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ナゾ子

「あ? 星の祭壇に入るだって? やめとけ、住民からまた叩かれる」

 腕を組んで片眉を上げて雷太は人差し指を動かす。それでもドロシーは星の祭壇に入りたいらしく軽く駄々をこね始めた。

 額に手を当てて悩み始めた頃合い、通りかかったお爺ちゃんが立ち止まって「何をしてるのかの」と二人に問う。

「この魔女が星の祭壇に入りたいと言ってるんだ。俺は入るべきじゃねぇと思う、だろ?」

「じゃな。何でも叶えてしまうという事は自身の良心を溶かす結果になる。悪い事は言わないから引き返しなさい」

 大きな筆を握りしめて振り回し、ピンク色のインクが辺りに飛び散る。諦めずに雷太に訴えかけた。

 段々お爺ちゃんの心証が悪くなって雷太は手の指先から緑色の静電気をバチバチと鳴らす。

「お前見ただろ。俺と戦うつもりか?」

「いいよ! 私は会いたい人がいるから!」

 喧嘩腰の光景にお爺ちゃんは怖気づいてどさくさに紛れて逃げる。

 一端お互いに距離を置くと魔力を周囲から吸収し初め、雷太は緑色の電撃にドロシーの方は黄色の電気を放とうと筆を体の前に突き出す。

 二つの風圧で草木が揺れ鉄で出来た門は金属が擦れるような音を出した。

 ありったけの魔力をぶつけるべく色の違う電撃が衝突する、寸前だった。

 間に何かが割って入り何の被害も受ける事無くか細い両手で二種類の魔法を相殺。

 何が起きたのか分からず魔法を放った彼らは茫然とする。

 中心に経つのはドロシーとは少し形状の違う魔女の帽子をかぶり、顔に罰の方向に包帯、その下から目を隠すように更に横方向へ包帯を巻きつけ、銀髪を冷たい風に揺らす。

「喧嘩は、ダメですよ」

 雷太もドロシーも突っ込みを入れる箇所しか思いつかず、まず何故目を隠して状況が分かるのかと、そして強い魔力を二つも受けて平然としてる点である。

 ドロシーの方に低空飛行で近づくと体を横方向へ浮かせて鼻がくっつきそうなぐらいに顔面を寄せた。

 口元は不気味に笑っている。

「わたしはナゾ子です。言ってましたよね、案内しましょうか? 星の祭壇へ……」

「へ? いいの?」

 魔力でも身体能力でも勝てないと悟った雷太は何も言わずただ、悔しい気持ちだけを持って地べたに視線を向けていた。

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