮膚被せてるから、目がないのと口腔や中身がないのは勘弁してね、臭くなったら修復でなんとかするからね」
「わ~い!! ありがとう惑!」
イネは、嬉しそうにしながら二人のダッチ〇イフを持って、奥にある寝室へと入った。
「ワニャアアアアアアアン!」
「嬉しそうで何よりだ、さて、イネがオ〇ニーしている間に、魂視認」
惑は、魂視認の能力を確認した。
「おお、二つ魂がある、なんか下から黒っぽいのが掴んでるなあ、口が動いているあたりこの二つは、話をしているのか?」
惑は、読唇術で、会話内容を探った。
「……ああ、要するに二人は恋愛関係なのか、形的にオーガっぽいしさっきの死体の魂かな? ていうか、なんか下の黒いモヤモヤに引き摺られてるような……ああ、なるほど、魔族は強制的に地獄に落ちるのか」
二人が、引き離される状態を見て惑は、思い付いた。
「そうだ、イネのダッチ〇イフのお礼に、僕の採取で支配下に置いた上で、一つの試験管に保存してあげよう! そうすればいずれ復活させる機会があれば、協力して欲しい時に、二人の恩に付け込む事が出来るぞ! 分析!」
『可能です、試験管に保存していれば、二つの魂は、地獄へと落ちる事はなくなります、イネさんが具体例です、試験管に魂を複数入れても合成か錬成をしない限り混ざりません』
「よし! ではそれで……採取!」
二つの魂は、惑により採取され、一つの試験管に保存し、アイテム袋に閉まった。
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テェイアとレイトは、久しぶりにレイトと再会を果たした。
そして、二人は現在試験管の中にいる。
レイトを目の前にすると、テェイアは、声を上げながら走り出す。
「レイト! レイトおおお!」
「テェイア! 良かった! 無事だったんだな!」
嬉しそうにしながら、レイトはテェイアを抱き寄せる。
「ごめんなさい……ごめんなさいレイト……私……貴方ばかり辛い思いばかり……」
「そんな事はない、結局俺は君を守る事が出来なかった……本当にすまない……」
二人は、滂沱の涙を流しながら強く抱き合った。
「ごめんなさい……ごめんなさい、私……穢されちゃって……」
「俺も同じだ……気味を守るためとはいえ人の子供を……攫ってあの貴族の拷問に……テェイアだけじゃない……」
「フフフ……」
「ハハハ……」
二人は、互いに見合わせると苦笑する。
「私は結局死んでしまったわ……でも最後にあの男がこの試験官の中に魂を入れた……貴方と一緒の試験官に……体の方は未だにあの獣人に穢されているけど……でも心はここにある」
「俺もそうだ……俺の体だって外であの獣人に穢されている……そして、君と同様心はここに……君と同じ試験管の中にいる……例え体は穢されても、心だけは君と同じく穢される事はなくなった! テェイア! 俺は例えどんな場所でも君と共にありたい……」
テェイアは、顔を赤くしながらレイトに口付けをする。
「私も……私も貴方と共に……この先この試験官の中に永遠に閉じ込められたとしても……この愛を誓う!」
こうして二人は、長い時を得て、ようやく互いの愛を誓いあう事が出来たのであった。




