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記録102『魔王邂逅』

ぷー子は、久しぶりに魔王と会っていた。


「久しぶりだな……元気にしているか……」

「はい、お久しぶりです魔王様」


当然、父親と母親、更には兄が隣で付き添っていた。


「この度は西院円惑様と私を引き合わせてくれてありが」

「私は場所を調べて貴様を派遣しただけだ……その後の交渉などは貴様の努力で成功したまでだ……」

「は! ありがたき幸せ!」


魔王は少し笑った後、真剣な表情になる。


「そこで頼みだ……貴様の取り計らいで西院円惑との面会は出来るか?」

「は! 確認してみます!」

「うむ」


そして、ぷー子は家族と共に玉座の間を離れた。


「お前は私の誇りだ……」

「ええ、貴方のしたかった事に素直になったお陰でこの戦いが終わるかもしれないわ」

「お父様……お母様」

「フォラマン……いや今はぷー子か……本当に夢が叶って良かったな」

「お兄様……」


ぷー子は、自分の想いに気付いてくれていた家族に再び涙を流す事となった。


-----------------------------------------------------------------


惑と机を挟んで、ぷー子の家族と面会していた。


「で? 魔王様が僕と会いたいと?」

「はい」

「息……いえ娘の事までお世話になったというのにこのような申し出をしてしまい……」

「ああ別にそんなにお辞儀して頼まなくて良いですよ? 僕も記録が取れれば問題なかったので、それより魔王様と面会するという事ですか? 良いですよ、ただエレンちゃんとぷー子さんと一緒に来てくれるなら」

「!! いいんですか?」


エレンは、自分が一緒に付き添いに選ばれたことに少し驚いていた。


「この際魔王が勇者をどう殺すのかを聞いておきたいし」

「……」


惑の言葉を聞いて、エレンは緊張した面持ちで惑を見る。


「分かりました……イネさんは」

「「あいつはいい」」

「そうですか」


イネだけは、残して二人は魔王の元へと面会に向かった。


「よく来た西院円惑殿……ここの席にお座りください」


執事らしき者が惑を用意した席に案内した。


「で? 僕に何を聞きたいんですか? そこにいるんですよね?」


惑が、部屋の奥に声を掛けると黒い靄のような何かが現れる。


「よくぞ来た西院円惑、我が魔王である」

「はあ、で? 何が聞きたいんですか?」

「ま! 惑さん! 失礼のないように!」

「いい、この者はそういう者なんだろう……寧ろ期待通りだ」


少し不安そうな声を出しながら、惑への質問を開始する。


「では聞こう……貴様は勇者天山有志をどう思う?」

「どうとも思いませんが?」

「聞き方が不味かったか……どんなものだと思う?」

「異世界に召喚されてテンションの上がった学生、主人公したい系、自分の事象全てが正義人間、自分がハーレムをするのは許されるが他は許されないといった自分その者が法律になっている人」


その見解を聞いて、魔王は不敵に嗤う。


「確かに……今までの勇者もそうだった」

「でしょうね」


惑は、何処か分かっていたように答える。


「そしてだ、貴様はその娘に勇者を殺させようとしているみたいだ」

「別に本人が嫌ならしませんよ? 復讐したいって言っているから手伝っているんだけどね」

「それは本当か?」

「はい、私は勇者に復讐の為殺します……プランちゃんもその想いは一緒です」

「なるほど」


惑の言葉が正しい事を知って、再び質問する。


「西院円惑……私はこの世界を魔族と人間が共存出来る世界にしたい」

「そうなんですね、出来れば良いですね」

「? 君はそんな未来を目指しているのではないのか?」


惑の答えを聞いて、逆に魔王は疑問を持った。


「え? そんな未来目指してませんが?」


惑は、意外そうな表情で質問に答えた。


「何か勘違いしているようですが僕はエレンちゃんが復讐したいというので協力しているだけでそれ以上もそれ以下もありませんね、もし勇者を殺すのを止めたいというのであれば僕も別に勇者を殺す協力は止めます、それがただの諦めなら何とか立ち上がれるようにメンタルの回復を試みるけどそうでなく本当に勇者を殺したくないならそれを尊重しますけど」


執事は、惑という人間に戸惑っていた。


「わ……私からも質問良いですか? 私が知っている錬金術師達は名誉や自身の優秀さ、更には知識を得る為に人を物のように扱ったりする者ばかりでした! それなのに貴方は人の考え方に準ずる錬金術師だというのですか?」


少し興奮しながら聞く執事に惑は答える。


「? そういう錬金術師もいるよね、でも僕の考え方は違うかな? 科学というのは常に人と共に寄り添って生きていた、僕は科学の在り方に準じて生きていると言っても過言ではない、正義が科学を求めれば正義を執行の手伝いをし、悪が科学を求めるなら悪を執行する手伝いをする、虐殺の為の科学なら虐殺に向いた科学を生み出す、平和の科学なら平和の為の科学を、そうやって変幻自在に世界に種を巻いて事象の記録をする、それが今まで人類が行ってきた科学という形だと僕は思っている……分からない事を見つけたり、やりたい事を叶えたり、それらに貴賤を置けばきっと科学はここまで進化を遂げなかった、だから人の気持ちに準ずるというか科学の道を突き進む感じかな? 人の気持ちに準ずるように見えるのは気持ちによって成功率が左右されるからだからそこは別にどうでも良い」


その説明を聞いて、周りは唖然とする。

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