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なんじゃこりゃ

 16歳のある日、俺は死んだ。高校からの帰り道、トラックに撥ねられたのだ。せめて彼女くらい作っておきたかった。


…ようこそ、天界へ タナカユウマさん。あなたはつい先ほど死んだのです。…

目が覚めると、俺はよくわからない場所に居て、目の前には天使?みたいな女の子が立っていた。

 「あの、あんたは?」

 俺は恐る恐る尋ねてみる。

…私は死んだ人間が次の世界に転生する仕事をしている天使です。…

 やっぱり天使か。それよりも今もっと大事なことが聞こえたような…?

 「転生? 転生ってことは俺ひょっとしてゲームみたいな世界に行けちゃうんですか?」

…はい。あなたは勇者となり、今から行く世界で魔王を倒すのです。…

 キタコレ!小説にあるような話が現実にもあるんだ〜!生きててよかった!いやもう死んでるか。

…あなたには転生特典として、最強チート魔法の潜在能力が与えられます。…

 なるほど。戦うほどに成長してくやつか。悪くない。でも少し気になる。

 「なんで最初から強い力を与えてくれるんですか?」

…あなたが前世でひとりぼっちの寂しい高校生活を送っていたからです。…

 聞かなきゃよかった。俺が渋い顔をしていると天使が一冊の本を差し出してきた。

…こちらがこの後の世界のシナリオとなります。…

 おお!シナリオまでくれるのか!しかも読んでみたら途中で超絶美少女のメインヒロインと恋に落ちる話らしい。実にいい!

…シナリオは読まれましたか?それでは異世界へ出発いたします。良き旅を…

 「はい!ありがとうございます!!」

 俺は上機嫌で出発した。サイコーだ。

 

 次に目を覚ますと、俺はギルドの前に立っていた。シナリオによると俺はここでヒロインの祖父からオークに捕まった娘を助けるように頼まれるらしい。

 しばらくすると老人が近寄ってきた。

 「旅のお方。もしや勇者様ではございませんか。」

 キタ!シナリオ通り!

 「孫娘が村外れの森に住んでいるオーク供に連れ去られてしまったのです。報酬はいくらでも出しますので助けて下さい。」

 王道の流れだ。俺はすぐさま快諾し、オークの住む森へと向かう。シナリオではこの後ヒロインと接触することで俺のチート能力が目覚めるらしい。


 森に着いた。オークの住処はシナリオに書いてあるので迷わずたどり着く。中で何やら話声が聞こえてくる。きっとヒロインが苦しめられているんだろう。どうせならかっこよく登場してやろう。

 「君たち。そこまでだ。これ以上はこの闇の騎士、ダークマターが許さない!」

 ダークマターが何かは知らないが、とりあえずかっこよさそうだからコードネームにした。しかし、オーク達はこっちをみてヒソヒソ話し合っている。

 「どうすんだ? 勇者さん来ちまったぞ。」

 「どうしようもねぇだろ。」

 何やらオーク達は困っているようだ。

 「あの、どしたんすか?」

 俺は聞いてみた。オークの長的なのが前に出て答えた。

 「じ、実はですねィ、大変申し訳ねェんですがヒロイン役がギャラに見合わないって言って参加拒否ってるんですわィ。」

 衝撃的な一言。どうすんだ。

 「勇者さんが来ちまうんで代役を立てようとしたんすけど最初の村は他の住民がモブ用しか居なくて立てらんねェんですわ。」

 なんだよこれ…

 「どうすんだよ!俺の楽しい異世界生活は!?というかそもそもヒロインと接触しないと魔法使えないんだけど!?どうしてくれんだクソやろう!!」

 するとそこに先ほどまで話していた天使が現れた。

…タナカユウマさん。大変遺憾ながらあなたを転生させる際に何か手違いがあったようです。原因については現在鋭意調査中でありまして、再発防止に努めます。…

 そう言うと天使はまたすぐ消えていった。

 「俺の国のトップみてぇなこと言ってんじゃねえぞ!!!おい天使!!責任取りやがれ!!」

 ちくしょう!なんなんだよ…俺の夢見た異世界生活は?

 俺が喚いていると横からオークの長が話しかけてきた。

 「勇者さん。ホント申し訳ねェです。あの代わりといっちゃなんですがわしら100人を連れて行ったらいかがですかィ。精一杯女の子しますんでハーレム生活ですぜ。」

 「い・ら・ね・え・よ!!」

 最悪のシナリオを俺は全力で拒否した。どうするんだ!?これから…

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