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邪武器の娘  作者: ツインシザー
人間領
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学園2


 学園の授業には礼儀作法や聖典の読解、音楽、芸術鑑賞なんてのもある。

 どれもシアの苦手な授業である。

 そして似たようなお貴族様のための授業でありながら、シアがそれほど不得意ではないにもかかわらず、今一番頭を抱えさせている授業が一つだけあった。


 ―――宮廷舞踊


 ”ダンス”である。

 ダンスの授業は二人一組をいくども繰り返すことで行われる。いわゆる社交ダンスだ。

 なので、しょっぱなから色々と突出していたシアは、他の生徒から明らかに距離を置かれていた。

 踊る相手がいない。

 ずっといない。

 もうかれこれ3週間にもなるのに、いまだに壁の花と化している。


 まぁ、暇というわけでもなく、やることが無い時は内発の魔術でバフ→バフ消去→バフ→バフ消去・・・と繰り返し、魔術の熟練度を稼いでいる。

 それも最近は飽きてきたのかダンスのステップを練習しているように見せかけて回避術《瞬歩》の練習をしていたりする。

 それも結局は時間つぶしで身が入っているわけでもない。

 実に暇そうだった。


 オレはと言うと、いろいろ見ていてわかったことがある。

 シアを気にしている生徒は少なくない。

 まず”男爵位”の生徒達だ。

 学園の最下位階級の彼らは、できれば上位階級の人間とお近づきになりたい。けれどすでに上位階級は上位階級でグループを作っており、そこに入っていける可能性はほぼほぼ皆無である。

 そういった生徒が狙うのがシアだ。子爵家の令嬢でありながら、一人、ボッチを続ける少女。声をかけて親しくなるには絶好のカモネギである。

 次に子爵と伯爵の、グラスマイヤー家と領土を隣としたり、グラスマイヤー家を家臣としていたり、縁の深い連中の子供達。

 親の仕事の関係で関らざるをえない連中だ。

 さっさと話しかけていればよかったものを、今日こんにちまで話しかけなかったせいでタイミングを失ってしまった連中。ずっとこちらから話しかけて来るのを待っていたのだろう。すまんがシアはそんなことまったく考えもしてなかった。

 それから単純に男どもだ。

 シアの魅力がわかっている連中。ゲリウスのおっさんほどではないが、明らかに恋をしている目を向けてくる。

 パパ許さないから!と言いたいが、それでも今の状況を踏み越えてくるなら、ちょっとは許してやるかもしれなくもない。

 そのとき、スッ・・・とシアの目の前に一つの影が立った。

 薄黄色の髪を持つ、細目の美少年だった。


「こんにちはシア・グラスマイヤー様。あなたのステップがスキルの練習に使われるだけではかわいそうでなりません。もしステップの練習相手が欲しいようでしたら、私がお手伝いさせていただきますが、いかがでしょうか?」

 スキル練習がばれてた。

 くっ、誘い方もエレガントだし、エレガント力が高いぞ!気を付けろシアっ

「・・・・・・」

 シアは戸惑いつつ、差し出された手と、少年を交互に見る。


 ・・・・・・行け、シア。

 彼の勇気を無下にするな

 行け

「・・・ん。」


「ああ~ら、ロークレイン卿の御子息様は先にダンスの約束をした女性を待たせて、そんな混ざりものの娘と踊られるというのかしら~。気の長い私でも心穏やかでは、いられませんかもしれませんわねぇ」

 シアが彼の手を取ろうとした瞬間、遠くで男性陣に囲まれていたシエストリーネ第二王女がそう言った。

 会場の視線がシエストリーネとシア、そしてロークレイン卿の御子息とやらに集まる。

「・・・・・・そうですね、先に約束があったのを、忘れていました。申し訳ありません、シア・グラスマイヤー様。また機会がありましたら、お誘いしてもよろしいでしょうか」

「・・・・・・えぇ。」

 差し出された手はシアの手を取ることなく、離れて行った。


 あのおんなーっ

 男性陣からの誘いをほとんど断っていたのは知っている。もう何日も前のことだ。それを、シアの邪魔をするために今更持ち出し、待っていたんだとうそぶいた。

 ダンスの相手に王女を待たせているとなればシアと踊るわけにもいかない。なにがしの少年は貴族の体面もあって王女のご機嫌を取りに行かなければならなくなってしまった。

 ひどい女がいたもんだ。

「・・・気にしない」

 ならいいが・・・


 シアを気にしている最後の生徒。

 それが彼女、シエストリーネ・グラッテンだ。

 彼女が目を光らせているせいで、シアはこうして孤立しているのだ。

 彼女はシアが嫌いらしかった。


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