表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/474

記録107『惑わされる愚かな者達』

有志は、信じがたい光景を目にした。

何と、目の前で男の人間達は、魔族と共に魔族のアイドル化した者を応援していたのであった。


「何て光景だ……悍ましいにも程がある」

「気持ち悪いです、おええ!!」


シャイニャスは、その光景を見て吐き出す。


「シャイニャス! 糞……気持ちは分かる……私も正気を保っているのが不思議なくらいだ……西院円惑……奴は一体どこまで……」

「こんなのって……こんなのって」


レイシャは、怒りの余り剣を構え、テュリアメルは目を背ける。


「こんなの人間じゃない……人間じゃないよおお!!」


レティリアは、悔しそうに涙を流しながら俯く。

しかし、その言葉を聞いて有志は何かに気付く。


「そうか、あれは洗脳されているんだ……そうじゃないと説明が付かない」


有志の話を聞いて、他の仲間達も怒りに燃える。


「そう……ですね、きっとそうです……有志の言葉で目が覚めました……彼等も被害者です、そして洗脳されている証拠はあの魔族達にあります」

「ああ、私もそう思う……散りばめられた魔族達が人間の正気を奪って操っているに違いない」

「なら! 私達であそこにいる魔族達を殲滅すれば!」

「きっとそうだよ!」

「ああ! やろう! 西院円惑の野望を打ち砕こう!!」


そして、有志達は密かにファンに混ざっている魔族達を暗殺し始める。


-----------------------------------------------------------------


「ふぉおおお!! ぷーっぐ」

「いええ!! ぷぶ」

「がんっぶ!」

「あが」

「ぐh」


人間のファンは、気付かない間に同士であった魔族達が殺されていく。

そんな中、気付いた者がいた。


「まさか……あれは勇者か」

「お前が来るな、人間である俺が行けば殺される可能性は比較的に低い」


そして、一人のボディーガードが有志達の元へと向かった。


「お客様……一体何をなされているのですか?」


見れば分かる光景だが、それでも話を聞いた。

しかし、有志ははっきりと答える。


「見て分からないか……人間を操っている魔族共を殲滅しているんだ、邪魔をするとお前も容赦しないぞ」


その言葉は、明らかに本気の言葉であった

しかし、だからといってそこで怖気づくわけには行かなかった。


「とにかく皆さまこちらへ……貴方達の定めでもこの場でそんなことをすればどうなるか考えなかったのですか?」

「五月蠅い!!」

「え? ばあああ!!」

「何だ何だ?」

「うわあああああ!!」

「これはいぶああ!!」

「貴様等なにぶがあああ!!」


有志は気付かれたと思った瞬間、近くにいたオーク二人の首を撥ねた。


「きゃあああああああああああああああ!! おとうちゃああなばあああ!!」


泣き叫ぶオークの雌は、頭から真っ二つに斬り殺された。


「ああ……ああああ」


ぷー子は、恐怖で後退る。


「貴様!! 何をしている!!」


さすがに我慢できなかった魔族のボディーガードは飛び出た。

と同時に、上半身が吹き飛んだ。


「うわあああああああ! 人殺しいいいいい!!」


人間から悲鳴が上がる。


「お前はコイツが人間だと思っているのか……救われないな」

「何言ってんだ! 俺達の仲間をよく……」

「魔族を仲間というか……お前はもうダメだな……」

「っぐあ!」


有志は、手遅れだと思われる人間の心臓を一突きする。


「あああ」

「うわああああああ!!!」


碑銘を上げると共に、皆有志や他の仲間達から距離を取る。


「私のコンサートで一体何をしているんですか!! 人を! 魔族を! お父ちゃんとお母ちゃんとお兄ちゃんを殺すなんて!!」

「お前が魔族か……皆騙されるな! そいつは魔族だ! 今まで人間だと思っているその女はただの醜い魔族なんだ!」


その言葉を聞いて、ファン達は互いに見合う。

そして、有志を不思議そうに見ながら話しだす。


「な……何を言っているんだ?」

「そうだぜ、お前おかしいぜ」

「信じられないのは分かる……だがこれは……」

『そんなの当り前じゃないか』

「は?」


有志と仲間達は、ファン達の言葉に驚愕する。


「おい、当たり前ってなんだ……は? お前等あいつが魔族だと知って」

「当然だろ? その上でのアイドル活動を推してるんじゃないか……推し活の基本だろ?」

「そうだぜ、愛しているからこそ相手の全てを知ってそれでも愛する、それこそが俺達のポリシーだぞ?」

「それなのに……お前等……」


この場では、有志達が問題を起こす異分子であった。


ここに居る者達は、全員アイドルぷー子が魔族で、オークだという事を家族から知らされていた。

その上で、ガチコイし、推していたのであった。

しかし、それを有志や仲間達は否定する。


「そうか、そこまで洗脳されていたのか」

「全く……愚かですね……やはり倒すしかありません」

「そうだな、皆に邪魔されようとも倒せば確実にこいつ等も目を覚ますだろう」

「そうするしかないと私も思います」

「そうだよ! 有志倒しちゃお!!」


全く放しを聞いてくれない有志達に、ファン一同ドン引きした。


「おい! 止めろ!」

「黙れええ!!」


方を掴んだ男の手はそのまま斬り飛ばされる。


「いぎゃあああああ!!」

「糞! マジかよ!!」


アイドルコンサートは、歓喜の声から阿鼻叫喚の声へと変わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ