調査隊3
一つ目のダンジョンは6日かかった。
魔道具は7つ。鑑定はしないまま兵士に渡してしまったのでどんな効果があったのかはわからないが。
金貨も渡してしまった。
次のダンジョンは宮殿と城下町だった。
ダンジョンの1/3にきらびやかな屋敷がおかれ、余りを町がしめている形だ。
兵士たちの言うことでは町は制圧できているが、屋敷がまだだという。あの屋敷、なんとボスが住まうのだとか。
ボスは屋敷から出てこないから、まずは町から調査してくれということだった。
調査は順調だった。3日目。
町の調査は終わったが、ボスの討伐は進んでいなかった。ボスのもとに到達できないのだ。
おそらくは隠し部屋だろう。
それを探すために、メルビレアとシアが制圧部隊に呼びだされていた。
《罠感知》そして《探索眼》
この二つのスキルに隠された扉を探し出せることを期待して。
パッチルの知識によればボスを倒さずとも魔素をからっぽにしてしまえばダンジョンもろともボスを倒すことはできるらしい。
しかしボス個体は強力な魔素を持っている。そしてダンジョンと密接な関係があり、ダンジョンを涸らそうというものがあればダンジョン内の魔物を率いて不埒物を倒しにくるという。
ならそれで向こうから来てもらえばいいじゃないかと思うのだが、それは嫌なのだという。
それだと建物が破壊されるおそれがあるらしい。ダンジョンはダンジョンを修理することよりも、魔素を奪われることのほうが圧倒的に不快らしく、ダンジョンを破壊してでも、一直線にボスを不審者の下に向かわせるのだとか。
破壊されるより何日か使ってでも隠し部屋を探した方が後々楽だということだ。
まぁ、部屋が見つからなければ手段を選んでいられなくなる。
その時は魔素吸収部隊が危険にさらされることになるな。
屋敷の中は広く、そして暗かった。
・・・まだ不穏な空気が流れている。確かにこれはボスがいる雰囲気だ。
兵士たちの鎧の音が廊下に響いていく。
けれど隠し部屋はまだ見つからない。
やはり罠感知と探索眼では隠し部屋を見つけることはできないか。隠し部屋を探すスキルじゃないからなぁ・・・。
お、また石像があった。今度はライオンか・・・こういうの、何かありそうだけども、聞いたところだともう調べ済みってことだしな。
ははは
・・・・・・
これ、完全にギミックありのダンジョンじゃないか?
今までのダンジョンはボスがいたり、いなかったり、ボスを倒してもお宝があったり、なかったりでボスを倒す理由もうまみも少なかった。
だから冒険者はボス討伐を目的とせず、ギミックをきちんと解こうという者もいなかった。
今回初めてこのダンジョンの完全攻略を目指したがために、ボスを探すという追加要素が生じたわけで・・・
シア、ちょっとパッチル先生に意見を聞こう。あと、建造物の知識も必要かも
「ん。わかった」
シアは兵士に一言ことわりを入れると、相手の返事を聞かずに屋敷の出口へと走り出した。
花瓶、鎧、鎧、絵画、石像、鎧、鎧、花瓶、階段・・・
走りながらギミックになりそうなものを記憶していく。
屋敷の一階部分、左半分ほどを駆け抜け、入り口から外に出る。
調査隊は町の中央広場で食事をしているところだった。
「おお、シア君ではないか。そんなに急いでどうしたんじゃ?」
「パッチル、先生。聞きたいことがある」
シアはパッチルに屋敷がギミックではないかということと、それまでに見つけた配置物のことを教えた。
「・・・・・・確かに、一部屋の中で完結していないギミックというものは存在する。滝や風車、落とし穴など、大掛かりな象徴物があるときはそういったギミックがあることもあるのじゃ」
なら屋敷はどうだ?屋敷自体が象徴物とやらなら、屋敷のあちこちに置かれた石像なんかが一つのギミックとして連動してることもあるんじゃないか?
「ないとは言えんのじゃ。よし、わしと一緒に解き明かしにいこうぞ」
いやいやいや。危ないから。
「屋敷には私が行く。解くのを、お願い」
「なんじゃと・・・ダンジョンがそこにあるというに、解くことを人任せにしろというのかのっ」
「はやく。」
勢いよく立ち上がったパッチルをシアは容赦なく座らせた。
「はやく。」
「ぬ、ぐぐ・・・わかった。新しき生徒を信じて任せよう。見てきたものはあとできちっと教えるのじゃよ」
「ん。」




