洞窟3
シアは敵なしだった。
あの巨大な芋虫でもいれば違っただろうが、ここには蟲とスライムくらいしかいない。
洞窟の奥に行けば違うかもしれないがこのあたりは危険な生き物は存在しない。
ゆえに、一撃だった。
パチーンと殴ればどれも倒せてしまうのだ。
だからか、生き物に対してあまり警戒心もない。
ハイハイハイ パチーン ヒョイ パク
こんな感じだ。
いいけどさ。
見ていて不安になる。いつか痛い目をみるんじゃないかとヒヤヒヤする。
そんなオレの思いとは裏腹に、シアは奔放に育っていた。
そう、本当に突然アレが現れるまでは。
それは静かにあらわれた。
ぬらりとしたウロコ状の肌とギザギザの歯がならぶ長めの口、縦長の光彩をした目、体には簡素だが鎧を装備し、片手に槍を持った生物――
――リザードマン
ゲームで言うと第三エリアくらいに出てきて序盤ボスを倒してイケイケな主人公を痛い目に合わせる小憎たらしい敵だ。
それが3体。
おそらくダンジョン探索なのだろう。弱く光る鉱石――水晶を片手に辺りを警戒しながら現れた。
やばい。やばいやばいやばいやばいやばいやばい。
シアでは勝てない。
そもそも何で3体も。おそらくそんな遠くない距離にリザードマンの集落があるのだろう。警戒しながら探索しているのを見ると、来馴れた場所の様子見ではないっぽい。
こいつら丁寧に探索してやがる。
今はまだ岩影で隠れてるが、シアがみつかるのも時間の問題だろう。
「・・・・・・う?」
シアが気付いた。
カマドウマを分解する作業をやめて気配の方を振り返った。
目が輝く。
おい、やめろ。隠れるんだ!隠れるんだーっ!。
「だーうー♪」
全力ハイハイでリザードマンの目の前にいき、ペタンとしりもちをついて見上げる。
「「「・・・・・・・・・・・・」」」
「だー」
腕を振り回すが避けられる。そして頭を鷲掴みされ捕獲されてしまった。
何やら悩んでいるようだ。お?おお?いけるか?赤子のカワイさは種族を超えて通じるのか?。
だめっぽい。持っている槍をもちかえ、シアの目の前につきつける。
やめろ、逃げろ!シア、逃げろっ!
「うっ」
パシン。
シアが付きつけられた槍の先を横にはたく。
「・・・・・・」
またパシン。
「・・・・・・」
パシン
「・・・キューィ」
「ヒュオォ」
何だ?何か相談し始めたぞ。
そしてどうやらシアの右目を指さしている。あぁ、そうか、あの金色の眼はリザードマンの黄色の眼に似ているのか。
同種族の血が混じってるんじゃね?みたいな。
人間とリザードマンのハーフなんじゃね?みたいな。
育てられなくなった人間がおれっちの集落の近くに捨ててったんじゃね?みたいな。
おれっちに懐いてるしまじリザ-ドマンっぽくね?みたいな。
懐いてねーよ。
シアはオレのだ。わしが育てた(どやぁ)
適当なモノローグを合わせてみたが、どうやら連れて行くことに決めたらしい。
リザードマンとは種族の血を重んじるやつらだったか。
待て、シアだけ連れて行くな。つれてくならオレも拾っていけ。
オレの願いが届いたわけでもなく、丁寧な探索の結果、オレも発見されてしまった。
目が合う。
リザードマンと目が合った。
微妙に気味悪がられている気がする・・・。
イビルなウェポンだもの、しかたないね★
そうしてオレとシアは奴らの手荷物となったのだ。




