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邪武器の娘  作者: ツインシザー
人間領
75/222

学園7 特殊輝石


 しかし、そんな単純ではなかった。


 冒険者施設で宝石の採れるダンジョンを聞いたところ、場所は教えてもらえたが、必ず二人以上のパーティーで潜るように、と言われてしまった。

 採掘中に魔物に襲われる冒険者が多く、それを防ぐために必ずかーなーらーずっ二人以上で、と念をおされてしまった。


 ぬー・・・

 どっかのパーティーに入るか?

 その場合報酬は人数割であればいいが、すでにできているパーティーに入れてもらうなら新参者は減らされる場合が多い。

 うーん・・・新しくパーティーを立ち上げるか。

 そうすれば報酬の取り決めは自分が主導でできる。


 というわけで、募集をはじめたのだが・・・・・・学園の生徒だということがわかると他の冒険者から断られるのだ。

 まぁ・・・・・・貴族といっしょのパーティーとなるとめんどくさいことが多いのだろう。というか、先輩方はいったい何をやったのだか。

 貴族は貴族同士でパーティーを組むのが普通らしい。

 と、いうわけで



「用意した。」

「・・・・・・何がですか」

 不機嫌そうなイオ君である。

 再び休日。せっかくの休みの日なのに、シアに呼び出され、冒険に行くからついて来いと準備させられ連れてこられたのである。

 力が欲しいか?ならばついてこい

 みたいな勧誘でわりとあっさり来てくれた期待の新人ルーキーだ。


 獲物は剣。左手に小盾を持った、普通の兵士装備である。

 スキルバランスもいい。以前見たスキルのほかに、固有スキルを一つ持っている。

 《小奇跡》 低確率ですごいことが起こるらしい。早い話がクリティカルヒット(小)ということだ。

 種族”御子”は、あくまで低確率でだが、この手の世界のルールの一部に抵触する固有スキルが付きやすい種族なのだとか。例としては即死効果や武器破壊能力を持った同胞もいるらしい。

 武器破壊。おそろしい言葉だ・・・。

 だが仲間にいるならば心強い。なんとこのスキル《小奇跡》はパーティー効果のスキルらしいのだ。

 いぇーい。クリティカルげっとだぜー


 早速イオ君を連れてダンジョン探索を始める。

「・・・たった二人でその宝石とやらを採掘するのですか?。もうちょっと考えた方が良いのでは」

 イオ君がアホの子を見る目でシアを見ていた。

 そうなるのもしかたない。そもそもスコップもツルハシも持ってきていない。何で掘るのー?と思われても仕方ない。


 ふふん。

 シア、やってくれ。

「ん。」

 シアはダンジョンの壁に手を当てて魔術を発動させる。

「・・・・・・《虚無弾アーマーン》」

 手の先に50㎝大の漆黒の虚無空間が現れる。そしてその空間は壁の奥へと勝手にもぐりこんで行く。

 手の置く位置を少しずらし、次の《虚無弾》を撃つ。撃つ。次々と撃つ。

 壁の一角に大量の穴ができた。

 穴と穴の間の削り残しを手で壊しながら、目当てのものを探す。虚無弾は10メートルくらいは掘り進んだろうか。なかなかの性能である。


 んー・・・ないなぁ

 次はもうちょっと《虚無弾》の効果を弱めてみるか。

 喪失の効果は付与の効果がかかった宝石には効きにくい。すなわち、付与効果があればそれは無属性耐性があるのと同義ではないか。

 そう考えたのだ。


「・・・・・・すごいですね・・・。こんな方法があるとは・・・」

 イオ君が目を丸くしていた。

「まだ、実験中」

 仮定の段階である。どの程度ならどれくらいの宝石が手に入るのか、ゆっくりためしていこうと思っている。

 まぁ、MP回復待ちなのでその間は普通にダンジョンを探索してゆく。

 イオ君はなかなかの戦士だった。攻守ともに堅実な戦いをする。シアにとっては盾としてかなり頼もしいパーティーメンバーだった。


 大体10分の探索で1回壁堀りをする。

 そんな行動を5回したころ、一個のこぶし大の宝石が虚無に飲まれずに落ちていた。

 宝石まるごと落ちているのか。石の部分は虚無に飲まれてしまうらしい。見つけやすくていいなこれ。

 そうやって石壁だけを削り取れる魔術の強度を調整しながら4時間ほどダンジョンを探索した。

 大小あわせて27個。

 それが今日拾った宝石の数である。



 イオ君を連れてセシル君のお店にやってきた。

「・・・・・・・・・・・・ええと、これを、シア様が掘り出した、と?」

「ん。」

「・・・・・・いったい何日かかったのですか?」

「4時間」

「・・・・・・・・・・・・」

 固まってしまった。


 無属性の中級魔術が使えればそれほど異常なことでもないだろう。

 シアのMP回復速度が速いといっても50%増えるだけだ。1,5倍。普通の回復速度でも6時間あればできる量である。

 ・・・いったいどれだけ無属性は不人気なのかと。


「ロークレイン様。彼女の言うことは本当です。無属性中級魔術《虚無弾アーマーン》。初めて拝見しましたが、穴を掘ることにかけてはこれほど適した魔術はないというほどの魔術でした」

 イオ君、それはほめているのか?

 実際《虚無弾》は撃つと弾速がゆっくりなのでかわされやすい。対人戦闘では超近距離くらいでしか相手に当てられなさそうな魔術だ。

 だが、相手が動かない壁であれば効果絶大!ごりごりと壁を削ってくれるのである!

 ・・・・・・言ってて自分でもほめてない気がしてきた。


「僕のことはセシルで構いません。しかし、無属性魔術ですか・・・人族領域ではほとんど拝見することのない属性ですね・・・」

 そうなのか。

「こちらも、イオで構いません。・・・それにしても、同感です。”御子”では絶対に使えない属性ですね」

 ふむ。

 種族によって得意不得意な属性があるのか。まぁ確かに水生の魔物が火属性得意と言われてもピンとこない。

 だからと言って無属性が魔族に多いかと言うとそうでもないらしい。無属性魔術と治癒魔術は使える者がかなり少ないという話だ。

 いろいろあるんだなぁ。


「鑑定、お願い」

「あ、はい、お待ちください」

 シアの見立てでは良さげなのは2個だった。

「これと、これ、特殊輝石でございます」

 セシル君が選んだのもそれである。

「こちらの石はアイオライト。進むべき道を教えてくれる石と言われています。付与されている効果は《樹生》。木を育てる効果があります。こちらの石はヘマタイト。生への渇望を助ける石と言われています。付与されている効果は《衝撃耐性》。衝撃系の攻撃を軽減してくれる効果があります」

「・・・・・・衝撃耐性の、効果量は?」

「そこまではわかりません」

 そっかー。


 衝撃系の攻撃がなんだって感じではあるが、効果量が多ければ使ってもいいと思うんだけど・・・。

 うーん。

 どうする?

「ん・・・試す」

「試しますか?」

 シアはそう言ってヘマタイトをイオ君に向けて振った。

「・・・僕に、あなたを殴れということですか」

「ん。外で試そう」

 イオ君が信じられない、というふうに頭を振っていた。


「あなたという人は・・・学園の連中が知ったらまた好き勝手な陰口を言われますよ。あと、僕のことも考えてください。往来で女性を殴った男性として通報されます」

 確かにそうだ。

 うーん・・・でもちょうどよく格闘術《衝》とかいう衝撃系っぽいスキルを持ったイオ君がいるんだよなぁ。どこかで試せないものか。

「今すぐに買い取りや加工を、ということではないのでしょう?。なら、しばらく僕にあずけてもらっていいですか?。同門の仲間と効果のほどを調べてみますから」

 おお、頼もしい言葉だ。

「いいの?」

「いいですよ。そもそもこの半分は僕の報酬になるんですよね」

「ん。」

 探索で得た物は人数割でと約束していた。なのでイオ君も半分もらう権利がある。

 こうしてイオ君も巻き込まれていくのだった。


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