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邪武器の娘  作者: ツインシザー
魔族領
55/222

学校2学期1

「競技会があります」


 秋が色濃く木々を染め上げ始めたころ、クラスの担任がそんなことを言ってきた。

 競技会。

 早い話が運動会である。

 走力、剛力、遠投、射的。他にも演舞や応援合戦など運動会らしい種目が書き出される。

 そして最後に「戦技」と書かれた。


 きた・・・!

 やっぱりあるのか。そうだろうそうだろう。戦闘技術を重点的に教えてくれる学校で、個人の強さを競う競技がないはずないものな。

 これは腕がなるぜ!


「戦技は3年生からの参加になります。みなさんは先輩の戦い方を良く見て参考にしてくださいね」


 ですよねー

 人種族の成長速度は人種族そのまま。6,7歳では幼稚園児が一回り育った程度である。そんなカワイイ子らに武器を振り回して戦いをせよなどとは、いくらうちの学校といえど言えやしない。


 そうなるとどの競技に出場したものか。

 演舞は全員参加っぽいから、走力だろうか。

 とりあえず生徒の父兄っぽく温かい目線で見守ろうと決めた。



 その日から、シアの自主鍛錬に”走力”の特訓が追加された。

「ばびゅーん。」

 掛け声を付けただけで人は早くなるわけではない。

 シアは早いには早い。が、あくまで人型としては早いというだけだ。生徒にはケンタウロスやチーターから進化してきた魔族の生徒もいる。そういった生徒には倍近い差をつけられて負ける。

 シアが勝ち負けにこだわるとは思えないが、やるからには本気で戦いに行くつもりのようだ。


「勝つし」

 そうか・・・ガンバレー


「ばびゅーん。」

 ・・・・・・

「ぼびゅーん。」

 シア、オレがコーチしてやろうか?

「?」

 ふふふ、こう見えても早く走るコツみたいのはいくつか知っているんだぜ。オレがシアのコーチになればシアを今より早く走らせることだってできちまうんだ

「・・・・・・ん。」


 ではオレのことはコーチと呼ぶんだ

「ん。パパ」

 コーチだ

「ん。パパコーチ?」

 ・・・まぁいいか。



 シアの特訓は続く。

 野生児だったころに培った走法はここでも発揮される。四つ足の獣みたいに前傾になり、地面を蹴る。

 障害物があればその性能はいかんなく発揮されるだろう。

 が、校庭はきれいに整備された平らな地面だ。

 普通に体を起こして腕を振って走った方が速く走れる。

「むー・・・」

 シアは普通の走り方を練習し始めた。



 普通に走れるようになった。

 ただ、地面から目線が遠のいたせいで遅くなったと感じるようだった。地面に近い方が早く感じるのだからしかたない。実際にタイムが計れるといいのだけれども・・・。


 オレの風突から次の風突までのクールタイム中にどこまで走れるかで比べることになった。

 よーい、《風突》!

「ばびゅーん。」

 ・・・《風突》!

 こんな感じ。

 結果は前傾走りも普通走りもそれほど変わりなかった。なんでや

「ふふん」

 ぐぬぬ。



 剣魔道具の《速力》を使って早く走る感覚を体験してみることにした。

 早い感覚を覚えると走るのが早くなると、昔テレビで見た記憶がある。

 まぁ、ものは実験である。

 魔道具を発動させ、走る。

 ・・・確かにちょっと早いな。速力は15%増加のはずなので違いがわかるくらいは変わっているはずだ。

「ん。・・・はやい」

 良かった。

 しばらくはスキル有り、無しで訓練してみよう。



 早くなってきた。

 走り方が普通走りと前傾走りの中間くらいになっている。

 早く走れる方法が体に染みついてきたようだ。

 とりあえずよし!

 うむ。


「パパコーチ、次は?」

 ・・・・・・どうするかなー。

「ん?」

 いや、走れ!走れば早くなる!

「んっ。」



 そんなこんなで競技会当日になった。

 なってしまった。

 やることはやった!シア、今のお前は昨日のお前より強い!いざ、決戦のスタートラインへ!

「んっ」

 ・・・・・・・ふう。


 しかし・・・特に策もなにもなかったな。普通に練習してしまった。

 こんなことではコーチ失格だろうけども、まぁいいか。

 《速力》でも覚えられればと思ったが練習期間ではだめだったようだ。剣の持ち込みもできないし、まぁ、負けて帰ってくることになるだろう。

 それもまたよし。

 涙のシア

 うん。良い。

 いつもと違う一面を見ることができるなら、それもまた本望である。

 ふひひ


「・・・・・・パパ」

 あわわわ、シア、いつからそこに!?

「さっきから」

 う、うん。

「パパ。」

 は、はい

「勝ってくる」

 ・・・・・・おう。


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