同郷2
※会話はシアを介してのものです
一通りの挨拶や自己紹介が終わり、部屋には金髪の少年レイウッドと斧を持った少年アレクサンダー、そしてシアの3人+武器だけになった。
どうやらレイウッドがここのリーダーのようだ。
「あと3人、見張りと街に出ているのがいるけれど、それで仲間は全員だね。シアさん、ここにはいくらでもいてくれていい。むしろ新しい住人として歓迎するよ。あとはどうしようか。聞きたいことはある?それとも拠点の案内をしようか?」
スキルとかオレたちが生まれた理由とかそういったことを聞きたいなぁ。でもここで休ませてもらえるなら先に寝床の確認だけでもしておくか。
「・・・・・・パパを、もいだやつを探している」
ん?
もがれた?
「赤毛の赤ん坊」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・覚えていたのか。
という驚きと、執念深いことにびっくりだった。
シアたちが赤ん坊の時、オレは体をもがれた。おそらくオレの一番初めの形状は、柄を挟んで上下に刃が付いた双頭剣だった。
赤毛の赤ん坊はそのオレのパーツともいえる部分をもぎ取り、芋虫に刺してそれっきり。あの後どうなったのかわからない。
シアはその赤毛を探していると言うのだ。
「・・・・・・赤毛ならヒュリオかな。今彼は街だね。来年の春にはもどってくると思うよ」
「街・・・わかった」
えぇー、シアさん、その子を探し出して何するの?パパ気になっちゃうなー。
「秘密。」
そ、そう・・・喧嘩はやめようね。赤ん坊のしたことだし、大目に見ようね、というか、確かすでに頭突きをかまして泣かせていなかったか?ちょっとパパ記憶があいまいです。
とりあえず聞きたいことを聞く流れなようで、このまま質問を続ける。
あー、そうさな。
・・・洞窟のあの場所を作ったのは何者なんだ?。
知らないだろうと思いつつ聞いてみた。
「魔将の一人、グラフェン・テスラー様だね。・・・あの方は君の所には説明に来なかったのかな?」
こねーよ。
誰だよ。
説明足りてねーよ。
「グラフェン様は”錬金魔術”の研究者でね、ボクらは新しい”魔王”が誕生すると同時に卵から還るようにグラフェン様に造られたんだ」
ま、魔王・・・。まだいないと聞かされていたが、誕生していたのか・・・。
「誕生が人族に知られると殺されちゃうからね。それを防ぐためにボクらのような異常に戦闘力の成長が早い魔族を造って、人族への囮りにしたんだ」
魔王は殺される。
だからシア達のような亜人を造り、魔王を殺させないためのデコイにしている。
シアは魔王を生かすための人族への囮り・・・。
わーぉ
シア誕生の秘密が今明かされた。
てことは、オレたち武器もそんな感じか?。魔王デコイを殺させないために、お守り代わりに持たせたのか?
「それもあるけれど、”知識”の補助のためらしいよ。『異世界の人間はこの世界の一般人よりも、より良質な知識と貪欲さを持っている』だったかな。そんなことをグラフェン様は言っていたね」
あー、貪欲さはわかる気がする。
異世界転生?よっしゃ遊ぶか!
みたいな軽いノリになるのは、ネット戦士をしていたおかげもある。
・・・・・・
てことはだ、オレたちは性格面でもグラフェンに選ばれたってことか?
「そうだね」
・・・・・・
その腕にいるやつも、オレと同じネットを飛び回っていたひきこもるタイプのアレですか?
「・・・・・・そうだね」
異世界ひゃっはーをするだろう人間を選んで呼び寄せたってのか。なんという、なんという・・・
そのグラフェンとやらは罪深き野郎だな!
「女性だけどね」
女性の研究者・・・
メガネならなお良し。
やばいな。
だいぶやばい。
異世界に呼ばれた理由が判明した。
真面目なようで適当すぎやしないか・・・
その貪欲さのおかげで、シア達は立派な戦闘民族へと育成されているわけだけども。
というか、シアの存在は人族にとって討伐対象ってことか・・・。
魔族領に入れたからよかったが、人族領域に行ってたら今頃とっくに殺されてたかもしれないのか・・・。
がくがくぶるぶる
グラフェンさん、説明責任はきっちり果たすべきです!
ママ育児放棄ですか!
「あ、そうだ。それとこれも言っていたんだ。『”聖剣”を壊しなさい。それが邪武器であるあなた達の使命です』って」
聖剣もあるのかー
勇者もいるしなー
勇者は殺さなくていいのか?、いや、勇者は”魔王”を倒した者に与えられる称号だったか?。誰が勇者の称号を得るかわからないが、とりあえず聖剣を持っていればその確率は高くなる。勇者になるだろう聖剣の持ち主を殺しても、新たな持ち主が現れるだけだ。ならば聖剣自体を壊してしまおう。
そういうことか。
「まだ、一本も壊せていないんだけどね」
聖剣複数本あるのかー!
うぬぁー、情報が多い。
他に聞くこともあった気がするけど、今はこれでいいか。
ちょっと間をおこう。
「・・・ん。」




