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邪武器の娘  作者: ツインシザー
魔族領
54/222

夏休み9


 Dランクダンジョンは塔の形をしていた。登っていくタイプのダンジョンである。


 フェイ姐はこぶしに刃をつけたような武器、カタールを装備した完全近接タイプだった。

 冒険者ランクはC。戦闘が派手で、敵の注意を良く引く、いわばタゲ取り役ができる。


 グロードは大剣を使いつつ、土魔術の使える遠近両用のタイプだった。

 冒険者ランクはC。フェイ姐が敵のひざを突かせたところを大振りの一撃でとどめをさしたり、土の壁でフェイ姐が囲まれるのをふせいだりする。豪快であり、器用な戦いができる。


 オレ達の戦いは楽になった。

 敵の憎悪ヘイトを集めてくれるフェイ姐、戦場を限定できるグロード。人数が多くなったこともあるが、この二人は面白い戦力だった。


 塔は一つの階層がわりと広かった。敵も強い。ゴブリンメイジが普通に出てくるし、数も多い。おそらく二人できていたら苦戦していただろう。けれど4人なら問題なく登れている。


「・・・流石に強いですわね」

 お嬢様がため息とともにつぶやく。

「へっ、あんただって年の割に、かなり強いじゃねーか」

 グロードとフェイ姐はお嬢様よりも5つ年上だ。学園に在籍してかなり戦い慣れている。

 それに追いつくレベルのお嬢様もすごい。

 まぁ一番すごいのはシアだけどな!

 7歳にしてスキル6つ。オレのと合わせて一人で9つ分のスキルを持つ。初級スキルばかりとはいえ、いくつかのスキルは相乗効果を合わせれば発展スキルと同じだけの威力が出せているそうである。

 流石はオレの娘だ。

 ふふんっ(自慢気)

 さて、そんなシアであったが、ダンジョン内を巡るうち、あるスキルを獲得した。


・眼力《探索眼》  <価値のあるものを探すことができる。任意で発動する>


 熟練度はあるがクールタイムはない。表記がなんちゃら術ではない、高価なアイテムを見つけるためのスキルだった。

 今までの換金用アイテム探しが、はっきりとした能力としてステータスに表記された。


 この眼力というのは他にもあり、グロードの鑑定能力も眼力《鑑定眼》というものらしい。眼力系のスキルは獲得が難しく、レアスキルという扱いなのだそうだ。

 はっきりと表記されたことにより能力も上昇した。どうやら魔道具にも反応するらしい。


 シアが「ん?」と突然しゃがみこんでダンジョンの床板をはずす。するとそこには剣が隠されており、もちろん魔道のアイテムであった。

 そんなことが数回ある。

 お嬢様とシアはほくほくしており、フェイ姐とグロードは仰天していた。

 そりゃまぁ、誰にも見つけられていなかった隠されたレアアイテムをサクサク拾ってきたら驚くわな。

 種族”龍”、種族の中ではかなりの強種族っぽい。

 戦闘面ではまだ恩恵を感じられないけども・・・。


 このメンバーで5日間、程よくあちこちのダンジョンを探索し、シアとお嬢様の冒険者ランクがCになった。

 獲得した装備や金銭はオレを除いたみんなで等分し、パーティーは解散することになった。

 シアがもらったのは


・剣 風魔術《速力》付与。移動速度が上がる。

・8000G


 これだけだ。しかし今回見つけた中で一番いい魔道具をもらった。

 剣は一本ほしかったのでありがたい。

 性能もいい。シアに風魔術《速力》を覚えさせたかったが、これで覚えさせる必要がなくなったとも言える。ただ、持ち歩くには大きいので、短剣に打ち直したほうがいいけども。

 ちょーうれしい。



 そんな幸せな日々を送りながら、夏休みは中盤をすぎ、終盤へとさしかかる。

 お嬢様がタウロン郷市に帰る日がきた。

「モルテイシア、様・・・!」

「シア・・・!」

 ひしっ

 別れの抱擁を交わす。


「また遊びにきますわ」

「ん!」

「その時までにもっと成長しておくのですわよ!」

「はい!」


 うっすらと朝霧が残る夏の午前中。お嬢様は帰って行った。

 シアはようやく宿題の消化に取り組み始めた。

 旅行中にも少しづつ進めていたが、まだまだやっていない部分が多い。


 食堂の使われていない、涼しいところに陣取って教科書を開いて勉強を始める。

 たまにあきてスキルの熟練度を上げる。また勉強を始める。またスキルを・・・といつぞやと同じ行動を始めるが、以前よりも勉強に向かう時間が伸びている。


 成長しているなぁ。

 何日かすぎると旅行に行っていた寄宿舎生もちらほら帰ってきて、シアといっしょに宿題の消化に取り掛かり始めたようだ。

 ポステリアや知り合いがシアの宿題を見てくれるようになり、ほどなく宿題が全部終わった。


 新学期が始まる――


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