同郷3
外周を覆う岩山から見下ろす景色は美しかった。
冬の夕暮れ。大部分が枯れ木だというのに、それは静謐な絵画のような風景だった。
秘境――
そんなうたい文句がつきそうな景色だ。
あとは温泉の一つでもあれば実にそれっぽい。
「・・・・・・」
考え事をしながら歩いているうちに、拠点をすぎ、こんな場所まで登ってきてしまった。
自分の仲間。
産まれたわけ。
使命―――。
ここには今まで足りなかった、心のカケラの大事な一部があった。
シアが、彼らといっしょにいたいと言うのならそれでもいいと思う。
「や?、それは別に。」
そっか。
・・・・・・やはり、シアは誰かに作られた存在だとは薄々思っていても、こうしてそれを事実として突き付けられると、心にくるものがある。
オレが本物の親ではなく、グラフェンというのが本当の親なのだ。
きっとシアはそのことを
「別に。パパがパパだし」
そだね。
じゃどれだよ。
魔王がどうとか聖剣がどうとか、知ったこっちゃないしな。
魔王の代わりに命が狙われるってことなら目立たないことが一番だろうけども。
今年の競技会の初等部部門でやらかしちゃったもんな。
今更遅いのだ。
では何を悩んでいるのやら。
「・・・・・・思い出してた」
あぁ。
今まであったいろんなことを。
そうか・・・・・・
冬はシアを郷愁に駆り立てる。
故郷を探し、あのころのことを思い出す。
その目的の一つが、ここで叶ってしまった。
不思議な感じだ。
「・・・パパは?。残りたい?」
ここにか?
「ん。仲間がいるし」
それはないな。仲間といってもイタイ仲間だろう。
そう、ネット戦士同士は決して顔を合わせないものなのだ。ネットだからお互い戦士でいられるのである。
現実は怖いね。
ここにいる彼らは情報をくれるだけのNPCと同じである。助けてと言われれば助けてやってもいいが、今更同志をきどるつもりもない。
オレは孤高の道をいくぜい
「ん。」
「風がでてきました。シアさん、下にきませんか?」
声をかけてきたのは金髪のレイウッドだった。
そろそろ日が沈み、寒くなってくる。風邪をひかないか心配して、こんなところまで声をかけに来てくれたのだろう。
「・・・その腕」
「腕ですか?。あぁ、これは『アムリアル』。腕輪型の邪武器です」
そんなのでも武器なのか。
「アムリアルは4属性魔術が使えるめずらしい武器なんですよ。ボクの魔術の師匠です」
まじゅつだとー!?
まじか。
魔術、使えたのか。
え?何で使えるんだ?。
だってウェポンは魔力0でどんなにがんばっても魔術は使えないものだと思ってたぞ。
「アムリアルは初めから魔力が50ありましたよ。腕輪なんかの特殊な形状の物は、魔術を使えるようになっているみたいですね」
そういうものなのか。
はじめっから魔力が与えられてれば使えるわけか。
イイナー
ついでに聞くが、アムリアルの固有スキルは何だ?。《魂吸収》と《浮遊》か?
「《魂吸収》と《属性強化》です。4属性魔術の威力が30%増える物ですね」
・・・ちなみに代償は?
「・・・代償?、ありませんが・・・」
ないんだー
・・・そっかー・・・
「パパ、泣かないで」
泣いてないもん。
娘に慰められてしまった。
「・・・気が滅入るから。」
ハイ、スイマセン。
拠点にもどるか。
「ん。」




