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ブラッドレイ家の夏休み  作者: 鈴田在可
三男編

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15/21

初✕✕回想 ~結婚の「結」~

R15注意

 初✕✕を終えたアテナは、しばらく何も考えられず放心状態だった。


「アテナ……」


 アテナの涙の跡をノエルが綺麗な指で拭いてくれる。


「結婚してください」


 ノエルの突然の求婚プロポーズに驚いたのは一瞬だけで、アテナの答えは決まりきっていた。


「はい。よろしくお願いします」


 嬉しくて笑顔で返すと、ノエルも嬉しそうな表情で瞳を潤ませ、こちらに熱っぽい視線を向けてくる。


「アテナ、ありがとうございます……」


 そう言ってノエルが抱きついてくるので、アテナは身体が火照った。






「私はアテナの排卵日がわかるようになったのですが、今日は違うから大丈夫です」






「俺の全部を受け取って」


 アテナは渦に呑まれ、溺れていった。











 交際開始と初✕✕と求婚が一度にやって来た人生最良の日を、アテナは生涯忘れない。






********






 ザザーン、とあの日も聞こえた波の音を聞きながら、アテナは船上での初✕✕を回想した。


「そう言えば、初✕✕✕記念日でもあったわね」


「…………また突拍子もなく何を言っているんですか?」


 感慨深そうに頷くアテナを見ながら、隣のノエルが訝しげに返す。


「そんな言葉、私以外の前で言ってはいけませんよ。誘っているのかと勘違いした男が、あなたを狙うようになったらどうするんですか?」


「言わないわよ、ふふふ。ノエルにだけよ」


 時々垣間見えるノエルの独占欲に胸がキュンキュンする。


「ほら、私たちの初✕✕の時も、波の音がしてたなーって、思い出してたの。


 そうそう、ノエルに『結婚してください』って言われた後に婚約記念✕✕✕をしてたら、ノエルが✕✕化しちゃって止まらなくて、『もう無理ー』って私がギブアップしたら、『今更逃しませんよ』ってノエルに言われたのよね、キャ~」


 アテナはバシバシとノエルの背中を叩きながら嬉しそうにはしゃいでいる。


「あの時は…… すみませんでした」


「いいのよいいのよ、わかるわよ、愛が止まらなかったのよね、愛がね! そんなに堅苦しく謝らなくてもいいのに。もう、真面目なんだから」


「でも好きでしょう? 真面目な男が」


 打ち寄せる波の音だけが見つめ合う二人を包む。


「うん、好き」


 アテナが手を伸ばすとノエルが抱きしめてくれる。ノエルが深いキスをしてくれるので、アテナも自分の気持ちを伝えるように口付けを返し、幸せに浸った。

 

「そろそろ我々も部屋へ行きましょうか」


「あ、待って」


 たき火を消したノエルが転移魔法を発動しそうだったので、アテナが待ったをかけた。


「せっかくだから、歩いて帰ろう」


 もう少し外で波の音を聞いていたいと思ったアテナは、ノエルと手を繋ぎ、別荘までの道のりを歩いた。





三男編了


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