episode013 Aランク冒険者
「ここの女将ちょっと性癖が変でな。
誰かを戸惑わすのが好きなんだよ。
ほら後ろ見てみ。」
俺はそう言われ後ろを振り向くとそこには、にやつく女将がいた。
「ごめんなさいね。
君の性別がどっちか分からなかったから、
とりあえず女湯の時に入れて男だったら戸惑ってるとこが見れて、
女だったらまぁいいかなって感じだったからさ。
でもよかったね。
こんなにかわいい女性たちの裸を見れて。」
なぜかさっきあった時より声のトーンがワントーン上がっていた。
「女将それじゃ俺はもういいか?」
「いいんじゃないかな。」
なぜか背中がゾクリとした。
「俺はな。ショタコンなんだよ。
だから体を洗わせろ!」
マジかよ。
「変態の巣窟じゃねぇかよ!!」
「そんなことないさ。」
「そこにいる人。反対だよね。
こんなこと。」
俺は賛成を得ようとしたんだが。
「むしろご褒美くらいだよ?」
そう言われて俺は終わったと思うのだった。
「ほら諦めろ。
というかお前の前髪切ったるよ。
伸びすぎだからよ。」
「それはちょっと!」
そう言ったが間に合わなかった。
俺は中性的かつどちらかといえば女性いや女子に
似てかつ童顔だったのであえて魔法で成長させたのに
こんなはめにあい、そして挙げ句の果てに準備した髪の毛も切られる。
「マジかよ。
下手な女子よりよっぽど女子してるぞ、お前。」
「だから嫌だったんですよ。」
「そうか、だが男の娘なんだな。」
「そうですよ男の子なんですよ。
だからやめてください。」
少し男の子の「こ」の部分のイントネーションが違う気がしたが無視をして、
「そうか。
おい誰かこい。」
彼女がそういうと誰かが来て、
内緒話をしてそしてその人は脱衣所に向かった。
「どうかしたんですか?」
「いや。」
にやつく彼女。
「そういや僕名前は。」
「言いたくないです。」
言いたくないのだ。
こんな状況で咲夜だなんて言った暁にはさらに女の子扱いが
「咲夜らしいです。」
「なんで!」
「言い忘れたな。
ここにいる奴ら結構いいスキル持ちだから、
読心と鑑定持ちがいるからな。
だから嘘はつくなよ?」
俺よ。
もう逃げ場はないみたいだ。
そのことに気がつき俺は諦めて流れるまま流されるのだった。
「いやーよかったぜ。」
彼女の名前はフレイヤ。
A級の冒険者らしい。
そして冒険者の中ではショタコンというのは有名らしい。
「自分は最悪ですけどね。」
現在の俺はこの宿に泊まっている女性から着せ替え人形にされていた。
そして俺の下着は女ものに変わっていた。
なぜなら風呂場で一人脱衣所にむかさわせたときに
服を全て女物に変えるよう命令したそうだ。
そして俺は諦めがついたことを勘付いたフレイヤは、
着せ替え人形にしようと決めてそして俺はされるがままされるのだった。
「あの、俺いつまでこのままですか?」
俺がそう聞くと、
「そうだね。女の子に近づいて女だと自認する所からかな?」
彼女はフレイヤさんと同様Aランク冒険者のミカサさん。
錬金術を極めていて、容易に性転換女限定品を作れるらしい。
そして今は材料がないため作製不可なのが不幸中の幸いだ。
まぁ性別は自由に変えることは可能なのだが、
この際置いておいて、彼女は男の娘が女の子になることが至高らしい。
イカれている。ただ強引だが有難いこともあった。
色々装備なども買ってきてくれたりした。
それだけでなく冒険者について色々教えてくれる約束もした。
「それと自分のことは何て言うのかな?」
女性の睨みは怖い。
ほんとにいやマジで怖い。
「僕もしくは私です。」
「それじゃさっき俺って言ったのは何でかな?」
「癖です。」
「それじゃもっと女の子らしくしないとね。」
俺はそう言われた途端逃げ出そうとしたが、
無理だった。
「いやぁなぜか私錬金工房っていうスキルを持っているからさ、
そこに入れれば無抵抗化できるんだよね。
でもその分条件が難しいけど。」
そう彼女の錬金工房が厄介なのだ。
「それじゃ化粧しましょね。」
そう言われてまたされるがままになるのだった。
だが忘れてはいけない。
まだ俺は屈していないこと。
そして日数がまだ1日しか経過していないこと。
「俺はもう逃げる!!」
そう決めた俺は逃げることにした。
「人化解除。」
そういった俺は元のトカゲの姿になった。
よしこのまま逃げれば。
そう思い逃げようとした今。
「つかまーえた。」
がしっと体を捕まえられた。
「まさかサーちゃんが獣人もしくは魔人だったとわね。」
俺は恐る恐る後ろを向く。
そこにいたのはミーナさん。
彼女も同様フレイヤさんと同じAランク冒険者。
そして聖女らしい。
俺は捕まえられた腕を振り解き自身に結界を張って逃げるのだった。
もちろん向かう先は魔境。
あそこは人間にはまだ未踏の地。
つまりは安住の地になるわけだ。
思い浮かんだが吉日だったっけ?
つまりは急げ!!
俺は急いで魔境に飛んで行くのだった。
ふぅ。ここまでくれば安心だ。
現在いるのは魔境にある山の5合目くらいの場所。
そこにほら穴を作って俺はそこで暮らすことにした。
とりあえず二、三日はここで待機。
そう決めて早速寝るのだった。




