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記録103『協力関係』

惑の言葉に唖然としながらも魔王は、交渉を続ける。


「だがもし、もし我々がこの世界の平和協定を行いという願いがあれば! その願いを叶えるのに協力してくれというならば! 協力してくれるのか?」

「? うーん……良いんだけど……良いんだけどおお……そもそも君にその力は備わっていると思うよ?」


魔王は、惑の図星を突かれた言葉に少し動揺する。


「……確かにそう……そうだが」

「勇者が邪魔で出来ない?」

「!! そうだ……」


惑は、意外とこの世界の状況を理解していた。


「大体無法都市の時点で君等がアルマダに四天王を送って交渉させている時点でほぼ確定的に争いを望んではいないんだろ? それに君等が人間軍を襲うのはそもそも勇者を召喚させない為の所業に過ぎない……それってつまり人間軍の期待戦力を潰す事によって平和協定の可能性を上げる為だろ? そして人間軍が諦めない理由は大体勇者という怪物級の存在がデカい、そのデカい存在を潰さない限り人間軍は魔王軍という異端を許すつもりがない……魔王軍というだけで戦力の差は明らかで牙を剥かれた場合は太刀打ちすることも出来ない……そして君等はそんな圧倒的戦力を見せた上で平和交渉に持ち込めば人間軍は乗るしかない……だが勇者は召喚されてしまった……それが今の現状だ」


魔王は俯くしかなかった。


「魔王様」


執事も、その言葉を聞いて悔しそうにする。


「君が魔王軍の四天王である竜人種のバザルさんだね?」

「私の事をご存じで?」

「おいおい、呆れるぜ? だって君無法都市にいただろ? アルマダさんと交渉してたじゃないか」

「……」


バザルも、惑という男を侮っていた。

惑は、この場にいる時点ですでに状況を把握しており、そして惑の目的は勇者を殺す為の情報と必要性であった。

その惑の求めていた物は、想像以上に効果があった。


「やっぱり……私の復讐は必要な事なんだ……」


エレンの目には、復讐をする為の理由が出来た。

ただの兄の仇を討つ出あれば、もし誰かから反対されてしかもより多くの人が苦しみ、兄のような人間を作る事となる、そんなことを言われて耐えれるかどうかはまだ分からなかった。

しかし、現状勇者を生かす事は、魔王軍の和平交渉の邪魔となり、多くの犠牲者が出る。

そう考えれば、エレンが勇者である天山有志に復讐する事を否定されても、そのバックボーンがあれば、エレンにとって他のバッシングは特に気にする必要のない為の要因であった。


「さてと、ならエレンちゃんが勇者を殺す為に努力しても良いですね? それと和平なんですけどそのぷー子を使えば難しくないのでは?」

「? え? それはどういう事?」


惑の言葉に、ぷー子は首を傾げる。


「アイドル活動はその為でもある、だってそもそも魔王が僕の元にぷー子に送ったのってそれが理由でしょ? ならその為の準備も並行して行う……アイドルという存在は全ての垣根を掻き消す、来るもの拒まず去るもの追わず、という状況が作りやすくした……アイドルを応援するという事は売らすという事、売らすという事はファンを付けるという事、そしてファンにするのは別に人間を限定的にしているわけではない……魔族だってファンになればもうそれは仲間だ」

『!!』


他の者達も、唖然とする。

現在、ぷー子の人間に対しての人気は尋常ではない。

握手の為に、何度もグッズを買い占める客もいれば、写真の為にぷー子のコンサート参加をする者も多い。

そして、その中には今まで邪見にされてきた亜人も多少含まれている。

そして、一触即発の状態とは程遠い。

もし、その中に魔族が入っても、問題はなく。

寧ろ歓迎される可能性の方が大きい。

ならば、この際魔族もファンの中に入れて、ぷー子を応援させる方が効率が良い。

魔王は、深く頷く。


「そう……だな、その手があったな……感謝する西院円惑」

「見落としを指摘した鬱陶しい人間ですよ……僕は」


苦笑する魔王に惑は皮肉を言う。


そして、その後魔王は惑の言う通り、魔族もぷー子のファンへと入れた。


「うおおおおおおおおおおおお!!」

「ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子! ぷー子!」


そこには、当然兄と父と母も加入した。

こうして、ぷー子のファンクラブは順調に拡大をしていった。


そして、人間達も亜人達も惑の言う通り、魔族のファンを全く気にすることなく受け入れた。


コイ・ガチは、魔族と握手を交わす。


「ようこそ、ぷー子ファンクラブへ、総隊長のコイ・ガチです」

「ありがとう人間の諸君、私はぷー子の父とそっちが兄です」

「ご家族の方ですか、オーク族だったんですね、あんなに可愛い方をこの世に産んで頂けてありがとうございます、お陰で僕等の世界は広がりました、これからよろしくお願いします」


オークと知っても、ファンの皆は軽蔑することなく魔族と共にぷー子を推した。

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