表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「世界の半分をくれてやる」と言われて魔王と契約したらとんでもないことになった  作者: 山野エル
第3章 この世界が思ってた以上にやばかったんですけど
83/107

幕間:なんでもいい

~保養所にて~



 ぐったりとしたイヅメに肩を貸して保養所から少し行ったところにある浴場へ向かおうとするファレルは、一向に動こうとしない第七魔王に怪訝(けげん)そうに視線を飛ばした。ファレルにとっては、名前も未だ聞き出せていない謎の男だ。とはいっても、彼が肩を貸す獣人もこの世界の者ではない謎の存在だ。


「ええと、行かないんですか……?」


 第七魔王は無表情のままだ。


「私は行かん。勝手に行け」


「身体をリフレッシュできますよ」


「行かないと言ってるだろ」


 鬱陶しそうに顔を背ける第七魔王に、ファレルは理解ができないというような顔を向ける。


「ヴァレフの温泉は傷も治すと有名なんですよ」


「だから」第七魔王は目の前のしつこい男に嫌気が差したようだ。「行かないと言っている。私はお前たちとは違うんだ」


 ファレルは眉間に(しわ)を寄せる。


「あなたは僕たちと違うんですか? どこが?」


 ──確かに、あの魔法はすごかったけど。


 ファレルはメスタで第七魔王が見せた魔法を思い出していた。何もないところから杖を生成し、離れた場所に一瞬で移動した。生成魔法と簡易転移魔法だ。ファレルにも魔法知識はあるが、その二つはどちらも高度な魔法に分類される。そんなものを容易に操ることができるというのは、只者ではない。


「お前、なよなよしているわりにずいぶん首を突っ込んでくるじゃないか」


「なよなよしてますか、僕?」


「してるだろ」


「そんなんで僕はレヴィト様を守り切れるでしょうか……?」


「知らん」


 ファレルは残念そうに第七魔王を見つめる。凄腕の魔術師──今後レヴィトを守るために彼の力を借りるべきかもしれない……ファレルはそう直感して、尋ねた。


「あなたのことを何て呼べばいいですか?」


「なんでもいい。好きに呼べ」


「……そんな自己紹介あります?」


 ファレルの肩でイヅメがバツの悪そうに口を開く。


「すまん。早く行かないなら寝かせてくれ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ