記録106『希望のアイドルとのお別れ』
惑は、荷物を纒てイネとエレン、そしてプランを連れて次なる旅へと向かおうとする。
「じゃ、頑張ってねぷー子ちゃん、多分勇者は来ないと思うけどもし来た場合記録が残るように細工はしていあるからごめんね」
「いえ、また私のライブをそれでもいいので見てください」
惑の失礼な事に対して、寧ろ笑顔でポジティブに捉える。
その姿を見て、バワカとアワホさすがに感動する。
「君ほど魅力的な女性は俺の嫁以外は敵う事はないだろう」
「ああ、俺の妹程でもねえが良い女だぜ!」
二人は、褒めているのか貶しているのか分からない様な褒め方をした。
しかし、ぷー子はそれでも笑顔で対応する。
「はい! ありがとうございます! お二人共お元気で!」
笑顔で見送りをして、惑とイネとエレンとプランは東側。
アワホとバワカは、西側へと移動を開始した。
戻ってから、ぷー子は少しだけ寂しさで涙を流す。
そして、すぐにアイドルの笑顔へと戻りステージへと再び上がった。
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ファイアルアは、頭を抱えながらある者達に手紙を送った。
そして、その手紙は思ったよりも早く届いたのであった。
ララルア街を出ていた有志達へ向おうとしていた。
「俺には、まだ力が足りない……このままでいいのか」
「大丈夫です! あの卑怯者が正々堂々と戦えば有志様が勝つというのに逃げてはこちらが戦いにくいような相手に戦わせるような事をするからです!」
「そうだ! 私は有志が弱いとは思わない! あの卑怯者の悪辣さにコソ問題がある! 相手の精神を脅す様な戦い方をするなど! 奴には男としてのプライドだけではなく! 人の心そのものがない! 許せない事だ!」
「全くその通りです、有志があの卑怯者を打ち倒そうと考えるのは当然です! 魔王並みの危険性を感じます、放って置けば魔王以上の厄災を引き起こす可能性があると思います」
「大丈夫だよ有志! あんな卑怯者何て追い詰めれば有志なら確実に勝てるんだから! きっとここまで暴れて逃げているって事はそういう事なんだよ!」
シャイニャス、レイシャ、テュリアメル、レティリアは、有志を励ましその言葉に勇気を貰う。
「ありがとう皆! 俺! 皆の為にも! 犠牲になった人たちの想いを無駄にしない為にも! 必ず西院円惑と魔王を倒して見せる! 奴等だけはこの世に存在してはいけない! 絶対にだ!」
何度目かの有志の絶対倒すという言葉を発するが、それでも未だに西院円惑を倒すには至っていなことにに対し、有志自身が苦しい想いが募る。
「大丈夫ですか? 有志? 顔が浮かないです」
「ああ、少し休んだ方が良いんじゃないのか?」
「いくら急いでいるからと言って有志がそんなに無理する事ないよ!」
「有志の気持ちは分かります、でもこのままでは有志が持ちません」
「みんな……」
有志は、皆が心配する想いに心を打たれた。
しかし、そんなところにも関わらず、知らせが届く。
「天山有志様でよろしいでしょうか?」
「? はい……貴方は」
それは、兵士であろう姿をした女性であった。
女性であれば、さすがの有志も邪見には出来なかった。
「実は我が国で問題が発生しまして」
「問題?」
「有志は疲れていまして……あまり無理を」
「いや、シャイニャス、困っている人は見捨てられないよ」
「有志、優しすぎます」
有志の言葉に、皆が感動する。
兵士の女性も少し涙をする。
有志は、兵士の女性の手を握ると笑顔で答える。
「任せてください、困っている事があるなら俺が必ず解決して見ます! 貴方達の不安はこの世から消して見せる!」
「あ! ありがとうございます!」
「今日はもう遅い、明日案内を頼めますか? こんな夜道兵士であっても貴方を危険にさらす事は出来ない、もちろん俺の仲間も、今日は一緒に寝ましょう」
「は! はい!!」
その後、兵士の女生と仲間達と共にしっぽりやった。
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翌日、有志は女性兵士の案内でトリア国へと入った。
そこには、頭を悩ませるファイアルアがいた。
「勇者よ良く来ました」
頭を悩ませる元凶は、今まさに目の前にいる。
そして、自身の国に悩みを持ち込む西院円惑に対してもいい気はしていない。
「女王よ、俺は貴方の助けになりたい」
「はあ、ありがとうございます」
外交に慣れているファイアルアにとって、有志の言葉は最早セクハラオヤジと変わりなかった。
「一体どうしたんですか? この国で何が?」
ファイアルアは、慎重に話を進める。
「この国の男をアイドルという者が心を支配し始めました?」
「アイドル?」
「あい?」
「アイドル!!」
その言葉に有志だけが反応した。
「知っているのですか? 勇者様」
「俺のいた現代にあった文化の一つです……でもどうしてそんなのが」
「それは魔族が突然人型の女性になって行い始めた事なのです」
敢えて、西院円惑に着いて話さなかった。
もしかしたら魔族のせいにして厄介事から逃げれるかもしれない、魔族が勇者の文化をどこかで知ったかもしれないと思った。
しかし、当然予想は外れる。
「間違いない! 西院円惑に違いない!」
「orz」
ファイアルアの悩みは増えた。




