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第44話 ゼントVS大勇者ゲルドン②

 俺──ゼント・ラージェントと、大勇者ゲルドンの対決は続いている。


 俺は得意の──手の平の下部を使った打撃技──掌打(しょうだ)で、ゲルドンのアゴを打ち抜き、ダウンを奪った。


 しかし、ゲルドンはやがて立ち上がった。顔は笑っている。な、何だ、その余裕は?


 その時、俺は目を丸くした。


 何と、ゲルドンの体から、闇色(やみいろ)のもやのようなものが発生して見えたのだ。


 何だ? これって、セバスチャンがサユリ戦で見せたオーラと同じ……!


 ゲルドンは物凄い勢いで、俺の方に走り込んでくる! その時だ。ゲルドンの背後に、巨体の戦士が見えた。顔は青白く、体が透明だ! な、何だ、ありゃ?


「おおおおらああっ!」


 ドガアッ


 ゲルドンは前蹴り一閃(いっせん)、俺を無造作(むぞうさ)に蹴り飛ばした。

 

 俺は、4メートルは吹っ飛んだ。リングの左から右まで、飛ばされた。


「くっ」


 すんでのところで、腹の急所を防いでいたので、たいしたダメージはない。

 しかし、何だ? このゲルドンの力は?


「だらああああっ!」


 ゲルドンの大振りなパンチ!

 うっ……? 一瞬、まるで亡者(もうじゃ)のような恐ろしい顔をした屈強(くっきょう)な男が、ゲルドンの背後に見えた! さっきと同じような現象だ!


 俺は危機を察知し、両手で顔を防ぐ!


 ガスウウウッ


 また俺は、3メートルは吹っ飛ばされる。しかし、うまく防いだので、ダメージは軽減できた。


 おや? ゲルドンは目を丸くしている。


「おい、てめぇ……何で倒れねーんだよ……。お前、本当にゼントなのか? あのクソ弱いゼントなのか?」


 ゲルドンはパワーを見せつけているが、俺の防御(ディフェンス)に驚いているようだ。確かに、俺は防御をして急所を防いだから、ダメージは最小限だ。

 しかし、あまりのゲルドンのパワーに押され、手はしびれているが……。


(ゲルドンの、この力は、一体何だ?)


「ゲルドン、あなた! 魔法精製薬(まほうせいせいやく)を浴びたわね!」


 リング外の俺のセコンド──ミランダさんの声がした。


「あなたの力の根源(こんげん)はもしかして……戦闘民族、サーガ族の()血薬(ちやく)!」


 ゲルドンはニヤリと笑った。


「そうだよ、ミランダ先生よ。俺は『サーガ族の()血薬(ちやく)』を浴びた。だから、俺の背後には、サーガ族の亡霊(ぼうれい)が集まってきて、取り()いている!」


 せ、戦闘民族の亡霊? マジか? 本当に悪魔に魂を売ったのか、ゲルドン!


 ──ブオン!


 (すき)をついた、ゲルドンの右アッパー!


 俺は転がって()ける。


 またしても、ゲルドンの背後に、長いアゴヒゲの巨体の亡者(もうじゃ)が見えた。

 こいつも亡霊(ぼうれい)か! くそっ、ゲルドンにはたくさんの亡霊(ぼうれい)の味方がいるってことか!


「ゼント君! 打撃に付き合うと危ない! だから、別の方法で闘いなさい!」


 ミランダ先生が声を上げた。

 打撃以外の別の方法! となれば!


 俺は(すき)をついて、ゲルドンの左足に突進していた。──左足を(つか)んだ!


「うっ?」


 ゲルドンはうめいた。


 せえのっ!


 俺はゲルドンの左足を抱え、自分の肩と腕を使って、ゲルドンを倒そうとした。ゲルドンはふんばる……!

 しかし、俺はこの片足タックルを練習しまくっていたのだ!


 ドサッ


 ゲルドンはバランスを崩し、リングに座り込んだ。


「くっ、ちきしょう! ゼント、お前、組み技までやれるのか!」


 ゲルドンは声を上げたが、そこからの俺の行動は素早かった。


 ゲルドンの後ろに回り込み、座り込んだままで──!


 ゲルドンの首に手を回した。再びチョークスリーパー、裸締(はだかじ)めだ! 相手の頸動脈(けいどうみゃく)を締める!


「ぐうおおおおおおお~!」


 何と、ゲルドンは俺が首に腕をまわしているのに、強引に立ち上がった。俺をおぶさりながら、ブンブンと両腕を振り回す。


 しかし、俺は(ねば)っこいんだよ!


 ガスッ 

 ガスッ

 ガスッ


 俺はゲルドンの頭に、何度も肘を叩き落した。


「ぐっ!」


 打ちどころが悪かったのか、ゲルドンは、(くず)れ落ちた!


 俺とゲルドンはうつ伏せ状態だ。俺はゲルドンの背中に乗っている状態になった。

 

背面馬乗り(バックマウント)! よし、やったわね!」


 ミランダ先生が歓声を上げた。背面馬乗り(バックマウント)は、馬乗り状態と同様に、有利な体勢だ!

 ゲルドンはあわてて、俺のチョークスリーパーを封じようと、首をすくめる。


 だが、俺は後ろから、ゲルドンの側頭部や(ほお)にパンチを喰らわした。


 ガスッ

 ゴスッ

 ゲスッ


 ゲルドンの顔が浮き上がる……そこを!


 俺の右腕は蛇のようだった。素早く、ゲルドンの首に巻き付ける!

 チョークスリーパー! 裸締(はだかじ)め……かかった……ついに!


 ぐぐぐぐ……。


「ち、ちくしょう! ゼントォォ! ……お前、何てやつだあああ!」


 ゲルドンは頸動脈(けいどうみゃく)を締められながら、声を上げていた。

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