子作りを巡る戦い
R15注意
「うーん、おねいさま……」
容赦なく可愛がられているロゼの耳に、寝台の方からレオハルトの声が聞こえてきた。
はっとしてそちらに視線を走らせれば、レオハルトは瞼を閉じたままだったので、どうやら寝言のようだ。
「アテナおねいさま~ おっぱいで僕の顔を挟んじゃだめだよぅ……」
レオハルトは幸せな夢を見ているようだった。泣き叫ばれて離乳がとても大変だったくらい、おっぱいが大好きすぎるレオハルトは、時々こうしておっぱいの夢を見るらしく、寝言に出てくる時がある。
「アーちゃん、レオちゃんが起きちゃ――――」
ロゼはレオハルトを起こさないように何か魔法を使ってほしいと言おうとしたが、言葉の途中で遮るように口を塞がれる。唇からの甘い感覚によって、強い高揚感がロゼを包んだ。
アークはキスをしたまま目も閉じない。
ロゼはキスをされたまま身体を撫でられた。アークは毎回行為前に執拗な接触をこれでもかと行う。
そこに避妊を成功させるためにロゼの体力を奪い、後半にかけて主導権を握られることを避ける意味があることはロゼもわかっていて、そうはさせるかという思いもある。
二人のまぐわいは、「子供を作るか作らないか」という真っ向から対立する主張を巡る戦いでもあった。
アークはいつも避妊魔法をロゼに刻むが、気絶してしまえば魔法は無効になって受精できる。アークもアークなりに子供たちを愛しているので、一度受精してしまえばその子供を殺す動きもしない。
だから、体力だけには自信のあるロゼはいつもアークが気絶するまで彼を離さないで頑張るし、アークもアークで、ロゼを攻めまくって体力切れに追い込み、寝落ちか気絶させようとしてくる。
アークは回復魔法を使えるので難敵だが、回復魔法は短い時間で頻繁に使うと効果が薄いこともあるらしく、勝機はゼロではない。ロゼはそうやってこれまでの妊娠を果たしてきた。
今回も何とかして勝たなければと思っていると、ロゼは横からの可愛らしい声を聞いた。
「リィおねいさま…… おっぱいもう飲めないよぅぅ~♡」
息子よ、どんな夢を見てるんだ…… とロゼはおっぱい大好き息子レオハルトの将来が心配になった。
まだ二歳だから許されているのだろうが、そのうちに婚約者の胸を狙っているのではと、兄たちが激怒してしまう事態になるのではないかとロゼは思った。
ちなみに、レオハルトのおっぱい関連の寝言の中で、長男の婚約者フィオナの名前が出てきたことは、一度もない……
レオハルトの離乳が早すぎたのかしらとロゼが考えている最中、彼女な服がはだけてしまう。
「アーちゃん…… アーちゃん……」
もしも両親の最中を目撃してしまったら、レオハルトがより変態になってしまうと懸念したロゼは、アークに魔法で何とかしてほしいと思い声をかけた。
アークもアークで長年連れ添ったロゼの言いたいことはわかっている様子だった。
「我慢しろ」
けれどアークの答えは、あんまりな回答だった。
(この鬼畜っ! でも好きっ♡)
アークが意地悪だろうと悪趣味だろうと何だろうと、ロゼはこの鬼畜から離れられないくらいに、深く深く彼を愛していた。




