学校生活8
夏休みに入る前、終業式までの間にスキルに進展があった。
シアが槍術《操槍》を覚えた。パッシブスキルで槍の扱いがちょっとうまくなる程度のものだが、このスキルのおかげか、続けて槍術《円舞》も覚えた。
槍舞の速度が上昇する。槍舞とは何ぞやと言えば、円舞の名の通り、円を描くように槍を振り回す技である。
・槍術《操槍》 <常に槍の軌道に5%の補正がかかる>
・槍術《円舞》 <槍舞の速度30%上昇。槍舞中攻撃値10%を追加する>
《操槍》は熟練度がない。固定効果で発展スキルも無いようだ。
《円舞》は一度発動させれば円舞をやめるまで効果が持続する。クールタイムは300秒。円舞中もクールタイムは計算される。
槍を振り回せば勝手に発動してくれる便利スキルだ。もちろん発動させないこともできる。
調子に乗ってシアがオレをずっと振り回していたら、一時間で円舞の熟練度が1上がった。ずっと使うことで熟練度が上がるらしい。そりゃそうか、使ってれば熟練するわな。ありがたい。
こうなると《竜力》も効果時間中に意識して効果を使うことで熟練度が稼げるのかもしれない。
ちなみにまだ振り回している。振り回しながら風刃を撃っている。ちょっと狙いがそれて植木が無残なことになったがまあいいか。あれは植物型のモンスターなので問題はない(ある)
ちなみにオレは酔わない。脳味噌がないからな!
いや、あるかもしれない。無いのは三半規管か?。どっちでもいいが、目は回るが酔わないのはいいことだ。
ともあれ、スキルが増えてよかった。これでスキルなしの時間は大分減ったことだろう。
槍術2個を覚えるのに2週間ちょっとかかったか。いつも握っている”槍”なことと、テスト勉強中も何のかんの振り回していたのを考えると、もう少し早く覚えても良かったと思う。
あとは毛色の違うスキルと魔術各種か。
時間がかかりそうなものが多い。
夏休み中に一個か二個、覚えられるといいな。
終業式の日、ヤンキー集会があった。
近くの食堂を貸し切って飲み食いをするだけだった。
ファミレスを占領する暴走族みたいなものである。
話題になるのはブヒ蔵のことが多かった。
実技テストで邪魔をされただの、やつの配下に負けなかっただの、謹慎してたくせにそこそこの成績だっただの。
お前らブヒ蔵好きかよっ
てくらい話題になっていた。
シアの時のことも掘り返され、ワイワイたのしそうだった。
あとは単純に座学のテストの点数で自慢合戦が始まった。
強者が弱者をなじる。
良きヤンキー文化がここにはいまだにある。
うちのこは強者だった。
なお一番の強者はポステリア様である。
他に実技テストのことも話に上ったのだが・・・どうやら中等部以降は討伐テストではなく、踏破テストになるらしい。
踏破――『ダンジョンの特定階層を踏破すること』
これが課題。
なにそれ面白そう。
オレがそう思うのと同じように、シアも目をキラキラさせていた。
しかもその話題を出した生徒は、踏破テストで潜ったダンジョンでこれを拾った、と言ってテーブルの上にあるアイテムを置いた。
なんの変哲もない、ただのトンカチに見えた。
横からずいっと生徒会長が姿を現す。
眼鏡をかけたサイクロプスの彼だ。生徒会長だったことにも驚くが、なんでこんな場所にと思わなくもない。
いつも手を焼かされているフェイ姐のお目付け役として来ていたらしい。
「これは・・・雷の力を秘めた、非常に珍しい魔道具ですね」
トンカチですが。
「6属性以外の力が宿るなんて極稀にしかおこらない幸運です。これほどの武器なら”雷鳴の鉄鎚”と銘を付けてもいいでしょう」
雷鳴の鉄鎚と書いてトールハンマーと呼ばないことだけを祈りたい。
そういえば北欧神話には知識を守る巨人族がいたな。このサイクロプスはそれと似たスキルか個人スキルを持っているようだった。
おそらく”鑑定能力”。
スキルであればちょっとほしい。便利そうではある。
まぁ自分で持っている必要はないので、知り合いの誰かが持っていれば十分な気もする。
問題はそれではない。
そう、
ダンジョンで魔道具が拾えること。
ワーォ
ワーォ!
オレとシアは視線を交わした。
目的は同じ。
夏休みの目標が決まった瞬間だった。




