同郷1
「こっちです。あれが、ボクらの拠点です」
連れてこられた場所は周りを岩で囲まれた、小さな林の中にあった。
「変なの・・・」
「作った地形だからね。土魔法で周りを囲って人目につかないようにしたんだよ」
外からはただの岩山にしか見えない。いったいどれほどの時間をかけて形作ったのか。
「まぁ、練度上げのためにね」
そう言って笑う少年には、年相応のものがあった。
彼らの拠点に到着し、木と石で補強された一軒の建物の中に案内される。
しばらく待つと、人がだんだんと集まってきて、広くない部屋の中に合計8人が集まった。
種族も肌色も髪色も違う8人。けれど全員に共通しているモノがある。
黒く、目玉が付いた武器を持っている。
おそらく彼らもみんな亜人だろう。
確認しなくてもわかっている。
シアと同じように、卵から産まれた存在。
あえて言うならシアの兄弟姉妹たちだった。
「では改めまして。ようこそ、邪なる武器を持った同胞さん。ボクらも君と同じくみんな邪武器を持っているんだ。もしかすると同じ洞窟で産まれた仲間じゃないかと思うんだけど、覚えているかなぁ?。君は覚えてないかもしれないけれど、武器さんのほうは覚えているかもしれないね」
金髪の少年がそう言う。彼はシアに傷つけられたやつだ。武器ではなく、目玉突きの腕輪の。今は自身に治療魔術を使い、キズが治っている。
武器に意思があることも知っているし、洞窟で産まれたことも知っている。兄弟の可能性が高い。
「君は、あの洞窟のことを覚えてる?。産まれてすぐにおっきな芋虫が降ってきたこと」
あー・・・あれね・・・。
やっぱりあの洞窟の生き残りか・・・。
「ん。覚えてる」
「そう、生き残りがいたのね。ここにいるみんな以外、死んだと思っていたわ」
わかめみたいな髪の長い女の子だ。武器は弓。
他にも剣や槍、斧に盾なんてのもいる。
どれもみんな目玉が付いている。じーっとこちらを見ていたり、発言する者がいればギョロリといっせいにそちらに目が動くのだ。
なんというか・・・目玉だけなのに思ったより表情がわかるな・・・。気を付けよう。
「死んだもなにも・・・あのとき芋虫が落ちてきたのはジェラ達が天井の土を掘ったせいじゃないか。それさえなければもっと仲間が生き残っていたはずなんだ」
「言うなよクワッドリィ。あの時先生たちは何も知らなかったんだから」
壁に立つ少年二人の会話が耳に届いた。
ジェラ?先生?、もしかして武器の名前だろうか。浮遊能力を持った武器たちが天井の土をほったせいで芋虫が洞窟に落ちてきた。そういうことか。
しかし先生か・・・。
まさかと思うが・・・、
「先生、とは『転生者』か、って。」
「・・・・・・」「・・・・・・」
シアに聞いてもらった。
彼らは目配せしあう。あー、うん。核心の部分だよね。そこを聞いちゃうのかー。どうする?言っちゃう?言っちゃう?みたいな表情してやがる。
というか、それでもう察したね。
「・・・・・・そうだね。ボクらの持っている邪武器は、全部『転生者』だね」
そうかー。
「それも、みんな同じ世界からこっちに来ている。”時の止まった世界”からね」
ああああー・・・
そうかー・・・。
そうか・・・。
オレと同じなのか。
あの絶望を、あの終末を、あの狂乱と狂騒に彩られたくそみたいな祭りを、知っているやつらなのか。
ははは。
はじめましてコンニチハ
異世界転生しちゃいましたか?ただし武器です。第二の人生を謳歌してください、ただし他人の手で。
そんな環境から今までやってきたやつらが、目の前にいる。オレと視線を交わしている。
そんなに見つめられても会話一つできやしない。
なんなんだろーな。
10年目にしてやっと故郷の人間に会えたってのにな。
悲しい。




