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邪武器の娘  作者: ツインシザー
魔族領
49/222

夏休み4

 そんなこんなで建物型ダンジョンである。

 というか、

 建物型ではなかった。

 むしろ町型ダンジョンである。

 廃墟になった町が丸ごと一つ、迷路のよう入り組んでダンジョンの形を成している。

 そういや広いって言ってたなぁ・・・。

 オレでさえどこから手をつけていいか困る広さである。二人はさらに困るだろうな、と思いきや、そうでもなかった。


「では行きましょうか!」

「んっ!」

 楽しそうにすすむ。

 たまに地図に線を描いている。マップを書くのではなく、自分がどの方向に歩いたかだけ記していく。横道なにそれおいしいの?という勢いで適当な地図を描き進んでいく。

 ・・・迷子になるパターンだ。

 案の体、一時間後にはどこから来たのかわからなくなっていた。

 なので地図を描くことをやめた。

 脳筋系女子の誕生である。


 めんどうなことは一切しない。本能の赴くままモンスターを屠り、アイテムを漁り、腹が減れば食べられそうなモンスターを狩った。

 ある意味、二人の性格にこれほど合った探索はないと思えるくらい、二人は楽しそうに探索していた。

 このダンジョンで現れるモンスターは種類が多い。

 洞窟でいた虫系に加え、足を引っかけて転ばせようとしてくる草系統のモンスターや特に意味もなくそのあたりを飛んでいるだけの鳥系統モンスター、それから念願んのゴブリン系やいつぞや見たヘビ系なども出る。


 ゴブリンが持っていた武器はモンスター相手に使ってみて魔道具かそうでないか判別するように助言した。じゃないとそのまま捨てるので。

 するとこれまでに2つの魔道具が見つかった。煙が出る剣と爆発する矢だ。矢は着弾点に小さな爆発がおこる。とりあえず両方とも荷物バッグの中だ。

 そんな微妙な魔道具もいいが、それよりも面白いことがあった。


 シアが「ん?」と何かに気が付いて崩れた壁の下や植木鉢の中を漁ると小さな金色の金貨が見つかるのだ。

 これもおそらくは換金用アイテムだろう。

 今の所5枚。全部シアが見つけている。

 ・・・・・・。

 なぜシアが見つけられるのか。聞いてみた。

「チカッとするから」

 わからない。

 思い当たる逸話もあったのでもうちょっとくわしい質問をした。

 そのチカッとするのは右目の方ではないか?と。

「・・・ん。そう。」

 なるほど。


 ドラゴンは古くから財宝を貯めこんでいる生物だと言われている。どっからそんな大量の財宝を?というくらい大量の金貨や宝石に囲まれているイメージがあったが、ちまちま探し出してはカラスみたいに自分の巣に持ち帰っていたのか。

 シアの右目は亜人として合成された”龍”の因子が現れているものだと思う。なのでシアは龍と同じく、財宝を探し出せるらしい。


 そう教えたところ、シアはめずらしく声を上げて喜んだ。

 お嬢様もとても喜んだ。

「じゃあ本当に探せるか試しましょう!」

「んっ。」


 二人は探した。日付が2回変わってもダンジョンから出てこないくらい探した。

 地図もないダンジョンだったが、段々と地形のことを覚えるくらい探索した。

 草系のモンスターは街の外側に多い。一戸建てや大きな屋敷は街の中心から北に建てられている。

 真ん中から南にまっすぐ商店が立ち並び、東側に細い川が通っている。

 おおざっぱにはこんな感じだ。


 川も屋根もあるので一夜を過ごすのに苦労しない。正直年頃の乙女がダンジョン暮らしというのはどうかと思うのだが、楽しそうにしている二人を見ていると止める気にならなかった。

 オレも子供のころは夢中になれることに全力で遊んでいた。

 シアも、お嬢様も、まだ二人は10歳と7歳なのだ。

 やらなければいけないことと、やりたいことをきちんと分けれるようになるのは、もっと後になってからでいいと思う。

 ・・・後できちんと宿題はやらせるが。

 全力で遊び、まっすぐ育てばいい。

 うむ。



 金貨が20枚に達したころ、一度町に帰ることになった。

 拾った装備類もだいぶ邪魔になってきていた。

 町にもどり冒険者施設に行く。

 カードをわたし、クエストの確認をしてもらう。


「・・・・・・これは、モンスターの巣を発見しましたか?」

 カードを見た受付嬢は二人にそう聞いてきた。討伐依頼の情報はカードに記載される。そして依頼のモンスターを倒せば、カードが勝手に討伐数を数えてくれるのだ。

 二人のクエスト対象モンスターの討伐数は3桁まではいかないものの、とんでもない数だった。正直ほとんどを狩りつくしたと思う。


「普通に倒したのですわ」

「ん。」

「・・・・・・そ、そうですか・・・」

 受付嬢は困惑していた。そしてその後にシアが取り出した金貨を見て再び驚いていた。


「・・・宝箱でも発見したのでしょうか?」

「一個づつ拾ったのですわ」

「ん。」

「・・・・・・・・・・・・」


 金貨は換金用アイテムで、一個2000Gで売れた。全部で4万G。40万円の収入である。

 いきなり小金持ちになった。

「おー・・・」

 なんとも感慨深そうだった。

 そして鑑定カウンターに装備類を持ち込んだところ、その金額の半分が消える料金を告げられた。

 高額である。

 鑑定やばい。


 所持者が少ない特定の個人スキルは、その使用に多額の金銭がかかるようだ。

 オレ達は少し待ってもらい、拾ったものの中で使い物になりそうないくつかの物品に絞って鑑定してもらうことにした。シャボン玉が出る棍棒やみそ汁が出る棍棒は自宅で使うことにしよう。


 一個2000Gの鑑定料で鑑定してもらったのは2本。


・棍棒 火魔術《火矢》付与。お嬢様の使っている火矢が撃てる。ただし時々棍棒が燃える。

・弓 影術《暗まし》付与。目くらましのスキルが使える。自動発動。


 棍棒は・・・悪くない。悪くないんだが、もうちょっとねぇ・・・みたいな性能だった。

 ・・・弓は光魔術かと思ったら違ったか。まぶしくて矢が避けにくかったので悪くはない付与だと思う。

 両方売ることにした。ソロパーティーで弓を使うならあってもいいが、複数人のパーティーで使うと、味方も眩しいスキルなのだ。それにめだつし。影からこそこそ矢を射れないというのはいかがなものか。使ってて面白いんだけどね。パーティーみんなにサングラスを装備させればいいと思うよ!

 帰れ!

 と、なるので売却売却。


 鑑定カウンターで鑑定書を付けてもらったのでそのまま武器防具屋へ行き、引き取ってもらった。両方5000Gで売れた。同じノーマルの弓が2000Gで売っていたので、買取分の減額を考えても、まぁ悪くない武器だったんだろう。

 棍棒は原価を考えるととても良い値段なはずなんだが、・・・うん。


 残った家に置かない微妙な魔道具は薬屋に引き取ってもらった。店員は魔素吸収スキルを持っているらしく、魔道具から魔素を抽出してMPポーションにするらしい。全部で500Gだった。やすっ。


 なにはともあれ中々の稼ぎだ。

 ダンジョンすげー・・・。

 しかし建物型のダンジョンを3日かけてほぼ制圧しきり、モンスターを枯渇させてしまい困ったことになった。

 お嬢様の次のランク用クエストがゴブリンメイジ10匹だったのだ。メイジはあまり見ない。建物の中や洞窟の奥でひきこもっていることが多いモンスターだ。

 困った。


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