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ブラッドレイ家の夏休み  作者: 鈴田在可
おまけ ☓☓年後の七男編

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プライベートビーチと✕✕狂

R15

 ビキニが取られた。


 カナリアの伴侶レオハルトが愛してやまない、彼女のたわわな胸が、波に煽られるようにして海中で大きく揺れている。 


 カナリアが現在いるのは、キャンベル伯爵家のプライベートビーチだ。レオハルトの長兄ジュリアスが結婚した相手がフィオナ・キャンベル伯爵令嬢で、その恩恵に預かり、こうして贅沢な空間を独占して使用することができていた。


 レオハルトの実家であるブラッドレイ家の面々は、夏になると皆でまとまって伯爵家のプライベートビーチに遊びに来るのが恒例だが、レオハルトだけは、毎年皆とは少し時期をずらして、カナリアを連れて二人だけでこの地を訪れる。


 それはなぜか。


「カナ」


 呼ばれたカナリアは、金色の髪から海の雫を滴らせながら、振り返った。


 カナリアが母譲りの黒色の瞳で捉えたレオハルトの姿こそが、その答えだ。


 吸い込まれそうな夏の青い空と白い砂浜を背景に、ザザーンという心が癒されそうな波の音と共に佇む白金髪の美男レオハルトは、蠱惑的な灰色の瞳で愛おしそうにカナリアを見つめているが、自分を完全解放していて、魔法も使わず水着も着ずに生まれたままの姿になっている――――






 カナリアの夫レオハルトは✕✕狂だ。


 普段のレオハルトは、この世界では希少な存在である魔法を使って「服を着ている風」に見せかけているが、実態は常に✕だ。


 レオハルトはそのまま外に出て買い物にも出かけるし、そのままで普通に銃騎士隊の仕事も行う。


 気付かれないのは魔法のおかげだが、彼と同様に希少な魔法使いであるカナリアは、『真眼』という特殊な眼を持っていて、レオハルトの魔法を見破ってしまう。


 つまり、カナリアにはレオハルトの真の姿が、いついかなる時も見えている。


 出会った頃は彼の生活スタイルに度肝を抜かれ、嫌悪もした。


 できるだけ一生関わらないで生きていこうと思ったのに、お互いの親が元は敵同士で、友好の証として、同じ年の二人の婚約話が持ち上がってしまった。


 最初こそカナリアは、『なんでこんなのと結婚しなくちゃいけないの? 最悪』と思っていた。


 顔は最強イケメンなのに、会うたび会うたびいつもありのままで、乙女の心はズタズタになった。


 でも、ずっと気になる相手ではあった。


 一度腹を割って話をし、「カナも脱いだらいいんだ。俺の気持ちがわかるから」と言われて、最初にこのプライベートビーチでありのまま体験をした時に、襲われた。


「初めてが✕✕なんてイヤー!」というカナリアの叫びをレオハルトが了承し、初✕✕はビーチのそばにある伯爵家別荘の一室だった。


 レオハルトに抱き締められたカナリアは、魔法を使えば逃げられたはずなのに、彼に身を任せた。


 夏の開放的な季節と、すべてを受け入れてくれる大海原が近くにある環境が、カナリアを大胆にした。


『✕✕とは、すべてを解放することだ』


 レオハルトに何度となく説かれた言葉が全身に沁み渡り、カナリアは真髄を理解した気がした。


 レオハルトが自分の性癖を無理に押し付けず、こちらの言葉を聞いて優しく労ってくれたから、この人となら一生やっていけると思ったカナリアは、レオハルトへの気持ちに素直になることにして、婚約破棄は取りやめた。


「カナ…… 愛してる」


「レオ…… 私も」


 二人の影が重なる。


 そこから毎年、カナリアはレオハルトと共にこのプライベートビーチを訪れ、愛を深めている。


 結婚してもう五年。今年もこの場所で夫との愛の思い出を作れることを、嬉しく思う。






 魔法でビキニトップを取られたカナリアは、最愛の夫の求めに応じるべく、自らの魔法でビキニショーツを消し去ると、彼の元へ向かって泳ぎ出した。





ペン先の欠片(@creative_SKGK)さんの夏の掌編企画に参加したものです。


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