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ブラッドレイ家の夏休み  作者: 鈴田在可
長男編

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4/21

彼の家族がそこにいるのに

R15注意

 フィオナはジュリアスに✕✕されていたが、ここは専用海岸プライベートビーチとはいえ屋外である。


 フィオナが恥ずかしくなっているのは、外でこんなことをしていることの他に、もう一つ理由があった。


「シオ、少し休憩しようか」


「喉乾いたー」


 専用海岸プライベートビーチにはブラッドレイ家以外に海水浴を楽しむ人の姿はなく、自分の声と打ち寄せる波の音以外は静かなもので、少し離れた場所にいるカインとシオンの会話も聞こえてくる。


 幸いこちらの様子には気付いていないようだったが、彼の家族がそこにいるのにこんなことをしていることに罪悪感があった。


「大丈夫だよ。ずっと防音魔法と、念の為に幻視の魔法もかけているから、もし弟たちがこっちに走ってきても、俺たちの姿は見えない」


「でも……」


(そうは言ってもこの状況は苦しい…………)


「パパー、冷たい牛乳ちょうだーい」


 フィオナが葛藤を感じていると、ジュリアスの弟シオンが、ブラッドレイ家のドンである父親アークに飲み物をねだっている声が聞こえる。


 そう言えば、ブラッドレイ家の兄弟たちは皆子供の頃は牛乳が大好きなのだと、以前聞いたことがあるような気がして頭の中の記憶を探りつつ、フィオナはそれどころではなくなってきて思考を止めた。


「かき氷で我慢しろ」


 感情が見えず無表情がデフォルトのアークは、いつも通り温度ゼロな飄々とした声音でシオンに返事をしていた。


「アーちゃん、近くの村には変わった祭りがあるそうよ。私達も――――」


 アークの妻ロゼの話し声も聞こえてきたが、その声は不自然な感じにぶつ切りになってしまい、最後までは聞こえなかった。


 ちなみに、「アーちゃん」とはフィオナとジュリアスの鬼畜上司でもあるアークをロゼが呼ぶ時のいつもの愛称だ。そんな可愛い感じの愛称を勇気を持って呼べるのは、世界広しといえどきっとロゼだけだ。


 フィオナたちがビーチで遊んでいる最中からずっと、ロゼはビーチパラソルの下でピタリとアークに寄り添い、その豊満すぎる乳をアークの腕に押し付けてニコニコしていたが、たぶん未だにロゼはアークの隣に張り付いているのだろうと思う。


「汗、早く拭いてよママー」


 わいわいやっている一家の中で一際大きな声を出したのは末っ子で七男のレオハルトだ。


 まだ二歳のレオハルトだが、幼児特有の守ってあげたくなるような愛らしさは折り紙付きで、将来は兄たちのような美形になること間違いなしだった。


 フィオナたちが浜辺でボール遊びをしている間、レオハルトは三兄ノエルとその婚約者アテナと一緒に、浅瀬で浮き輪を使って海遊びをしていたが、レオハルトはことあるごとにアテナの胸に抱き付いてデヘデヘしていて、そのたびにノエルに引き剥がされていた。


 レオハルトは美形幼児なのにおっぱいが大好きすぎることが玉に瑕だった。


 レオハルトはフィオナの胸には一度も「デヘヘ」してくれたことはないので、ちょっと寂しくはある。


 ジュリアスの家族の声を聞きながら、フィオナはそのうちに身体に力が入らなくなってしまって、倒れそうになるのをジュリアスに支えられた。


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