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邪武器の娘  作者: ツインシザー
人間領
66/222

取引


 人間の街。

 アルジャネーヤ中央都市。

 本来は雨季の多い地域で、現地民によって独特な雰囲気を醸し出しているところだったが、先の停戦時に国境線が押し上げられ、兵士が多く住み着くようになり今は兵士と現地民が入り乱れて暮らすようになった、なんともまとまりの悪い街である。


 シアは中央都市の南区。割と新しめに増設された兵士たちの施設が集まっている、そんな建物の一郭につれてこられた。

 取調室とか尋問室とか言われるところだ。

 シアは部屋の中央のイスに縛り付けられている。オレは部屋の片隅にシアの荷物といっしょに置かれていた。

 部屋に連れてこられてしばらくすると鎧を脱いだらしい兵士が3人入ってくる。

 二人が入り口のあたりに立ち、一人がシアの前の椅子に腰かける。


「・・・なぜ連れてこられたかわかっているな?」

 わかりません。

 魔王とかなんのことかさっぱりです。

 ただの一般人です。

「一般人」

「ふむ」

 正面の相手、灰色の顎髭が特徴的な、30代くらいのおっさんである。今はその顎に手を当ててどう話を始めたものか考えているようだった。

「お前には昔、兵士数人を殺した嫌疑がかかっている。わかるな?」

「さっぱり」

「あのとき、お前がオレの目の前で殺したのは、当時の隊長と副隊長だった」

 やべっ

 あーあーあー

 そういや一人だけシアに仕掛けてこなかったやつがいた。そいつをそのままにしてオレたちは集落から逃げたんだった。

 こいつ、あのとき残った一人か。


「その目、覚えているよ。オレは隊長が殺されているというのに、その目に魅了されてしまってな。殺したくないなどと考えてしまったんだ」

 そっかー。

 よし、魔王の件ではないらしい。

 子供の頃だったのでわかりませんでいこう!

「・・・子供だった」

「ん?、あぁ。子供だったな。成長すればいったいどんな美しい娘になるかと思っていたが。期待以上だったな」

 ちがう。微妙に話がずれてる!、シアがきちんと話さないからぁ!。

「ふふっ」

「ふむ。・・・まぁいい。お前の動向はずっと調べていた。魔族領の知り合いから今度、人間領にやってくるようだと聞いたのでな。魔獣使いに探させていたのだ」

 ・・・・・・知り合いねぇ。密偵とか工作員とかだろ。それに魔獣使いか。魔術の体系以外にも術の系譜はある。無機や不死なんかの特別な物や、召喚魔術と呼ばれるもの、シアのママがやっている錬金魔術もそうだ。魔獣使いはその召喚術や不死魔術にあたるやつかもしれない。

 そういえば捕まる前に鳥を見たなぁ・・・あれのせいか?。

 鳥め、オレたちを監視していたのか。

 人間領に入る前に見つかったのでなければいいが・・・見つかっていたらレイウッド達の隠れ家まで暴かれてしまう。


「娘。罪を償う気はあるか?」

「罪・・・?」

「兵士を殺したことだ。4人殺して逃げたのだ。このままであればお前は死刑になる」

 ・・・・・・死刑かよ。

 オレのいた世界であれば死刑はそうとうな重犯罪人にしかおこわれなかったが、この世界であればそんなものなのかもしれない。

 というか、

 人を殺した魔族め!ずばー

 と、即座に殺される可能性もあったのだ。条件次第で助けてくれるというのはありがたい話なのか・・・も?。

 ただなぁ・・・・・・あれはシアの家族を手にかけた結果なんだよなぁ・・・。


 彼らにはわからないかもしれないが、リザードマンは家族だったのだ。

 シアにとっては正当な報復行為である。

 まぁ殺し、殺され、こうして再び殺したことの因果が返ってきたのだ。どっかで断ち切らないといつまでも続いてしまう。

 シアが殺されたらお嬢様が報復に兵士を殺すかもしれない。そしたら人間族がお嬢様を殺しに兵隊を派遣するかもしれないしな。

 できればここいらで殺されない選択肢が欲しい。


 シアが我慢してくれたらなぁ・・・チラッ

 一時我慢してあとで逃げ出すってこともできるんだけどなぁ・・・チラッ

 死刑はやだしなぁ・・・チラチラッ


 シアから久々にうるさい物を見る目を向けられる。

「・・・・・・何をすれば、いいの?」

「通例であれば一人殺すごとに5年間の兵役奴隷か、1年間の性奴隷のどちらかだ」

 わーぉ。

 ファンタジーめ!ここにきてエロ展開があるだと!

 まぁ、刑罰といえばそういうのも罰になるか。奴隷や罪人に人権なんてなさそうだしなぁ。

 4人殺してるので兵役20年間か性のほう4年間か・・・。どっちも嫌だが。

 どっちかしかダメなら兵役の方でいこう。

 性奴隷になれとか言われたらここにいる全員殺して逃げよう。逃げれるかわからんが、それでも逃げよう。

 パパはそれだけは絶対に嫌です


「ながい・・・」

「兵役であれば、手柄によって減刑される。性奴であれば、貴族に気に入られて貴族の奴隷となれる道もある」

 手柄ってどれくらい減るのかな

「減刑を、教えて」

「魔王を倒せばすべて減刑される。もしくは・・・魔族と戦争状態だったころは魔将を討ち取れば30年の減刑があるな。あとは街を襲った古竜を倒して20年とか、そういえば川の氾濫をくい止めて5年の減刑なんかもあった」

 竜は無理だろ・・・でもそこそこの手柄をたてていけば半分くらいにはなりそうか?。うーん・・・

 まだ長いが・・・ほかに選択肢なんてないしなぁ・・・


「・・・・・・もちろん、通例以外の方法もあるにはある」

 あるのか。

「どんな、方法なの?」

「罪状を握りつぶす方法だ」

 ・・・・・・おい、おっさん

 それ違法なやつだろ。何さらっと危険な取引はじめてるんだよっ

「じゃぁ、それで。」

 こらこらこら。シア、こういうのには当然代わりの条件があるから!条件聞いてから判断して!

「・・・・・・話が早くて助かるが、わかっているか?。握りつぶすのは、ただじゃない。私も軍規に反しなくてはならないからな。相応の対価を払ってもらう」

「・・・・エッチなのは、ダメ。」

「・・・・・・わかった」

 ・・・・・・なんなんだこの隊長は。


「では、握りつぶす方向で話を進めさせてもらおう」


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