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記録111『醜い豚共』

「ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子!」


コイ・ガチは、一人で推し続けていた。


「ふざけるな! クズが! お前なんてもう人間じゃない!!」


有志は、聖剣を構えてコイ・ガチを殺そうとしたその時であった。


『ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子!』


しかし、コイ・ガチ以外のファン達も全員がぷー子を推した。


「き! 貴様等!」

「有志がせっかく助けて下さったというのに!」

「なんて救えない奴なんだ」

「ここまで愚かに成り下がっているとは……呆れてモノも言えません」

「もういいよ、有志……こんな奴等に同情する価値もないよ」


有志同様ファンに一同を汚物でも見るように怒りを露わにする。


『ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子!』


それでも尚、ファン一同は無視してぷー子を推し続けた。

コイ・ガチも涙を流しながらぷー子を推す。


「もういい、貴様等はそうなんだな……萌え豚とはよく言ったものだ……本当に醜い豚共だ……」


そして、有志は天に聖剣を向けた。


「ホーリーメテオ」


同時に、上空から大きな隕石のような光物体が徐々に落ちて来た。


「ひい!!」

「怯むな! 俺達はぷー子を推すんだあああ!!」

「そうだ、そうだああああああああ!」

『ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子!』


負けじと、大声でぷー子コールを止めないファン一同。

そして、有志はそんな彼等を最後まで見る事はなかった。


「行こう、こんなの見ていても何も意味はない……ハッキリ言って時間の無駄だ」

「はい! 有志!」

「その通りだな……全く」

「これ以上見ていても目が汚れるだけです」

「本当に気持ち悪い」


そして、有志達は死に逝くファン一同を見もせずに立ち去った。

そして、ファン一同はぷー子の死体と共に消滅した。


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「ははは……ははははは、何だこれ」

「ファイアルア様! 大丈夫ですか!」

「ああ……うん……大丈夫だと思いたいよ」


ファイアルアは、ホーリーメテオが落ちてその場に大きなクレーターが出来る様を見て唖然とする。


「もう抗えないじゃないか……神にも勇者にも……このままでは誰も抗えない……我々にそぐわないような事が起こっても何も抵抗するわけにはいかなくなる」


ファイアルアは、魔王ではなく勇者と神の危険性を危惧した。


「ファイアルア様! 勇者天山有志様が戻られました」

「あ、ああ……ダメだ! 平常心平常心」


ファイアルアは、すぐに表情を戻す。


「通せ」

「は!」


そして、有志の報告を受けた。


「そうか、洗脳は解けなかったか」

「いえ、奴等は自ら魔王軍に下っていた……もう人間として見ずこちらで討伐させて頂きました」

「!! とうば……」

「どうかしました?」


有志が様子を見るようにファイアルアを見る。

ファイアルアを見る目が、異様に恐怖を増長させた。

しかし、さすが女王として勤めて来ただけはあるか、ファイアルアはすぐに平常心を取り戻す。


「いや何でもない……よくやってくれた……報酬を……」

「それには及びません」

「それはどういう……」

「貴方の安心した顔が何よりの報酬ですよ」

「そ……そうか! ならばよい、下がって良いぞ」


顔を赤らめたファイアルアは、有志を下がらせた。


「大丈夫ですか? ファイアルア様」

「ごっごわがっだああああああ」


顔が赤くなったのは照れたのではなく、涙を何とか堪えたからであった。

恐怖で顔が真っ青になるのを、涙を我慢する事でなんとか赤く染め直したようなものだ。


「やばいよ、マジアイツヤバいよおお……パファン姉さん……」

「ああ、そうだな……だがこちらも下手な事を言ったり行動しなければ何も問題はなさそうだ……しばらくはこのままでいよう」


姉であるパファンは、ファイアルアを安心させるように肩に手を添えた。


「ファイアルア、私の可愛い妹、もし天山有志が勝つならアレに従い、もし西院円惑が勝つようならそっちに従う……それがこの上級社会での生き方よ」

「分かっています、姉さん」


そして、ファイアルアはパファンの手を握り、真剣な表情へと変わった。


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「有志様……この度は本当にありがとうございます、あんなのが息子だと思うと身の毛がよだちます……本当に恥ずかしい限りです」

「全くだ……まさか魔族に付き従うとは……呆れてものも言えん」

「お気持ちお察しします……でも貴方方が悪い訳ではありません、親は子を選べないのだから」

「「勇者様」」


ぷー子のファンであった者達の親は、有志に頭を下げてお礼を言っていた。

誰もファンになった者を慈しむ事なく、悔やむ事もなく、安心した様な表情になる。


「今夜は乾杯だ! 我が国からゴミが処分された記念にな!」

「良いですね!」

「勇者様! 皆で飲みましょう!」

「ああ! ありがとう!」


そして、有志達はみんなで楽しく飲み会をした。

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