学園は二学期2
※シアを間に挟んで会話しております。
学園祭が終わり、いつもの日常がもどってきた。
《円舞》
シアは舞う。
ずっと振り続けてきた槍。シアの命を支えてきたもので、それは負けていいものではなかった。
けれど負けた。
自分の得意な間合いで、武器を持たない無手を相手にして負けたのだ。
それはシアの今までを否定することになる。自信が、ゆらいでしまう。
「・・・強く、なりたい」
・・・・・・・・・・・・。
オレにできることはない・・・。
一歩づつ、少しづつでいい。
シアはまだ成長途上なのだから。
というわけで、用意しました。
「・・・・・・なんで、ボクが」
呼び出されたイオ君はグラスマイヤー屋敷の応接室に通されていた。
「・・・それで、強くなるための方策が知りたい、とのことですが、具体的にはどういったことが知りたいのですか?」
用意されたお茶とお菓子をつまみながら、シアはヒュリアリアとの戦闘であったことを話した。
まず、前提としてシアの持つ武器が意志と命を持つ武器生命体であることを説明した。
「・・・・・・目は口ほどにものを言うといいますからね。わかってはいました。本当に、感情の豊富な武器ですよね」
申し訳ない。
バレバレでしたか・・・
「では、そのうえでボクの考えを答えましょう」
イオ君はお茶を一口含んでから話し始めた。
「では、まずシアが負けた、とのことですが、それはスキルの差でしょう。ヒュリアリアのステータスは入学時に確認しています。あれから半年は立ちますが、大きく変わるものでもありません。よってスキルです」
ステータスはなんとなく覚えているが、持っていたスキルはあまり覚えていない。
「負けていたのは筋力・耐久。あとは速度もでしょうかね。ここまで言えばボクの言いたいことがわかりますね」
わかる。内発系の魔術が足りていないんだ。
「でしょうね。ヒュリアリアは火魔術《燃力》と土魔術《硬力》を使っているのでしょうね。けれどそれだけじゃないはずです。おそらく、筋力か耐久を上昇させる”固有スキル”を持っているかもしれません」
固有スキルか。
お嬢様の《頑強》も耐久を強化できるものだった。同じようなスキルを持っているのかもしれないわけだ。
魔術による強化と固有スキルによる強化。二つの強化を重ねていたのだ。
だから打ち合いで負けたのか。
「次にヒュリアリアの使ったスキルですね。《衝》、《絶衝》、《虚無弾》。《虚無弾》はいいですね。シアも持っている物です。《衝》は格闘術スキル。《絶衝》はその発展スキルですね。前者は普通の衝撃波をまとった攻撃ですが、後者は喰らった相手に短時間の硬直を与える効果があります。武器さんのスキルが使えなかったのはそのせいでしょう」
むう・・・
「しかし、わざわざ武器さんを狙ったということはヒュリアリアは武器さんを恐れているということでもあります。ボクはこの点に一つの可能性があると思います」
おぉ、なんかすごい。イオ君がすごく頼もしい!
「より強固な連携をすること。これが一つの答えです」
オレにはスキルが足りない。
今6つ、あと一つしか覚えることができない。
しかしそれが埋まってからが本当のスタートだ。よりシアと連携を取れるように、スキルを入れ替え、最適化していかなくてはいけない。
「二つ目はさっきも言ったように筋力と耐久を上げる魔術です。耐久は必要ないかと思うかもしれませんが、運動の持続力にも関係してきます。ないよりあった方がいいでしょうね。あとはできれば水魔術《治力》もほしい。それがあれば痛みで集中力を欠く時間が短縮されます」
そうだな。《燃力》と《治力》はほしい。いや、取る必要がある。
「そして最後は・・・単純に人との戦闘経験の差でしょうね」
・・・・・・まぁね。
ゲームであればスキルを途切れないように撃つことが一番ダメージを出すことだった。けれど対人では逆に自分を不利にしかねない行為だったわけだ。
どうやって対人の訓練を積むかが課題と言うわけか・・・。
「単純に、教師を雇うのがいいですね。人に教え慣れている。これが一番手っ取り早いです。あとは少し早いかもしれませんが、騎士や兵士の候補生として兵士団などに参加することもいいですね。これはお金がない平民や準男爵なんかがとる方法です」
なるほど。ダンジョンにもぐっていれば強くなれるかと思っていたが、そんなことはなかったのか。
独自の鍛錬、ダンジョンでの命のやり取り、装備の強化、スキルの発掘。そして対人戦の経験。
これを同じように伸ばしていかなければいけなかったわけだ。
「いえ、まぁ、人と戦う気が無ければいらない部分ではありますから。シアは女の子ですからね。今のままでも良かったと思います」
ヒュリアリアと戦うことがなければな。
けれどシアが誰かよりも強くなりたいと思うのなら、埋めなければいけない部分なんだ。
・・・・・・シア、どうしたい?
シアの心はすでに決まっていた。
答えは眼を見れば聞かなくてもわかる。
「・・・・・・強く、なる。」
おう。




