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邪武器の娘  作者: ツインシザー
人間領
82/222

学園は夏休み3


 黒いドレスのシアはいつもより美しさが際立っていた。肩には白いファーが、髪には金のアクセサリーがあしらわれている。

 うむ。美少女である。

 お嬢様は髪より濃い目のオレンジのドレスだ。黄色と黒のトラ縞のファーを肩から右腕に流してかけてあり、派手さが増していた。

 うむ。美人である。

 アンナはメイド服だ。いつものメイド服の上に短い黒のハーフマントを付けて、ちょっとおしゃれである。

 かわいいかわいい。

「ふふん、当然ですね」

「ん。」

「あ、あの、わたしもいっしょでいいのでしょうか」

 アンナが少し不安そうにしている。


「かまいません。魔族のパーティーなんてそれほどかたっ苦しいことはありません。配下は主人の身分を笠に着て当然なのですよっ」

 強いこと、そして強い者の庇護を受けていることは、魔族社会では”力”である。

 アンナがどれほど弱かろうと、今日ここにはタウロン家の庇護を受けてきていることになっているのだから、招待者に相応の待遇を求めていいのである。

 堂々としていろってことだ。

「うぅ、がんばりますっ」


 会場は広く、そして多くの魔族たちであふれていた。

 着飾っている者も多いが、着飾っていない、冒険者のような者も多い。というか、冒険者が多い。

 いったいブヒ蔵は何をやったんだよ

「・・・・・・あれです」

 会場の中央には壇が設けられ、そこに巨大な角を持った生き物の死骸が置かれていた。

 これは・・・トリケラトプス?

「竜です。地竜”五角甲竜ペンタケラトプス”。人里まで降りてきた暴れ竜を退治した武勇を祝っての祝賀会なのよ」

 まじか。これが竜。

 ファンタジーのドラゴンのイメージだったが、”竜”種は恐竜のことか。ということはドラゴンが”龍”種ってことになるのかな。


「モールテイシアァ、来てくれたのか。どうブヒ?、この竜、みごとな巨体の竜だろう。これを倒したのがオレとオレの配下ブヒッ」

 配下の力は主の力。竜を倒したとなればそれは立派な”力”である。

「なんならおまえもオレ様の配下にしてやってもいいブヒよっ。おまえの配下もろとも世話してやるブヒッ」

 ブヒ蔵の視線がお嬢様の胸元やシアに向けられる。

 よし、殺しておこう。

 それが後々のためである

「・・・・・・本日はお招きいただきありがとうございます。武勇をたてられたそうで、本日は父であるタウロン男爵の代わりとして祝いの席に参加させていただきます」

 お嬢様がおめでとうございます、と賛辞をのべるとブヒ蔵もありがとうございますブヒ、と受け取る。

「じゃあ、用事も終わったことですし帰ります」

「まてまてまつブヒッ、来たばっかで何を言うブヒッ」

 そうだよ。ご飯は食べて行かなきゃ。

 あと一応シアのパーティー経験値を積む目的もあったろう。

「・・・・・・一応・・・」

「仕方ないわね。もうちょっといます」

 お嬢様はため息をつき、会場の中へと歩いてゆく。シアとアンナはそれについていく形で祝賀会に加わるのだった。


 冒険者の多さはブヒ蔵の教育方針の賜物と言える。

 配下の育成や新しい配下の勧誘を依頼やダンジョン攻略をしながら行っているからだと言う。

 ブヒ蔵の配下は今かなりの人数になっているらしい。

 数は力である。その数と育成方針で鍛えられた戦力によって、今回の地竜討伐も成し遂げられたということだ。

 数・・・・・・もしかするとブヒ蔵の固有スキルはパーティー効果のあるスキルなのかもしれない。

 イオ君の《小奇跡》と同じように、パーティーを組んでいればメンバー全員に効果が表れる固有スキルなのかも。

 だから今まで人数を増やそうと行動していたのかもしれない。


 中では竜退治がどれだけ困難なことか、そしてブヒ蔵がどれだけすごいことをやったのかという話でにぎわっていた。

 冒険者は竜の怖さを知っている者も多く、話し手にはことかかなかった。

 ・・・ブヒ蔵のくせに、すごいにはすごいことをやってのけたらしい。ブヒ蔵のくせに。

 後日この地方を取り仕切る魔将の方からブヒ蔵に竜を倒したことへの<称号>が送られるらしい。

 いいなー、シアにもほしいなぁ。

 ただ倒せばいいわけでは無いらしいので困りものである。暴れ竜が出ないともらえない<称号>ということだ。

 いつかめぐり会いたいものだ。


 3人はブヒ蔵への賞賛を聞かされながら会場の食事をつまみまくった。

「これ、おいしいです」

「これも。」

「そうね、レシピ持って帰れば作ってもらえるかしら」

 もぐもぐ

「これは、ちょっとしょっぱい」

「そうね・・・」

「こっちのにのせるとちょうどいい感じですよっ」

 もぐもぐもぐもぐ


 お腹いっぱいになりデザートも堪能した後、会場を辞することにした。

「いったい何しに来たブヒ・・・」という主催者側の声を背に、3人は満足そうに帰って行った。

 シア、どうだった?

「・・・・・・楽しかった」

 そうか。良かった。

 こうしてオレたちは”シアの経験値”と言う目的を達したのだった。



 後日知ることになる。

 ブヒ蔵の叙勲式に賊が紛れ込んでおり、魔将秘蔵の宝が奪われたということ。

 賊の主だったブヒ蔵が瀕死の重傷をおい、病院に入院中だということを。

 誰彼構わず配下にするということは、こういった事態を招きかねないことなのだ。

 やっぱり配下はきちんと選んで契約したほうがいいねと思う事件だった。


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