表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/56

第14話 ゼントVS不良少年レジラー、ストリートファイト!

 俺は、不良少年のデリックを、掌底(しょうてい)(手の平の下部を使った打撃技)で倒した。しかし、今度はデリックの仲間のレジラーが、俺に組みついてきた。


「うおらああっ!」


 レジラーは組み技の力が強い! そうか、組み技系の武闘家(ぶとうか)か。俺を強引に倒してきた!


 俺は地面に倒され、レジラーは俺に馬乗りになった。


「どうだあっ」


 レジラーは声を上げる。しかし、俺はまったく動じなかった。レジラーの馬乗りはバランスが悪い。


 俺は上半身に力を込める。せーの……勢いをつけて……!


 ゴロリ──回転!


「あっ!」

「すげえ」


 野次馬たちが騒いだ。


 俺とレジラーは体勢が逆転した──! 今度は俺が馬乗りになったのだ。


 うおおおっ……。大騒ぎする野次馬たち。


「どうなってんだ?」

「回転したぞ」

「レジラーの、馬乗り状態のバランスが悪かったんだ」


 今、俺がレジラーの胴に、馬乗り状態になっている。逆転だ!


「そ、そんなバカな!」


 レジラーは目を丸くし、あわてて両腕を使い、暴れた。すぐに、俺の馬乗りから逃げ出した。まるで小動物のような動きだ。素早い。でも、顔が真っ青だ。


「お、おい! お前──何モンだ?」


 レジラーは立ち上がって、身構えながら俺に聞いた。


「俺は──ゼントだ!」

「ゼント──? くそ、何なんだよ。わけわからねえ。俺は組み技系トーナメントの学生大会五位だぞ」


 レジラーは(すき)を見つけたのか、また組みついてくる。しかし、俺はその組みつきの弱点を、なぜか──知っていた。


 ここだ!


 レジラーが組みついてきた瞬間、ヤツの頭の横──側頭部を両手で押す!

 するとレジラーはバランスを崩し、地面に片ひざをついた。


「ぐ、おおおっ?」


 レジラーは立ち上がり、もう一度、組みついてくる。まるで猛牛だ! しかし俺は、再びヤツの頭の横──側頭部を両手で押して、ヤツを突き放した。


「くっ」


 レジラーは両ひざに手をやり、息をついて、驚いたようにオレを見た。


「お、お前……」


 レジラーは言った。


「組みつきタックルの『切り方』も知ってるのか? お、お前、本当に引きこもりか?」


 レジラーは驚きの顔だ。


「だが、今度は本気出すぜ!」


 レジラーは思い切り突進してきた。また組みつきか? いや違う、今度は体勢が低い! 俺の両ひざをねらった、両足タックルだ!


 だが、俺はそれも読んでいた。


 ガツン


 俺は右ひざを出していた。その右ひざは──レジラーの顔に直撃した。右ひざ蹴りだ!


「ぐ、ご」


 レジラーはよろける。だが、彼も根性があるようだ。フラフラの状態で、立ち上がる。


「く、おのおおおっ」


 レジラーは俺に殴りかかってきた。


 ここだ!


 俺は一歩踏み出し、レジラーが接近してくる瞬間──。


 ガスウウッ


 彼のアゴに、右ストレートパンチ──カウンターパンチを叩き込んでいた。

 しかし、レジラーは倒れない! タフだ!

 

 だが──。勝機は見えた!


 ガゴッ……


 俺の大振りの左掌底(ひだりしょうてい)! 手の平の下部を使った打撃技だ!


 俺は彼の左頬(ひだりほお)に、左フック掌底(しょうてい)を叩き込んだ。


「あ、が……な、なん……お前……」


 彼は倒れる。


「うおおおっ!」

「すげえ……!」

「完璧……!」


 野次馬から歓声が上がる。


 俺は自分で驚いていた。どうして俺は、こんな動きができるんだ? レジラーは素人ではなかった。組み技系の武闘家(ぶとうか)だった!


 しかし、俺はそれを倒してのけたのだ……。


「ひいい!」


 声を上げたのは、レジラーとの闘いを呆然と見ていた、デリックだった。


「は、はやく帰ろうぜ!」


 デリックはレジラーの肩をかし、よろよろと歩いていった。


「お、おい。病院行けよ」


 俺はそう言ったが、「うるせえ!」とデリックは声を上げた。レジラーもフラフラしながら、デリックの肩を借りながら、向こうの村の入口の方に歩いていった。


「あ、ありがとうございます!」


 声を上げたのは、デリックにからまれたブルビーノ親父だった。


「あ、あなたのお名前は?」

「お、俺? 俺は、あー……ゼントだけど。ゼント・ラージェント」

「は? ゼント……どこかで聞いたような……?」


 ブルビーノ親父も、周囲の野次馬も、不思議そうな顔をして俺を見ていた。やがて──「もしかして……あのゼントか?」そう声が上がり始めた。


 そう、村人たちは、二十年の時を越えて、俺のことを思い出し始めていた。


☆作者からのお知らせ


 このお話を読んで、「面白かった!」と思った方は、下の☆☆☆☆☆から、応援をしていただければうれしいです。


「面白かった」と思った方は☆を5つ


「まあ良かった」と思った方は☆を3つ


 つけていただければ、とてもありがたいです。


 また、ブックマークもいただけると、感謝の気持ちでいっぱいになります。


 これからも応援、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ